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First Interim Implementation Report
翻訳文

(社)日本ネットワークインフォメーションセンター
最終更新 [2002年9月17日]

この文書は2002年8月1日に公開された
http://www.icann.org/committees/evol-reform/first-implementation-report-01aug02.htm
を翻訳したものです。
JPNICはこの翻訳を参考のために提供しますが、その品質に責任を負いません。


ICANNの発展と改革に関する委員会

第1次中間実施報告

2002年8月1日

2002年6月28日、ICANN理事会は、発展と改革に関する委員会(ERC)が提案した「改革に向けての青写真」を採択・承認しました。ICANN理事会は、「改革に向けての青写真に基づいて、更なる詳細な実施及び移行作業を監督する」ようERCに命じました。

その後ERCは、2002年7月15日と24日に実施に関する現状報告書を続けて2つ発表しました。それらの報告書にあるとおり、ERCは3つの異なる支援グループに依頼し、説明責任の問題、ドメイン名ポリシー策定プロセス、およびAt Large諮問委員会の創設に関して、ERCが実施勧告の策定を行う手助けをしてもらうことになりました。ERCは、説明責任の問題およびドメイン名ポリシー策定プロセスに関する支援グループから初回報告書を受領し、公開しています。

実施スケジュールは非常にコンパクトです。2002年10月27日から31日にかけて開かれる上海会合において理事会が最終的な措置を取るため、また、ERCからの勧告に関し、コミュニティによる検討やインプットに十分な時間をとるため、ERCは2002年10月1日頃には勧告を発表しなければなりません。その目標に達するためには、今後の約60日間を効率的に使わなければなりません。

この第1次中間実施報告書の中では、改革プロセス中のいくつかの具体的側面について、我々の現在の見解を提案するつもりです。明らかに、当報告書は実施に関わる全ての問題をカバーしているわけではなく、他の問題に関しては今後発表する報告書で扱う予定です。我々は、これらの問題に関するコミュニティからの反応を歓迎し、最終勧告および決定の際に考慮に入れられるよう、あらゆる見解や提案をできるだけ早くERCおよびコミュニティ全体に伝えて頂くようお願いします。コメントはすべてreform-comments@icann.orgにお送り下さい。お送り頂いたコメントは、ICANNフォーラムのウェブサイトに掲載されます。2002年9月1日頃に、当報告書に関するコミュニティからのコメントや上記支援グループからの最終的な意見を考慮に入れた第2次中間実施報告書を作成する予定であり、また、2002年10月1日頃に最終勧告書を作成する予定です。

1.使命および核となる価値

ブカレストにて政府諮問委員会(GAC)が発表した「ICANN改革に関する声明」では、「青写真」に含まれる「使命および核となる価値」についての文言に対して、いくつかの細かな変更を加えることが提案されました。当委員会はそれらの提案を検討し、その大部分については理事会に採択することを勧告する予定です。例外となりそうなものは「核となる価値11」であり、若干の文言の言い換えを提案するつもりです。当委員会は、建設的な提案をしてくれたGACに感謝します。

当委員会による更なる検討と受領した多くのコメントに基づき、「青写真」に含まれる使命の記述に関して、一つの懸念を提起したいと思います。「青写真」には、ICANNの使命に関するc項として、次のような文言が含まれています。

c.これらの機能を遂行するために必要なポリシー策定の調整

GACは、「機能」という語の前に「技術的な」という修飾語を加えるよう提案しており、我々はこれが有益な提案であることに同意します。しかし、このc項や他の箇所での「必要な」という語の使用に関し、コミュニティに議論を提起したいと思います。この言葉を付加した理論的根拠は、ICANNのポリシー策定範囲に対して適切な制限を課すという、すべての人が共有していたであろう願望でした。しかし再考の結果、「必要な」という語の使用は賢明でないかもしれないと我々は懸念しています。もしこれがICANN理事会に対する単なるガイダンスであるならば、この言葉は不適切に広がったICANNの行為を有効に制限するでしょう。しかし、我々は何らかの適切な方法によって、ICANNの本質的な文書の中にこの使命および核となる価値を取り入れようと考えています。従って、ICANNの決定を検討するための契約または他の規準の中で、この表現が様々な形で引用されることを我々は想定しています。例えば、統一紛争処理方針の採択のような明らかに望ましいICANNの行為や、国際化ドメイン名使用のための特定の基準に従うことが必要な行為などについて考えると、 「必要な」という言葉がそのような行為を含めるほど柔軟かどうか我々には判断できません。それらは非常に望ましい行為で、ICANNの核となる使命と一致するでしょう。しかし「技術的機能を遂行するのに必要」ではないことは、少なくとも議論の対象となります。

