Second Interim Implementation Report
翻訳文
(社)日本ネットワークインフォメーションセンター
最終更新 [2002年10月22日]
この文書は2002年9月2日に公開された
http://www.icann.org/committees/evol-reform/second-implementation-report-02sep02.htm
を翻訳したものです。
JPNICはこの翻訳を参考のために提供しますが、その品質に責任を負いません。
ICANNの発展と改革に関する委員会
第2次中間実施報告
2002年9月2日
目次
2.ICANNの構造
A.理事会
B.指名委員会
1.指名委員会メンバーの選出元
2.指名委員会委員の選出基準
3.指名委員会による選考の基準
4.スケジュール
C.支持組織(SO)
a.評議会の構成
b.総会
c.分野別ドメイン名のポリシー策定プロセス
2.国コードドメイン名支持組織(ccNSO)
3.アドレス支持組織(ASO)
D.諮問委員会
1.政府諮問委員会(GAC)
2.技術諮問委員会(TAC)
3.セキュリティ諮問委員会(SAC)
4.ルートサーバー・システム諮問委員会(RSSAC)
5.At Large諮問委員会(ALAC)
3.一般からの意見収集およびアカウンタビリティ(説明責任)
4.資金確保
5.付属定款
6.移行
結論
付属書類1:ICANNの使命および核となる価値についての記述書 改訂案
付属書類2:指名委員会プロセスのスケジュール案
ICANN理事会は2002年6月28日、発展と改革に関する委員会(ERC)が提案した「改革に向けての青写真」を採択・承認しました。ICANN理事会は、「さらに詳細な改革の実施と移行作業を、『改革に向けての青写真』に基づいて監督する」ようERCに指示しました。
その後ERCは、2002年7月15日付および24日付の2つの実施状況報告書、また2002年8月1日には第1次中間実施報告を発表しました。この第2次中間実施報告では、改革実施の詳細の大部分に関する我々の暫定的見解を述べ、それらの見解に対する一般からのコメントを求めます。2002年10月1日頃には、理事会およびコミュニティに我々の「最終」提案を出すことになるだろうと見込んでいます。(「最終」と括弧を付けている理由は単に、コミュニティから返ってくる意見を踏まえて2002年10月27日~31日の上海会議の前または開催時に我々の最終提案をさらに改良する可能性があることを明確にするためです。)
現在ERCでは、一つの最終勧告を打ち出す準備ができました。それは、ICANNにおける発展と改革は、継続的なプロセスであるべきであるということです。支持組織(SO)や諮問委員会を含む各ICANN構成組織は、(1)ICANNの構造内において継続する目的を有しているか、(2)有している場合は、有効性を最大限に引き出すためには構造または運営上の変革を行うことが望ましいか、という点を判断する目的で、少なくとも2年毎に、何らかの方法で見直しを実施すべきです。ICANNは、進化するニーズや状況に対応するために変化していく、呼吸する生きた組織でなければなりません。よって、ICANN構成組織の約半数は毎年なんらかの形の独立した綿密な調査を受け、その調査から生まれた変革の提案はいずれもコミュニティおよび理事会が慎重に検討することを提案します。
この報告書をもって、中間実施報告書2つ、その前の状況報告書2つ、3つの支援グループの勧告書を公開したことになります。これらのすべての報告書でコミュニティの意見を募り、専用に設置したフォーラムへの投稿、およびその他の様々な形で多数のコメントをお寄せいただきました。そういったご意見は我々の作業には不可欠なものになっています。この報告書に記載されている勧告の多くはコミュニティから寄せられたコメントや提案の直接の成果ですので、この報告書をお読みいただければそのことは一目瞭然でしょう。「青写真」作成の際と同様、改革実施の作業は繰り返しのプロセスであり、後続の文書それぞれに、コミュニティ全体の多くの方々が改革というテーマに注いでこられた注意と労力が反映されています。
我々の作業の終了が近づくにつれ、コミュニティの全メンバーの考えを明らかにして、10月1日頃に「最終」勧告を作成する際に考慮できるようにすることがさらに重要になります。この報告書ではこれ以降、議論されてきている各種の問題に関し勧告すべき内容について、現在の我々の考え方と暫定の結論を述べますので、賛否いずれでも強い意見がある場合は、今こそ提示していただく時です。上海会議の場ではじめて重大な異議や新しい案を提起されても、有効に対処するにはおそらく遅すぎるため、間が悪くなってしまうでしょう。ご意見、提案、感想、反論などありましたら、今こそお知らせいただくべき時です。
ここをクリックしてこの報告書についてのコメントを提出して下さい。 2002年9月25日までに頂いたコメントが最も有益なものとなります。 |
この報告には、「ICANNの使命および核となる価値についての記述書 改訂案」が付属文書として添付されています。この改訂案では、第1次中間実施報告で言及されている政府諮問委員会(GAC)からの提案や、その他に寄せられたコメントから出た提案を考慮に入れており、GACの編集案の大部分を盛り込むとともに、第1次中間実施報告で概要説明されている、ICANNの使命にポリシー策定が含まれる範囲についても取り扱いました。使命(ICANNの活動範囲の明示)と核となる価値(使命の範囲内に入る活動の実施方法の指針)がしっかり規定されているということはICANN改革の非常に重要な要素ですので、文言を改善するためのコメントや提案を引き続き募集します。
「青写真」では、15名の理事会(うち5名は議決権のないリエゾン)、3つの支持組織(SO)、4つの諮問委員会という構造を説明しています。理事会は、5つ目の諮問委員会としてAt Large諮問委員会を設置することは可能かどうか調査するようERCに指示しました。ERCはその可能性について判断するため、過去に様々なAt Largeの運動で積極的に活躍していたコミュニティのメンバーで構成される支援グループを設置しました。様々なコメント、および支援グループの勧告を検討した末、このAt Large諮問委員会の設置を勧告することに決定しました。よって、諮問委員会の数は5つに増えることになります。