ICANNが核となる責務を実行する際にとるべき行為を十分に制限し、かつ十分に柔軟に許容するような言葉を探すのは非常に困難であることを、我々は認めます。それ故に、我々は核となる価値(Core Values)を作り出しました。核となる価値は単語または言葉の集合に頼ることなく適切な制限を生み出す試みです。実際のところ、我々は実用的な単語や言葉の集合を見つけられなかったために、核となる価値を作り出しました。

しかし、ICANNの活動は技術的調整という核となる使命に適切に関連するポリシー策定にのみ制限されるべきである、という一般的な見解を我々は認識し共有しています。GACは核となる価値の他にもさまざまな箇所に「適切な」という語を加えることを提案しました。それは受け入れ可能な提案であり、前の文言を改善するものであると我々は考えています。従って「青写真」によって企図されたもの、またはGACが声明文(「ポリシーの意味」の項)で提案したものに対して、我々は次の代替文を提示し一般のコメントを募集します。

c.技術的機能に妥当かつ適切に関連するポリシー策定の調整

この文言が最適であるかどうかは分かりませんが、本来の意向は限定する語句を見つけようとすることではなく、ICANNのポリシーに関する役割を適切に制限するための十分に明確な指針を「核となる価値」で述べることであり、この本来の意向に従うことが望ましいと思われます。「ポリシーの意味」の項でGACが提案した最初の変更に対しても、同様の分析が適用できるでしょう。

これらの問題に対するご意見やご感想を募集します。

2.説明責任に関する問題

ICANNの実効性および実行可能性と一致しつつ、一般からの意見を十分にICANNのプロセスに取り入れることのできる実行可能かつ適切なメカニズムを構築すること、これがICANN改革プロセスの主な焦点です。ICANNの行動を比較的狭い責任範囲にとどめるための適切な方法を見つけることも重要なことです。これら2つは少し異なる問題ですが、両者とも「説明責任」という題目に該当します。正確に言えばICANNの組織上および手続上のメカニズムのほとんどはこの題目に該当することになりますが。理事会メンバーの過半数を選ぶ指名委員会プロセス、そしてAt Large諮問委員会の設置を目指す努力といった面では、確かに全く同じ点を目指しています。

ここでは、やや競合する2つの価値が問題となっています。1つ目の価値は、関係者および合法的な利害関係者がICANNの活動に適切に参加する機会を持つ、という重要な権利です。2つ目はICANNのプロセスを確実に実行可能なものにする必要性です。これはつまり、全ての利害関係者の意見を適切に理解した上で、タイムリーな方法でICANNの責務の範囲内における事項の決定を実際に行うということです。前者には、意見を取り入れる、紛争を解決する、そして適切に監督するためのメカニズムが必要となります。後者には、適切な時間内で必要な記録を行い、ICANNが行動すべき時にはタイムリーに行動をとることができるような手続きやルールが必要になります。これら2つの目的の間には必然的に緊張が生じますが、目的を同時に達成するために両者のバランスを取ることは可能であり、そうするべきです。

このバランスこそ、「青写真」が求めているオンブズマン事務局、一般参加についての管理者(呼び方は最終的に決定)、適切な再検討ポリシーおよび独立審査ポリシーの創設の根底にあるものです。ポリシー策定構造を作る試みに対していかにこれらの努力のバランスを取るべきかに関しては、幅広い意見があることを我々は認識しており、我々の最終案が必ず満場一致の拍手で受け入れられるといった幻想は抱いていません。それでもやはり、開かれた、透明な、包括的な、かつ実効的なICANNという目標を掲げる傍ら、それらの目的の間でベストなバランスを見つける努力をするつもりです。

ERCは「改革に向けての青写真」で述べられている一般参加についての管理者、オンブズマン機能、独立審査プロセスの3点の実施に関して支援を求めました。その支援を行うグループによる初期提案はICANNのウェブサイトに掲載されていますが、それに対し以下に我々の感想を述べます。

1.我々は支援グループによる提案に全体的に賛成しますが、場合によっては異なる言葉を使用するかもしれません。例えば、我々は一般参加についての管理者の責任を支援グループの提案ほど幅広くは考えていないかもしれません。しかし、より具体的な提案のもとになるべき一般的な提案に関しては、異存はありません。我々は支援グループに対し「青写真」に述べられた骨組みを実施するためのメカニズムの立案への助力をお願いしましたが、有益であると考える他の方法を提案することはもちろん自由です。決議02-79「改革実施プロセス期間中にICANNの使命遂行能力をさらに高める機会が生じた又は認識された場合は、慎重に検討し適切に活用するべきである」という理事会の指示に従い、我々はいかなる提案も検討します。そのような提案は、この文言が示しているように、「青写真」で述べられている目標を推進し「青写真」の構造に従うべきです。

2.いくつかの問題に関する現在の我々の意見を、これらの方向にそって述べることは有効であるかもしれません。我々の考えるオンブズマンとは、ICANNプロセスの中で不当に扱われていると考える人が独立した評価を求めて頼ることができる人であるべきです。場合によっては、苦情にもっともな根拠があるならば、解決の促進を求めるかもしれません。我々は、オンブズマンはICANNプロセスにおける公平性の提唱者であるべきだと考えます。しかし、オンブズマンがその役割において効果的な存在となるためには、制限なしに自由に動き回る権限を持つことはできないと考えます。我々が考えるオンブズマンとは、苦情の対象となる決定や措置に関係を持たず、苦情を客観的に評価することができる人です。このことは、オンブズマンは(1)苦情に関する事実を見極め、(2)苦情に十分な根拠があるかを判断し、(3)苦情に十分な根拠がある場合は相互に満足のいく解決を進める努力を行い、(4)理事会およびコミュニティに結果を報告する、ということができる人であることを意味します。

オンブズマンがこの作業の過程で、手続またはその他の行動に変更を加えることにより懸念が繰り返される可能性を減らすことができるだろうと判断した場合は、オンブズマンは当然その見解を理事会やコミュニティに知らせることができるようにすべきです。しかし、オンブズマンがポリシー策定の代替メカニズムとなるべきである、またはオンブズマンが上記のプロセス外において、ポリシーまたは他の問題についての自分の意見を提供する自由を持つべきである、とは考えません。適切なポリシー策定組織がポリシー策定とポリシー問題を扱うべきであり、運営上の問題はスタッフの責任であるべきです。オンブズマンは、(利害の)衝突や守秘義務に関するICANNのポリシーおよび類似のポリシーを遵守することが求められます。つまり我々が描くオンブズマンとは、苦情についてインプットを行うメカニズムであり、それらの苦情を評価、解決する上での独立した発言権であり、苦情を減らすためにいかにICANNの手続きやプロセスを改善するについての可能な提案源となる存在であります。

3.一般参加についての管理者(呼び方は最終的に決定)はICANNのスタッフとなり、ICANNの決定に関する一般からの意見の受付および活用の促進に専心することになります。支持組織や諮問委員会も含め、ICANNプロセスの中で日頃活動している人々は、自分の意見を知らせる明快なメカニズムを持っています。ICANNは一般からの意見には常にオープンですが、一般からの意見を受け取り意思決定に生かすメカニズムはいつも効率的であるとは限りません。人的資源が限られていることがこの問題の一因ですが、この責務を特に担うスタッフがいないことも原因の1つです。一般参加についての管理者は、主要任務としてこの責務を持つことになるでしょう。