さらに「青写真」では、ICANN理事会メンバー8名、およびその他ICANN組織の一部メンバーの選出を担う指名委員会の設置も提唱しています。これらの提案要素を実施していく上での詳細事項に関する我々の暫定的な結論を、以下で述べます。
1.議決権を有するメンバー 理事会の規模および構成に関する様々なコメントや提案を検討し、議決権を有するメンバー15名から成る理事会という「青写真」の勧告は、依然として理にかなっていると結論づけました。ここでの目標は、ICANN理事会メンバーを務める優良な人材を惹きつける能力を最大限に引き出す状況を作り出し、かつ理事会の規模を縮小して実効性の向上を図りつつ、コミュニティ内の様々な利害のバランスを保つということでした。理事会メンバーの過半数は幅広い分野の代表から成る指名委員会が選出し、その他のメンバー(事務総長以外)はICANNポリシー策定組織が選出するという形が、これらの目標を最も達成できると我々は考えます。地理上・機能上の多様性という、ICANN理事会が有効に機能するために重要な問題は、支持組織が選出する理事の議席を増やすことよりも指名委員会の選出プロセスを通しての方が、よりよく対応することができます。
2.議決権のないリエゾン 「青写真」では、4つの現行または新たに提案された諮問委員会(SAC、GAC、RSSAC、TAC)から各1名、およびIETF/IABから1名、計5名の議決権のないリエゾンを理事会に入れることを提案しています。上述の通り、我々はAt Large諮問委員会の設置を勧告します。その勧告が承認を受けた場合は、他のICANN諮問委員会と同様、At Large諮問委員会からも議決権のないリエゾンを理事会に出すべきであると考えます。これによって、理事会の議決権のないリエゾンは6名に、また議決権のないリエゾンを入れた理事会の人数は合計21名に増えます。
また「青写真」では、議決権のないリエゾンの任期を議決権のあるメンバーと同様に3年とすることを提唱しています。再考の結果、上述の組織が1年ごとに再任を前提としてリエゾンを選出する方が、より適切であると考えます。これによって、それらの組織が自分たちの様々なメンバーへの責務の割り当てをより自由に行えるようになります。
1.指名委員会メンバーの選出元 「青写真」では指名委員会の設置を求めており、その構成は委員19名、理事会が任命する議決権のないチェア1名、RSSACとSACから各1名選出する議決権のないリエゾン2名、となっています。プロバイダー、ユーザー、技術、公益それぞれのコミュニティからの代表の有効なバランスがとれた、広範囲を代表する委員会を作り出そうと試みたのです。
「青写真」では、次のような指名委員会の構成案を出しています。
- gTLDレジストリ(1名)
- gTLDレジストラ(1名)
- ccTLDレジストリ(1名)
- アドレスレジストリ(1名)
- インターネットサービスプロバイダー(ISP)(1名)
- 大規模ビジネスユーザー(1名)
- 小規模ビジネスユーザー(1名)
- 知的財産権関係組織(1名)
- 学術団体およびその他の公益団体(1名)
- 消費者グループおよび市民グループ(1名)
- 個人ドメイン名所有者(1名)
- IAB/IETF(1名)
- TAC(1名)
- GAC(1名)
- 外部公益関係者(4名)
さらに検討した結果、下記に説明する通り「青写真」に記載されているリストの一部修正を提案します。
いくつかの例外を除いて、指名委員会の委員はICANNの各種部会が指名します。この部会については「青写真」で説明していますが、ここでもさらに詳しく述べます。この提案には、次の3つの理由があります。それは、(1)特定の部会の懸念事項に精通した人物が指名委員会のメンバーに含まれるようにするため、(2)様々なICANN部会の個々の声が指名委員会に届くようにするため、そして(3)ICANNコミュニティ内外のできるだけ広い範囲に網を投げかけて、今後埋めるべき様々なポジションに対する最良の候補者を発掘できるようにするためです。
「青写真」で特定した指名委員会委員のうち多数は、既存の組織から任命するのが道理にかなっているかも知れません。例えばgTLDレジストリおよびレジストラは特定可能なグループで代表組織(GNSOのそれぞれの部会)が既にありますから、指名委員会におけるこれらのポジションは、これらの各部会からの代表者を充てることができます。他の委員も、既存の組織から指名することができます。これに含まれるのは、アドレスレジストリ(ASO評議会を通して指名)、ISP(ISP部会)、知的財産権関係者(IP部会)、IAB/IETF、GAC、さらにRSSACおよびSACから指名委員会に選出する議決権のないリエゾンです。
大規模および小規模ビジネスユーザーが指名する委員2名については、ビジネス部会は大規模ビジネスと小規模ビジネスの両方で構成されているのだから、大規模および小規模ビジネスユーザー双方の代表ともビジネス部会から選出して妥当であろう、という提案が同部会から出されました。現在「大規模」ビジネス部会や「小規模」ビジネス部会といったものは存在せず、「ビジネス」部会のみ存在する、という点に我々は注目します。「小規模」ビジネス部会の組織化を開始する措置がいくつか講じられていることは我々も認識していますが、一方では、ビジネス部会のメンバーであるビジネス組織の多くが自分たちは多数の大規模・小規模ビジネスの(直接の、そして全世界に分布している提携メンバーの関係を通じた)代表であると主張していることに注目しています。体の利害の適切な代表たり得ることを示すことが要求されます)ことがあれば、この問題を再度取り上げます。 よって、ビジネスの代表範囲をグローバルに広げていく努力はすべて我々も奨励しますが、適切かつ現実的な短期解決策は、大規模ビジネスの利害や考え方を明確に反映させる代表1名、そして小規模ビジネスの利害や考え方を明確に反映させる代表1名、計2名の指名委員会委員を現行のビジネス部会に選出させることであると我々は考えます。もし新しい部会がICANNの承認を受ける(当然、この部会が代表すると主張する団体全体の利害の適切な代表たり得ることを示すことが要求されます)ことがあれば、この問題を再度取り上げます。