その人物はICANNのウェブサイト、ICANNが運営するEメールおよび他のフォーラムに対し責任を負うことになるでしょう。更に、ICANNにおける一般参加を促進する特定のメカニズム(現在検討中のAt Large諮問委員会のような)のためにスタッフ面での支援の提供または監督をする責任を負うことになると考えます。

4.我々が考えるICANNの再検討プロセスとは、理事会の決定に不満を持つ人がその問題に対して再検討を求める方法として使用するというものですが、それは本来意図された目的とは異なっていました。本来の目的は間違いを修正するためでした。ICANNの「新」再検討プロセスは、(1)ICANNスタッフが間違って行動したとする状況(権限のないところで、現行ポリシーまたは同様のものに従わない方法で)、(2)誤った又は不適切な情報のために理事会が過ちを犯したとされる状況、に限定されるべきだと我々は考えます。例えば、理事会の決定がICANNの定款に従っているかどうかに関する問題は、独立審査プロセスを通じて審問されるべきです。このように、再検討プロセスに対して我々は引き続き限定的な役割を考えています。

5.「青写真」では独立審査に関しては、「理事会がICANNの規則に反する行為をしたという申し立て」という狭い役割を述べています。我々は何らかの方法で、先に述べたICANNの使命および核となる価値をICANNの定款へ取り入れることを構想しています。我々の考えでは、これらがICANNの行動を制限する実行可能かつ適切な原則を提供し、またそれに対してICANNの行動を適切にテストすることができると考えます。

ICANN理事会の議決を無効にする力を持つ「最高裁判所」または「超理事会」のような、ICANNの構造内で最大の代表となる組織を持つべきだとは我々は考えません。また、その下では理事会による決定の全て、もしくはほとんどが費用と時間を消費する遅延を免れないような司法審査的プロセスをとり、かつ促進することは、ICANNの限定的な使命及び経済的構造と両立するとは考えません。ICANNのポリシー策定の分野での契約において当事者に契約の遵守を要求するために、ICANNの既存契約の多くが独立審査プロセスを考慮していることは認識しています。しかし、「青写真」が提唱する独立審査プロセスはそれらの契約と整合性を保っている、またはそれらの契約がこの基準に従うべきであると我々は信じます。

このように、もっと幅広い視野での検討または要請メカニズムがあるべきであると感じる人がコミュニティの中にいることを我々は理解していますが、そのようなアプローチの望ましさ、実行の可能性に関してはかなり懐疑的です。故に、どのようにしたらそのようなアプローチが「青写真」または「青写真」に関する理事会の決定のどちらかと一致することができるのか、ということに関してもかなり懐疑的です。上述の理由およびこの問題に関して先に述べた理由により、うまく機能するICANNを創造する目的とそのようなアプローチをどうしたら両立できるかについて、我々は定かではありません。

この問題に関するご意見およびご感想を募集します。またこの分野における支援グループの更なる貢献を期待しています。

3.ドメイン名ポリシー策定プロセス

「青写真」は効果的なドメイン名ポリシー策定プロセスの重要な要素に関して大まかな指針を与えていますが、実施に関しては詳細を決定しなければならない事項が多く存在します。ドメイン名の分野は、その分野で機能した歴史を持つ既存の組織(アドレス分野における地域インターネットレジストリ(RIR)のような組織)から恩恵を受けないため、おそらくICANNのポリシーの中で最も複雑な分野です。更に、ドメイン名の分野ではプロバイダーとユーザー、卸売業者と小売業者、サプライヤーと顧客を一つにします。つまり、共通点のないさまざまな利害関係をひとまとめにするものです。

ICANNの主な存在理由の一つは、その使命内での問題に関して可能な限りのコンセンサスを探ることである、という命題から我々は出発しています。過去3年以上の経験から明らかなように、プロセスへの関与を希望する関係者および考え方の多様性を考えても、世界的なコンセンサスを作り上げることは、ほとんどの問題において、実際非常に困難な仕事です。結果として、ICANNのドメイン名のポリシー策定は、今日までのところ一様に効率的であるとは言えません。この活動を遂行するボランティアに対してスタッフのサポートが欠けているという重要な理由を含め、その理由が多くあることは疑いありません。しかしこの分野で効率性が欠けている別の重大な理由は、最終的な行動に対して明確な手続き、期限、予測が適時行なわれる構造化されたポリシー策定が欠如していることである、というのがERCおよびコミュニティ全体の確固たる見解です。

「改革に向けての青写真」は以下の2つを行うことによってこれらの問題を扱っています。1つ目は、GNSO(およびICANNの他の構成組織)に対して適切なレベルのスタッフ支援が行われるべきであると結論付けること(注1)。2つ目は、構造化されたポリシー策定プロセスの創設を求めることによってです。そのようなポリシー策定プロセスとは、あらかじめ決定した時間的枠組および手順のステップを持ち、理事会へのいかなる提案にも受領した意見を反映させることを要求され、責任ある意見を全て記述し、また適切な場合にはICANN内外の他の専門家パネルおよび組織からの意見を求める機会を持つ、そんなプロセスであるべきです。これらの一般的な原則のいくつかを展開すると:

1.関心を持つ全ての人が、ICANNのポリシー決定に関わる機会(権利ではない)を持つべきです。これは、特定の決定に直接影響される人、あまり影響されないまでも合法的な利益を得る人、両者を含む全ての人々の意見に関して効率的なメカニズムが存在するべきである、ということを意味しています。これらの意見のメカニズムは特定の意見源または議論中の問題に合わせて調整されるかもしれませんが、希望する人全てが意見を発表できる機会を持つことを保証する共通の性質を持たなければなりません。発表された意見は他者に対して説得力を持つ場合とそうでない場合がありますが、意見を発表する機会が公平で開かれたものであれば、述べられた意見の実際の影響はそのメリットにより決まることになるでしょう。

2.ポリシー問題が議論されている場合はいつでも、可能な限りコンセンサスを求めるのが全参加者にとっての義務です。一般的にICANNの構造は、そして、理事会による措置を求めて我々が最終的に提案するドメイン名ポリシー策定プロセスは、コンセンサスポリシーを策定するための最大の機会を推進するよう考案されるべきです。参加者の大多数がコンセンサスを見出すために誠意ある努力を行った場合のみ、このことは有効となります。非合理的または自己中心的な議論や戦略は、この目的を促進しません。このように、ポリシー策定プロセスに対して責任を負う人々は、コンセンサスに基づく解決を見出すあらゆる努力をするべきである、というのが我々の意見です。しかし、1つまたは複数の組織が非合理的または不当な拒否をすることによりコンセンサスを求めることが不可能な場合には、最終意思決定プロセスにおいて結論を文書化し、適切な考慮が与えられるべきであると考えます。

3.ポリシー策定プロセスは、ICANN内外の両方において全ての人に理解、予想が可能なものとするために、明白なスケジュールと手続きを持つべきです。時間設定に関して、我々の最終提案では次の(1)~(5)に対して厳しい期限を求めます。(1)問題が検討されるべく適切に提示された後のポリシー策定プロセスの開始、(2)意見を考慮してほしいと希望する人々からの情報および意見の収集、(3) GNSO評議会によるコンセンサス育成および議論のための期間。GNSO評議会はこの件について理事会に提案を行う責任を負います。(4)そのような提案を行う期日、(5)理事会が最終的な措置をとる期日。状況に応じて必要な時には調整を行うことができるようにすべきですが、そのような延長を行う場合はいつでも、その理由を正当化する義務を必ず果たさなくてはならないことを我々は忠告します。この基準によって、ほとんどの状況においてポリシー策定プロセスが確実に予想、理解可能かつタイムリーなものとなるでしょう。速さを求めて決定の質を犠牲にすることはできないと認識する一方、比較的短い時間枠(現在の想定では開始から決定まで60日から90日) と適切なスタッフ支援により質の高い決定を適時行えるようになると我々は考えます。