TACはインターネットの技術コミュニティの様々な要素からのリソースを特定するためのメカニズムを供給することを主な目的としていますから(下記の議論をご参照下さい)、TACの各メンバー組織が交代で指名委員会のTAC代表を選出すべきです。そうすることによって、理事会へのTACリエゾンの選出をTACメンバー組織が持ち回りで行うという我々が提案する方法と同様に、TAC代表の選出責任はTACメンバー組織が持ち回りで行うことになります。(下記参照)
ccNSO(この名称についての下記の議論をご参照下さい)代表の選出方法に関する詳しい議論についてはおそらく、ccNSOの構造化の件で我々が設置しようとしている支援グループによるさらなる努力を待たなければならないでしょう。しかし一般論としては、指名委員会のccNSO代表はICANNに参加しているccTLD管理者のコミュニティから選出すべきです。
学術団体およびその他の公益団体と、消費者グループおよび市民グループの代表2名については、もともとほぼこれらの分野に対応させるために設立された、現行の非商用ドメイン名所有者部会(NCDNHC)という部会があります。いずれの系列も、現在のDNSOのNCDNH部会に加入している組織はいくつかありますが、同部会に公式代表が入っている学術団体は非常に少ないと見受けられます。活動中のNCDNH部会メンバーの構成を考えると、同部会から消費者グループおよび市民グループ代表を出してもらうことを期待するのには抵抗はありませんが、学術団体およびその他の公益団体の代表を常に(あるいは一時的にでも)同部会から選出することには幾分気が引けます。その反面、この分野で設置準備が進行している新しい部会組織はないということも我々は認識しています。よって、学術団体およびその他の公益団体の指名委員会委員のポジションを当初どのように埋めるかについて、ご提案を募集いたします。
「青写真」リストにある「外部公益関係者」4名については、組織化され世界的に認められている選出元は現在見つかっていません。我々のAt Large諮問委員会(ALAC)設置の勧告が理事会の承認を受け、ALACが期待通りに成熟すれば、最終的には指名委員会への代表5名(ALAC提案の構想にある地域評議会が、各ICANN地域から1名ずつ任命)をALACが選出するのが適切であろうと我々は考えています。これにより、指名委員会はALACから様々な地域の多様な考え方を取り入れて利用することができ、それによってICANNの重要な目標である地理的多様性を推進できるようになります。このような事情によって、「青写真」リストに記載されている外部公益関係者4名および個人ドメイン名所有者代表1名の代わりに、ALAC代表5名を入れることもできます。(個人ドメイン名所有者の部会は今のところ存在しないためです。そのような部会が承認を受けた場合は、この件はもう一度検討してよいでしょう。)しかし、文書を起草することと真に機能的なものとなることとの間には相当の隔たりがあるということも我々は承知しており、ALACが上海会議で設置されたとしても、すぐに効力を発揮することを期待するのは非現実的です。従って、ALACが運営され、かつ有効に機能できることが実証されるまでの間、上記の代表者の一部またはすべてをどのように選出するかについて、ALAC支援グループやその他のコミュニティの皆さんにご提案をお願いいたします。
これらの勧告が承認されれば、指名委員会は次の各グループが選出する18名の議決権を有する委員によって構成されることになります。
- gTLDレジストリ(1名)(gTLD部会が選出)
- gTLDレジストラ(1名)(gTLDレジストラ部会が選出)
- ccTLDレジストリ(1名)(選出元は未定)
- アドレスレジストリ(1名)(ASO評議会が選出)
- インターネットサービスプロバイダー(ISP)(1名)(ISP部会が選出)
- 大規模ビジネスユーザー(1名)(ビジネス部会が選出)
- 小規模ビジネスユーザー(1名)(ビジネス部会が選出)
- 知的財産権関係組織(1名)(IP部会が選出)
- At Large(5名)(初回の選出元は未定)
- 学術団体およびその他の公益団体(1名)(選出元は未定)
- 消費者グループおよび市民グループ(1名)(選出元は未定)
- IAB/IETF(1名)(IAB/IETFが選出)
- TAC(1名)(TACメンバー組織が交代で選出)
- GAC(1名)(GACが選出)
さらに、指名委員会の機能に連続性を持たせる方法の一つとして、前年度のチェアも議決権のないメンバーになるべきです。
上記の説明の通り、指名委員会には、各種サービスを提供するグループが選出する代表5名、各種ユーザーグループが選出する代表(最終的には)10名、技術団体が選出する代表2名、各国政府が選出する代表1名が存在することになります。また、議決権のないチェアと前年度のチェア、および議決権のないリエゾン2名も置き、後者は技術団体が選出します。ですから議決権のあるなしに関わらず、委員の最終的な構成は、プロバイダーから5名、ユーザーから10名、技術コミュニティから4名、各国政府から1名、そしてチェアと前年度のチェア(理事会が選出)になります。既に非常に効果的なICANNの要素になっている地理的多様性を確保して完全なものにするための、さらなるメカニズムも検討中です。そのために少なくとも、ある部会またはそれに類似するグループから選出された委員の後任には、別の地域の代表者を任命すべきです。
以上の「青写真」への修正案についてのコメントを歓迎いたします。
2.指名委員会委員の選出基準 指名委員会は、改革後のICANNの最重要部分の一つであると我々は考えています。指名委員会が効果的に機能しなければ、ICANN自体も効果的に機能しないでしょう。よって、指名委員会委員の選出はそれに適した代表組織の手に委ねるべきではありますが、指名委員会のすべての委員は次の基準を満たしているべきであると我々は確信しています。
- 指名委員会委員は、偏見がなく健全な判断ができるとの評価を受けている、誠実さと知性を備えた教養ある人物でなければならない。
- 指名委員会委員は、インターネットのコミュニティにおいて顔が広く、かつ幅広い経験を積んでおり、ICANNの成功に対する熱意を持った人物でなければならない。