手続きに関しては、ポリシー策定プロセスの対象となりうる問題の提示方法に関して非常に明白なルールが必要であると考えます。つまり、関係者全ての意見を収集し検討するためには、具体的にどのような方法をとればよいのか、ICANN内または適切な場合にはICANN外から専門家の助言を求めるためには、どのような手続きに従えばよいか、コンセンサスを作り上げることが可能かどうかを判断するために集められた情報を、GNSO評議会は具体的にどのように使用するつもりなのか、GNSO評議会がICANN理事会へ提案を提出した後はどのような手続きに従うのか、等です。

4.ICANN理事会はポリシー策定プロセスを監督する全体的な責任を負い、最終的にその決定にも責任を負います。しかし、ある問題に関するプロセスの開始時点から理事会へ提案を行う時点までのポリシー策定プロセスの運営については、GNSO評議会が責任を負うべきである、というのが我々の見解であることを明言したいと思います。GNSO評議会は、特定の事例においては特定の状況に適応するためにアプローチの調整を柔軟に行うことができるべきです。しかしやむを得ない理由がある場合以外は、これらの調整により通常の期限、意見に関する手続きを大きく変更するべきではありません。つまり、やむをえない理由がない場合には、ポリシー策定プロセスは我々の最終案で示されるスケジュール内に収まるべきです。プロセスやアプローチへ調整を加えることにより決められたスケジュールの調整を要求または許容することは、ほとんどの場合において行うべきではありません。このことにより、GNSO評議会はある特定の状況において積極的かつ果断になることをおそらく余儀なくされるでしょう。しかし他のどのアプローチにおいても、 タイムリーで効果的なポリシー策定の努力という我々の目的に深刻なリスクを与える可能性はあります。

ERCはこの分野における具体的な実施提案を作成する上で、コミュニティの数人の人たちに支援を求めました。この支援グループの最初のERCへの貢献はICANNのウェブサイトに掲載されています。我々は、このグループの貢献は非常に役立ち、かつ我々の現在の考えにほぼ一致していると考えており、この分野でERCの支援を続けてくれる人々に感謝します。このグループによる暫定報告書の中で示されている概念に関して、我々は以下に考察を述べたいと思います。

1.「Ⅰ.ハイレベルな問題」で述べられている想定に我々は大体において賛成します。ポリシー策定プロセスおよびICANNの他の側面へのGACの関与については、GACと詳細についての調整を行うことが必要であり、おそらくこのグループからの更なる詳細への考慮は必要としないでしょう。

2.「Ⅱ.基本的枠組み」に関して、いかなる関係者もある特定の問題をポリシー策定プロセスの対象とすることを提案できるべきである、という意見に我々は賛成します。ポリシー策定プロセスの開始は多くの人から多くの労力や時間の割当を必要とすることから、ドメイン名ポリシー策定プロセスを実際に開始できるのは理事会またはGNSO評議会のみとするべきである、というのが現在の我々の意見です。我々はこの件に関して意見を求めます。また、理事会またはGNSO評議会の決定には過半数が必要か、それとも過半数以上または以下を必要とするか、についても意見を求めます。例えば、理事会およびGNSO評議会の一方または双方の40%がある問題についてポリシー策定プロセスで扱われるに値すると考える場合、40%は十分でしょうか?または極端に考えて、ポリシー策定プロセスの開始には2つのうちどちらか1つの組織から圧倒的多数、例えば60%、の合意が必要でしょうか? 改革後のICANNにおいては、ポリシー策定は労働集約的で期限の短いプロセスとなり、多くのボランティアから多大な時間や労力、ICANNスタッフの貴重な時間を必要とするでしょう。 このことは軽く受け止められるべきではありません。一方で、必要または適切な場合にコンセンサスポリシーを策定するのはICANNの主要な務めの一つであり、その任務に対して不適切に高いバリアが存在すべきではありません。このテーマに関してコメントを募集します。

3.先に述べたように、一般的な構造や期限については、臨機応変に各プロセスに応じて変更するべきであるとは考えていません。むしろ理事会がそれらを設定し、やむをえない理由がある場合のみ変更の対象とすべきであると我々は考えています。言い換えれば、ポリシー策定プロセスは開始から決定まで決まった期間継続し、例外は全てやむをえない理由を基準として判断されるべきです。このように、理事会が決定する標準的な期限は、利用し得る典型的手法(タスクフォースのようなものも含めて)を実施できる程度に長く、しかし特定のポリシーに関する決定がタイムリーに行われる程度に短くあるべきであると考えます。先に述べたように、開始から決定までの期間は60日から90日を超えないというのが現在の我々の考えです。