- 指名委員会委員は、選出元の組織が信頼して幅広い事柄について助言を求める相手であり、指名委員会の任務を遂行する際に人の意見を受け入れる人物でなければならない。
- 指名委員会委員は、中立的かつ客観的で、特定の個人・組織や商業目的に対して個人的関係を有していない人物でなければならない。
- 指名委員会委員はボランティアでなければならず、指名委員会での任務に対する代償を受けてはならない。
- 指名委員会委員は、大規模組織における共同の意思決定に参加した経験があり、かつそのような意思決定を行う能力を有していなければならない。
- 指名委員会委員は、読み書きに英語を使っての業務および意思伝達ができなければならない。その他の言語による意思伝達能力も有していることが望ましい。指名委員会の委員の大部分にとって英語は第二言語であるという事実を、すべての委員が許容かつ尊重しなければならない。
- 指名委員会委員は、通信およびネットワークを効果的かつ幅広く利用する能力を有していなければならない。(例: 特に指名委員会活動が活発な時期には、電話、電子メール、ウェブへのアクセスなど、きちんと機能する通信チャネルを使用できる状態になければならない)
ICANNや、DNS、IPアドレッシング、インターネット・プロトコルなどに関する精通した知識は、特に条件として挙げませんでした。委員の多数はこれらの条件の一部またはすべてを備えているかも知れませんが、このような条件が指名委員会の責務の遂行に不可欠であるとは我々は考えていません。また、ICANNの影響を受ける可能性のある団体と雇用関係を有する人物は指名委員会での業務に不適格と判断すべきであるとも思いません。指名委員会はポリシー策定組織ではないのです。幅広い分野の代表を入れて指名委員会が担当する職務の遂行に最も適した人物を効率的に見出すためには、委員会はコミュニティ全体から人材を活用できなければなりません。特定の職業に就いているからといってICANN理事会の議席の資格を失うことはないのですから(政府諸機関を除きます)、指名委員会の委員選出も職業の影響を受けるべきではありません。
3. 指名委員会による選考の基準 「青写真」で述べられているように、指名委員会は、ICANN理事会、GNSO評議会、ccNSO評議会、TACの一部メンバーの選出を担当します。さらに指名委員会にALACの一部を選出させることも、この報告のこれより後の個所で勧告いたします。よって指名委員会による選考の基準にはある程度まで差が出ることもありますが、重複も相当あるでしょう。指名委員会がICANN理事会メンバーを選出する際に適用すべき基準に関する我々の考えを以下に述べます。指名委員会によるその他の選出の際に適用されるべき、これとは異なる基準または他に加える基準がありましたら、コメントをお寄せ下さい。
理事会メンバーの選出基準 指名委員会がICANN理事会メンバーを選出する際は、全体として能力・経験・考え方の多様性を理事会にもたらすメンバー構成になるようにしなければなりません。理事は、上記で示した指名委員会メンバーに関するすべての該当条件に加え、以下の基準を満たしていなければなりません。
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ICANNが使命を遂行する上で、その成功に全力を注ぐこと。ICANN理事会の職務は多大な時間を要し、大量の情報を吸収することを必要とします。その情報は技術、法律その他の分野に非常に専門特化していて、メンバー個人の分野の範囲外である場合もあります。また理事会の職務は、それぞれ価値のある相対立する立場の中からの難しい選択を伴う場合もあります。理事会メンバーを務めていると否応なく注目を浴びることになり、中には批判的な目もあります。また、些細でも極めて重要なインターネットの要素を監督するという重大な責任が常について回ります。ICANNの使命に個人的に専心しなければ、ICANN理事会メンバーの責務を効果的に遂行することはできません。
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ICANNの使命に関連する専門分野における、機能上の幅広い多様性。これは、次の分野に個人的に精通している人物が理事会メンバーに数名入るように、指名委員会が人選を行わなければならないということです。つまり、gTLDレジストリおよびレジストラの運用、ccTLDレジストリ、IPアドレスレジストリ、インターネットの技術標準およびプロトコルで特にインターネットのネーミングやアドレッシングのシステムを規定するもの、ポリシー策定の手順、法慣習、公益、そしてビジネス・個人・学術団体・非商用など幅広いインターネットユーザーです。
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世界的な地理的・文化的多様性。指名委員会は、他の基準を満たすことと一致する範囲内で、理事会の文化・地理的多様性を最大限に追求しなければなりません。最低条件として、ICANN指定の地域それぞれから少なくとも1名がICANN理事会のメンバーに入っており、同一地域に所属する議決権のあるメンバーの人数が過半数を超えないことを確実にするよう、指名委員会は人選を行わなければなりません。
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ICANNの使命とその影響についての理解。指名委員会は、自身が選出する理事会メンバーが確実に、ICANNの使命の限定されてはいるが重要な範囲を認識し、広範なグローバル・インターネット・コミュニティに与えるICANNの意思決定の意味合いや影響を理解するようにしなければなりません。
- ICANN理事会の信頼性に貢献する能力。ICANN理事会は、様々な構成組織に対して非常に様々な影響を及ぼし得る決定を行います。この影響は好ましい影響である場合もあれば、状況によってはその影響によってさらなる負担が課される場合もあります。ICANN理事会のメンバーが誠実さ、客観性、知性、そして思慮深い集団意思決定を行う実証済みの能力を備えた人物として認められることは、重要です。それが最終的には、インターネット・コミュニティのためにボランティアで責務を遂行する際の信頼性という結果につながるはずです。