4.ポリシー策定プロセスの結果をまとめて提案や決定を行った人へ開示すべきである、という考えには大いに賛成です。その開示は、どの見解がどの個人または組織により賛成・反対されているのか、多様な見解に対してどのような賛成・反対の論議があるのか、情報を提供している人々の提案およびその根拠は何か、それはタスクフォースまたは他の組織によるGNSO評議会に向けてのものなのか、または評議会による理事会に向けてのものなのか、などが明白に分かるような方法でなければなりません。記録が適切に作成され提示される場合にのみ、コンセンサスの存在またはコンセンサスが存在しない理由に関する知的な判断が可能になります。その判断を行った後に初めてICANN理事会は根拠のある決定を下すことができます。

4.指名委員会プロセス

「青写真」の実行においては、指名委員会(NomCom)の構成、機能、目的、手続きを入念に組み立てることが不可欠な要素となります。「青写真」では指名委員会が8名の理事会メンバー、3名のGNSO評議会メンバー、数名のCNSOメンバー、そして3名のTACメンバーを選ぶように提唱しています。

我々は現在、指名委員会メンバーの選定、指名の基準、指名の期限と過程の3項目を検討しています。

a.指名委員会メンバーの選定

誰がどのようにして指名委員会のメンバーを選ぶのでしょうか?「青写真」ではメンバーシップに対してカテゴリー別に分類をしています。そのカテゴリーの中には、自己の組織の選出メカニズムの考案を求められている既存の組織もあります。

  • チェア(1名、議決権なし、理事会から任命)
  • gTLDレジストリ(1名)
  • gTLDレジストラ(1名)
  • ccTLDレジストリ(1名)
  • アドレスレジストリ(1名)
  • インターネットサービスプロバイダー(1名)
  • IP(知的財産権)組織
  • IAB/IETF(1名)
  • TAC(1名)
  • GAC(1名)
  • SAC(1名、議決権なし)
  • RSSAC(1名、議決権なし)

残りのカテゴリーはしかしながら、ICANN構造内の既存組織には該当しません。

  • 大規模ビジネスユーザー(1名)
  • 小規模ビジネスユーザー(1名)
  • 学術および他の公共団体(1名)
  • 消費者および市民グループ(1名)
  • 個人ドメイン名所有者(1名)
  • 外部公益関係者(4名)

今後のERCによる活動の主な焦点は、これらのカテゴリーにより良い定義を与えること、またインターネット関係者が代表を選出できるようなメカニズムを具体化することです。これらのカテゴリーのうち2つはインターネットビジネスユーザー(大規模および小規模)、2つは非商業ユーザー(学術団体および消費者/市民グループ)、1つは個人のドメイン名所有者が含まれています。選出をする際にはICANNの傘下に新しい組織体を作り出すことよりも、既存の機関、協会、組織に目を向けることをERCは強く希望しています。我々は「青写真」で「明白に定義された部会が存在しない場合には、理事会は始めに、影響を受けるグループの意見を確実に代表すると思われる組織との協議に従い代表者を任命する」との考えを述べました。短期的には、機能する指名委員会を実現させるためにはこのようなメカニズムが必要であるかもしれませんが、適格な組織がすぐに見つかり、指名委員会への代表選出の責任を委任することができるかどうか判断することを強く後押ししたいと考えます。

ERCは積極的に意見を募集します。特に、DNSOのビジネス部会および非商用ドメイン名所有者部会、ビジネスユーザー、非営利ユーザー、個人ユーザー、協会組織からの意見を歓迎します。これらの関係者のコミュニティから合法的に指名委員会メンバーを選出することを実現するための最良の方法について、ご意見をお寄せ下さい。