上記の選出基準、また、ICANN理事会メンバー以外の人選に適用するためにはどのようにこれらの基準を修正すべきかという点について、コメントを募集いたします。さらに、支持組織による理事会メンバーの選出にこれらの基準を適用すべきか否か、また適用するとしたらどのように適用すべきかという点についてもコメントを募集いたします。我々の一般的見解としては、これらの基準は上記の人選にも大部分適用すべきであると考えています。
4.スケジュール 指名委員会プロセスのスケジュール(案)を添付します。これに対するコメントをお願いします。
「青写真」では、分野別ドメイン名、国コードドメイン名、アドレスという3つの支持組織(SO)の設置を勧告しています。我々は依然として、これが正しい構成であると考えています。それぞれの支持組織は、SO評議会の指示の下でSOの活動をサポートすることを主な責務とする、ICANNのスタッフ1名をつけるべきです。
a.評議会の構成 「青写真」では、評議会の構成を当初はプロバイダーの各部会とユーザーの各部会半々で議決権を有する6つの部会とすることを提唱しています。そして、各部会から議決権を有するメンバーを2名ずつ選出することとしていました。このバランスが、コンセンサスの状態を作ろうとする意欲を最大限に生み出すには重要であると我々は考えたのです。このバランスが欠けていると、ある問題についての多数派側の意欲が歪んで、他方の同意を得ようとしなくなります。このバランスを作っておき、特に指名委員会選出の議決権を有する評議会メンバー3名が加わって、意見が割れた時に中立の立場から決着をつける役割を果たせば、歩み寄って同意に達しようとする意欲がかなり出てきます。
さらに熟考し、コミュニティから返ってきた意見も慎重に検討した結果、GNSO評議会で追求すべき適正なバランスとはプロバイダーとユーザー間のバランスではなく、むしろICANNと契約を締結している組織と締結していない組織間のバランスであると我々は考えます。前者はICANNが策定したポリシーを実施せざるを得なくなる組織であり、これらの組織はICANNの決定によって自分たちの企業運営を場合によっては大幅に変更することを要求される可能性があります。GNSOは、最終的にはICANN理事会の行動指針となるポリシーについての勧告を出すポリシー策定機関です。従って、適正なバランスを求める「青写真」の考え方を当てはめ、ICANNと契約を締結している組織の代表は、ICANNと契約を締結していない組織の代表と同等の議決権をGNSO評議会の中で有するべきであると考えます。
「青写真」で指摘したように、このようなバランス、特に今後新しい部会が追加設立される可能性を考慮に入れたバランスを維持する計画を立てることは、難しい課題です。(新部会のすべてまたは大部分が、契約未締結の方に入る可能性があります。)このバランスを実現する最良の方法は、ICANNと契約を締結している組織の代表部会に割り当てる議決権の合計数を、ICANNと契約を締結していない組織の関連部会に割り当てる議決権の合計数と等しくして、将来部会の数が変わってもそのバランスを維持することであると我々は考えます。これは目下の状況では、gTLDレジストラおよびレジストリ部会に割り当てる議決権の合計数を、その他の4部会(ビジネス部会、IP部会、ISP部会、NCDNH部会)を合わせた数と同じにするということを意味します。当初は、gTLDレジストリおよびレジストラ代表に2票ずつ、その他4部会の代表それぞれに1票ずつ割り当てることによってこのバランスを達成できますが、今後新しい部会が設立されるとこれらの細かい数字は変わる可能性があります。指名委員会が選出するメンバーには常に1議決権を与えますから、論議が行き詰まった場合にはこのメンバーが打開できます。
ここで評議会の規模に話題を移しますが、GNSO評議会メンバーの構成を各部会の代表2名ずつおよび指名委員会選出の代表3名にするという「青写真」の勧告の再検討を求める、現行DNSOドメイン名評議会の採択決議に我々は注目し、慎重に検討しました。ドメイン名評議会は、作業負荷を分担して地理的多様性をさらにもたらすために必要であると主張し、評議会には各部会の代表を3名ずつ入れることを全会一致で勧告しました。ERCではこの問題を慎重に検討し、1部会3名を支持する意見に配慮し重要性を認めながらも、やはりより小規模でより実効的な評議会の方がそれらの意見よりも望ましいと考えます。しかし、ERCが「青写真」で提案した内容にこのような調整を加えることを現在のドメイン名評議会が全会一致で支持していることを考慮して、少なくとも初年度については、「青写真」の内容を1部会につき代表2名から3名に変更するという勧告を理事会に行うことを検討中です。このアプローチによって、より秩序立った移行が可能になるでしょう。(初年度末には、GNSOのこの側面およびその他の側面を見直すべきです。反対が良いということを裏付ける説得力のある証拠がその時になければ、代表者数は1部会につき2名に減らすべきであるというのが我々の考えです。)代表者が2名でも3名でも、それぞれの部会代表は異なる地域の出身者でなければなりません。
移行に関するこの勧告に従う場合は、GNSO評議会の人数は(「青写真」に基づく)15名から21名に一時的に増えます。この増員が能率や実効性の向上につながるかどうか、我々は疑問に思います。そして新しい部会を追加設置するとなると、さらに収拾のつかない規模になるでしょう。しかし、うまく機能する移行モデルに対する要求は我々も理解していますし、容認します。
上述の問題について、コミュニティからのコメントを募集いたします。
b.総会 「青写真」では、「GNSO総会は、(・・・)部会を超えて会合する場所です」と述べています。また、GNSO総会は「情報およびアイディアを交換するためや、特定の問題を議論するため、また、GNSO評議会の指示に基づき、ワーキンググループ、ドラフティング委員会およびタスクフォースを設置するリソースとして」存在する、と言及しています。「青写真」では、総会は関心を持っている人々が皆参加できる、節度ある電子会議メーリングリストの使用およびフォーラムのみ支持すること、そしてGNSO評議会が任命する同評議会のメンバーが総会のチェアを務めることを求めています。
ERCでは、受領した様々なコメントや提案、またAt Large諮問委員会の設置案などその後に採択された他のいくつかの決定を考慮しながら、この問題をさらに検討しました。特に、現在の総会における議論の多くを、生産的な方法で要約しているThomas Roessler氏とAlexander Svensson氏の勧告は、有益であると感じました。お二人の提案すべてに賛成する訳ではありませんが、それらの提案は思慮に富み、裏付けとなる説明も加えられています。これは、特に有益なアプローチです。
この件についてコメントを募集しますが、効果的に機能するALACが存在していれば、最終的には総会の必要性および有用性はなくなるか、または大幅に減少する可能性があると我々は現在考えています。我々の見方では、効果的に機能しているALACであれば節度あるメーリングリストその他を適切に運用し、従ってICANN関連の問題について幅広い一般の議論を行うことが可能になるでしょう。そう考えれば、別個の総会は必要ないかも知れません。ドメイン名に関するポリシーに注力する総会と、おそらくそれより広い範囲の問題点を扱うことになるALACの、機能の重複または対立に関する議論が長い間続いていることに我々は確かに気付いており、その議論は改革の過程の中で再び活発になりました。上記の結論についてのコメントをお寄せ下さい。
上海の理事会で我々のALAC設置案が承認を受けたとしても、ALACが実際に上記の役割を果たすことができるということが明らかになるまではしばらく時間がかかりますから、今のところ我々は、ALACが現在の総会の議論用メーリングリストの運用責任を引き継ぐことができると分かるまでは、GNSO評議会が運用を継続し、ALACが引き継ぐ時にICANN関連問題の一般議論用メーリングリストの運用責任をALACに移管すべきであると考えています。このアプローチをとるとすれば、総会のチェアというようなものは不要になるでしょう。このアプローチの下では、GNSO評議会がメーリングリスト運用の責任を負っている間は、総会メーリングリスト管理者/モデレーターの任命権は当然GNSO評議会に与え、その後ALACがその責任を引き継ぐべきです。
このアプローチの不利な点は、部会を越えた対話の方法となり得る総会というものは排除されるということです。この方法は有益であろうと我々は今でも考えていますが、この提案はGNSO参加メンバーからは熱心に受け入れられなかったようです。この案が成功を収めるためには、このGNSOメンバーの積極的な参加が必要なのです。いずれの議論用メーリングリストでもGNSO部会メンバーがもっと参加することが望ましい、というRoessler氏とSvensson氏の意見には我々も賛成ですが、メーリングリスト使用の節度規則が実質的でない投稿や人を罵倒する投稿を許容してしまう限り、参加してもらえる可能性は低くなると思われます。従って我々は、GNSOあるいはALACの支持を受けたすべての議論用メーリングリストと同様に、総会メーリングリストの使用も節度管理して、実質的でない投稿、人を罵倒する投稿、主題からはずれた投稿を防ぐべきであると改めて勧告します。このような節度管理を行うことによって負担が課せられる可能性があることは我々も認識していますが、総会メーリングリストがGNSO評議会の責任になっている限りは、同評議会はメーリングリストの有用性を十分に保護する実用的な節度管理規則の採用を、他のいずれの仕事よりも優先して行うことを提案します。我々はこの点で、Roessler氏とSvensson氏の提案は特に有益であると思います。
上記の議論に関するコメント、特にこの提案によって最も影響を受けるDNSOの各部会からのコメントを募集いたします。
c.分野別ドメイン名ポリシー策定プロセス Rita Rodin氏がチェアを務める当テーマに関する支援グループによる多大な努力に、非常に感謝いたします。我々は当支援グループの勧告を既に検討し、この勧告についてさらに一般からのコメントを募集します。支援グループの勧告は概して適切で説得力があり、一部修正して、改革実施プロセスの一部として承認するよう理事会に勧告したいと我々は思っています。我々の具体的な初期コメントを、次に述べます。
- ポリシー策定プロセス(PDP)の開始から理事会への勧告までを95日とするという全体のスケジュールは、承認します。作業の大部分をボランティアに頼る組織にとっては、依然として攻め型のスケジュールであるということは認めますし、そのボランティアがスタッフから適切なサポートを受けてはじめてこのスケジュールを実現できるということも十分理解しています。またこのタイミングは、外部専門家のパネルまたは組織から助言を求める場合の都合といかなる場合でも一致するという訳ではないということも認識しています。それでも、例外が必要になる時があるとしても、基準になるプロセスやスケジュールがあるということは非常に有意義であると考えます。また、支援グループが示した全体のプロセスおよびスケジュールは適切かつ有効であると思います。GNSOの運営開始1年後にGNSOおよびその各プロセスの見直しの実施を検討していますが、その見直しはプロセスおよびスケジュールの両案を評価する良い機会になるでしょう。
- いずれの問題が本当のポリシー問題であり、いずれの問題がそうでないか、また理事会がGNSOやその他の支持組織に求めているのはポリシーに関する勧告なのか単なる助言なのか、という点について明確な理解がなければならないということには、我々も同意します。「青写真」で示された原則は前者の問題に対応しようとなされた最初の試みでしたが、それらの原則がポリシー策定プロセスに組み入れられたことを我々は嬉しく思いました。そこで提案された修正は適切であると思いますし、ポリシー策定プロセスの開始前にこの問題について法律顧問(General Counsel)から正式な意見を聞く機会を取り入れることについても賛成します。