更に「青写真」では、指名委員会の中に4人の「外部公益関係者」を含めるよう提唱しています。At Large諮問委員会が最終的に作られた場合、4人の代表のうち数人または全員がAt Large諮問委員会から選出されるかもしれません。At Large諮問委員会以外ではどこから選出される可能性があるかについて、ご意見をお寄せ下さい。

地理的、文化的多様性は、指名委員会の構成にとって重要な問題です。指名委員会メンバーの定義されたカテゴリーは表面上、ユーザー側とプロバイダー側双方の関係者を含むインターネット全体からの機能的利害のバランスと多様性を保証するべきです。しかしながら、カテゴリーは1ヶ所に集中しない分散型の選出手続きの概念を具体化していますが、それだけで地理的な多様性を保証することはできません。(勿論、指名委員会は地理的多様性を満たす指名を行うべきであると我々は考えていますが、地理的多様性の原則は指名委員会自身の構成も含めて、ICANNプロセスの全レベルにおいて実現可能なところで正当化されなければなりません。) この必要性に取り組むために、少なくとも以下の2つのオプションを考えています:

(a)「外部公益関係者」をそれぞれ異なる地域から任命することにより、彼らを地理的多様性の保証人として活用する。

(b) 指名委員会の席は全て埋まったが特定の地域からのメンバーがいない場合に、固定席(dormant seat)を設ける。つまり、指名委員会にラテンアメリカからの代表者がいない場合、ラテンアメリカ席が設けられる。そのような議席は、いくつかのメカニズムにより埋められることも考えられる。それらは、チェア(当該地域の関係者からのアドバイスに基づく)、他の指名委員会のメンバー、理事会、その地域からのGACメンバー、またはそれらが混ざったもの、などである。

他にもっと有効な可能性があるかもしれません。指名委員会の公正な地理的多様性を保証する最良の方法について、提案やコメントを募集します。

b.指名の基準

指名委員会が新しい重要なメカニズムをICANNの環境へ導入することを考えると、その機能や結果ついてはおそらくかなりの不安があるでしょう。我々は、指名委員会が指名を行う際に適用するべき基準を詳細に練り上げることが指名委員会に対する自信の基礎となると考えます。更に、活動についてあらかじめ合意された明確な基準を持って始められた組織は一般的に、特定のメンバーの個性や質にかかわらず良い結果を推進する、ということを組織計画の原則は示しています。

以下は、選出のための基準に関する「青写真」の文言です。

指名委員会選出理事は、理事会が全体として以下のような性質をもたらすメンバーで構成されることを確実にするよう選出されるべきです。
(1) ICANNの使命に関連する専門分野についての広範な機能上の多様性
(2) 世界的な地理的および文化的多様性
(3) ICANNの使命および支持決定の世界的な影響を理解する能力
(4) ICANN理事会の全体的な信頼性に寄与する能力
各人の特性には誠実さ、客観性、知性、グループで思慮ある意思決定を行うことができるという能力が証明されていること、および理事メンバーとしての責務の遂行に積極的であることが含まれるべきです。

その重要な任務を実行するための明確な方向性を確実に指名委員会に持たせるために、この一般的な基準をどのように修正、補強したらよいかについて提案を募集します。

c.指名の期限とプロセス

最後になりますが、ERCは指名委員会の役割の指針となる基本的手続きおよび期限の作成に取り組んでいます。重要な問題として、以下のものが挙げられています。それらは、指名委員会が指名を完了するのに時間はどのくらいかかるか、指名委員会は誰に助言を求めるべきか、どのように意見および提案を受け取るべきか、通信は全てプライベートなものとして扱われるべきか、などです。我々は他の指名委員会(IETF、学術協会、政府間組織など)の手続きの調査も行ってきましたが、提案されているICANNモデルはそのコンセプトと役割においてかなり独特であることが分かりました。従って、特に他の状況で指名委員会のメンバーを務めた経験のある人々から、これらの問題に関するご意見、ご提案、コメントを積極的に募集します。

ICANNの発展と改革に関する委員会
2002年8月1日


1.GNSOには与えられたタスクを実行するのに必要なスタッフの支援があるだろうということを議論の中で前提としています。

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