- 支援グループ勧告のうち、理事会による措置のタイミングと制限に関する部分については、さらに検討が必要であり、我々の見解を述べる段階には至っていません。支援グループから適切な提案をいただいたことに感謝しますし、ERCメンバーは支援グループの主張の大部分に納得していますが、一部の意味合いについてはまだ議論中で、コミュニティの意見もさらに必要です。コンセンサスに基づくポリシー勧告(支援グループの説明によると、GNSO評議会の「圧倒的多数」票を集める勧告)は、それほど広範囲のコンセンサスを反映しない勧告よりも理事会で重視されるべきであるという点には我々は概して同意しますが、それが理事会の活動能力にどのように影響を及ぼすべきかという点は未だ検討中です。これらの問題点に対するコミュニティからのコメントを募集します。
- 各PDPの進捗状況を掲載する状況報告用ウェブページの提案は良い提案であると考えますので、そのようなウェブページ作成の勧告を出そうと思います。
改めて、支援グループの非常に多大な努力に感謝いたします。また、勧告およびこれらのコメントについてのコミュニティのご意見を、是非お寄せ下さい。我々の「最終」勧告には、上記の勧告を大幅に取り入れたポリシー策定プロセスに関する具体的提案を盛り込むことになると予想されますが、もちろんその前にコミュニティのコメントを伺いたいと思っています。
「Country(国)」という言葉を使うのは不正確であり誤解を招く、というコミュニティの意見には我々も納得しています。「国コード」という用語は技術面から言っても不正確ですが、コミュニティに知られておりその意味が定着しているため、容認可能な代用語になっています。「Geographic(地域)」の方が好ましいと思われますが、そうすると英語の頭文字をとった略称にした時にGeographic Names SOとなり、Generic Names SO(分野別ドメイン名支持組織)と区別がつきにくくなってしまいます。
ERCは、個々のccTLD管理者、ならびにccTLD管理者グループおよびその他のグループと、ccNSO全般について数回話し合いました。その話し合いの中で、ccNSOの構成メンバー、活動範囲、内部組織を含むccNSOに関する勧告を行う支援グループを非常に近い将来に設置するという我々の意向を伝えました。支援グループの設置後、ccNSOの適切な実現について、コミュニティから支援グループに寄せるべきご意見を募集します。
アドレス評議会に置くGACリエゾンを1名追加するという点を除いては、「青写真」では現在のASOの組織変革は求めておらず、これは組織全体のアプローチと一致しています。現時点では、我々から付け加えるコメントはありません。
「青写真」では4つの諮問委員会の設置を求めましたが、現在は、「青写真」で特定した4つにAt Large諮問委員会を加えた5つの諮問委員会の設置を勧告しようと考えています。諮問委員会が要請をしたならば、それぞれが諮問委員会チェアの指示の下で作業するICANNスタッフのサポートを受けるべきです。「青写真」でとった立場に加えて、ICANN理事会に次のような勧告を出すことを現在検討しています。
GACは、ICANN理事会に派遣する議決権のないリエゾンを1名任命すべきです。また、GACが適切かつ有益だと考える場合は、SO評議会および諮問委員会に派遣する議決権のないリエゾンを任命する権限も与えるべきです。
技術諮問委員会は、技術上の助言や指導を理事会やその他ICANN内の組織に伝えることを目的としています。 TACは、2つの異なる、しかし同じように重要な役割において、ICANNの役に立つでしょう。その役割とは、(1)ICANNの使命に関連する専門知識を有する幅広い技術コミュニティへの入り口として、ICANNの活動を行う過程で生じる特定の技術面の疑問について、それに答えるのに最もふさわしい人々や(もしくは)組織に問い合わせることができるようにする、(2)積極的な「番人」として、さもなければ見落としてしまう可能性のある技術面の問題に意思決定者の注意が行き届くようにする、というものです。
TACは理事会の直属とし、次のような任務を行う権限を与えるべきです。
- 理事会と、関連諸問題に関する技術的助言を理事会に提供する各種情報ソースとを結びつける。
- 技術面の問題について、 (1)インターネットのネーミングおよびアドレス割り振りに関するインフラストラクチャー・サービスの運用者および管理者、 (2)インターネットのネーミングおよびアドレッシング標準を導入する会社および個人、(3)インターネットのネーミングおよびアドレス割り振りの問題に対して直接責任を負っている組織(TAC自体に代表を送っている組織に加え、RIR、ドメイン名レジストリ/レジストラなどを含む)など幅広い個人および組織と情報を交換する。TACには、上記のうちいずれの方面でも理事会の決定やその他のICANN活動に影響を及ぼし得る技術面の活動があれば、その関連性と進捗状況を理事会に報告し、ICANNの使命の範囲内でポリシー策定に影響を及ぼす世界の技術標準の問題への関心を喚起することが期待される。
- 活動内容を理事会に定期報告する。
TAC参加組織は、それぞれの綱領に関わる分野で必要性が生じた場合には、ポリシーに関する助言を理事会から個別に求められることもあり得ますが、TAC自体は理事会にポリシーに関する助言を与える権限は有しません。また、参加組織間で技術的問題について議論したり調整したり統一の立場を定めたりすることもTACの主旨ではありませんから、本来の任務に加えて技術標準策定の調整という不必要な任務がさらに課されることはありません。TACがIANAのIAB/IETF/IRTFに関する作業について、顧問またはその他の立場で関与することは一切ありません。
上記の綱領を遂行するためのTACの要件は、以下の通りです。
- ICANNの活動に関連する技術標準の問題に直接携わった経験を有する個人を構成メンバーとする。
- ETSI、ITU-T、W3C、IETF、IABの推薦(各組織から2名ずつ)に基づいてICANN理事会が選出するメンバー10名、および指名委員会プロセスを通じて選出する技術分野で確固たる経歴を積んでいる個人3名の合計13名を当初の構成メンバーとする。
- 1年任期(更新なし)のチェアを選出する。
- TACに代表を出している組織それぞれが持ち回りで、ICANN理事会に派遣する議決権のないリエゾンを1年任期で選出する。
- TACに代表を出している組織それぞれが持ち回りで、指名委員会に派遣する代表1名を1年任期で選出する。
指名委員会への代表と理事会へのリエゾンをTACメンバー組織が持ち回りで選出するという仕組みは、いずれの年度の人選でも異なる組織が行うようにするためのものです。
すべてのICANN構成組織の一般的な手続きに従って、TACの運営開始1年後およびそれ以降は2年おきに、理事会がTACの綱領、構造、運営を見直します。
セキュリティ諮問委員会は、GACにリエゾン1名を派遣できるよう現在の綱領を修正した上で理事会諮問委員会として継続し、ICANN理事会および指名委員会に派遣する議決権のないリエゾン1名を選出すべきです。
RSSACは、GACにリエゾン1名を派遣できるよう現在の綱領を修正した上で理事会の委員会として継続し、ICANN理事会および指名委員会に派遣する議決権のないリエゾン1名を選出すべきです。
Denise Michel氏およびEsther Dyson氏率いる支援グループにはALACに関する作業を熱心にしていただき、感謝いたします。支援グループの勧告を歓迎するとともに、それらの勧告に対し、広く一般からのコメントを募集します。以下で、支援グループの勧告に対する初期の具体的コメントを一部述べます。
- 「ALACの設置は、個人ユーザーのコミュニティをICANNに体系的に関与させるための、特にICANNのポリシー策定プロセスにおける正式な役割を与えて[個人]ユーザーの見解も考慮されることを確実にするための、重要な第一歩と考えるべきである」という点について、我々は支援グループに賛成します。ICANNは常にそれを目標に努力してきましたし、依然としてICANNにとって完了できていない組織業務の一つになっています。このプロセスを開始するための最も効果的な方法として、我々はALACの設置を勧告します。
- 支援グループが提案するALACは若干複雑な取り組みであると見受けられますが、実現可能であると我々は思います。組織化のための最初の作業の一部は既に行われたということは十分理解していますが、現在用意されている物語と図表の状態から、ICANNプロセスに有意義で十分な情報に基づく意見を提供できるような真に有効な構造を持つようになるまでは、非常に長い道のりです。従って、今日我々が始めるものが完成品へと進化し得るのだという認識を常に持ちつつ、大股で跳ぶのではなく小さな一歩一歩を踏み出して進んでいくべきだと我々は考えています。改革後のICANNでは、支持組織は当初と非常に異なったものとして見える(かつ機能する)でしょうが、それと同様に、我々が始めるALACも成熟して異なる組織に変化するでしょう。その発展を安定した、かつポジティブなものにするためには、管理しやすい方法から始めるべきです。
- 上記の理由により、初年度のALACは理事会が任命し、その中にALACの支援グループメンバーも入れる、ということをおそらく勧告することになるでしょう。我々は、この複雑な組織がただちに機能するとは支援グループほど楽観視していませんが、迅速かつ継続的に発展させるためには焦点を絞らなければならないという点には同意します。支援グループがこれまで多大な努力をしてきたことを考えると、彼らを暫定ALACのメンバーに任命するのは適切かつ妥当であると思われます。また、安定した永続的な組織への継続的発展の促進に目を向けて、理事会が同グループのメンバー数を増やして増強するのも妥当かも知れません。厄介で時間のかかるプロセスは設定せずに初年度ALACの必要人員数を満たすにはどうしたらよいか、他の提案も伺いたいと思います。
- ALACでリエゾンを任命して理事会に派遣することを、おそらく勧告することになると思います。ICANNの各諮問委員会が任命する他のリエゾンと同様、ALACのリエゾンも当初は議決権なしとすべきです。だからと言って、ALAC(もしくは他の適切なAt Large組織)もゆくゆくはICANN理事会の議決権を有するメンバーを選出することになるかも知れないという可能性を永遠に断ってしまう訳ではありません。ALACが成熟してくるにつれて、あるいはAt Largeの選挙が実施可能になることがあれば、コミュニティの一般個人ユーザー層の考えや利害を表明するための適切な方法を再検討してよいでしょう。
- 先に説明したように、ALACがきちんと組織化して機能するようになったら、指名委員会に出す代表を5名(支援グループが提案しているように、各ICANN地域評議会につき1名ずつ)選出すべきであるという勧告にも、我々は同意します。その地域評議会がまだ機能せず運営できる状態にない段階では、ALACが運営可能になり効果的に機能を果たすことができると分かるまでの間、これらの代表の一部またはすべてをどのように選出すべきか、ALAC支援グループやコミュニティの他のメンバーに提案をお願いします。
- 少なくとも現時点において我々は、ALACが各支持組織の評議会やその他の諮問委員会にリエゾンを出すべきであると確信してはいません。ICANNの構造をそのようにさらに複雑にすることは必要であるとも望ましいとも思えませんし、ALACが発展していく上でとるべきであると我々が考えている漸進的な構築アプローチともこの案は一致しません。この案は、将来再検討してもよいでしょう。
- 機能し、かつ実効的なALACを設置するにあたって最も重要なステップは、ALACメンバーの加入承認の際に適用する基準の設定、そしてALAC自身がメンバーを選出するプロセスにおいて適用される基準の設定であると我々は考えています。我々は、地域ベースの自立組織という考え方を支持するとともに、この考え方がどのように実施に移されるのか見届けたいと今も関心を持っています。特にこの問題について、さらにコミュニティからのコメントも歓迎します。
- 支援グループが提案するボトムアップ組織の理論的根拠を我々は理解していると考えていますが、おそらく理事会ではその組織をどのように実践するのか、確認したがるでしょう。地域別At Large組織の認可に覚書(MOU)のアプローチを使うという考え方には我々も概ね同意しますので、何をMOUに含めるべきかという点について、支援グループメンバーとコミュニティ一般から提案をいただければ幸いです。また、各地域別At Large評議会でALACメンバーを2名ずつ任命し、指名委員会でも各地域からさらにメンバーを1名ずつ指名する、という支援グループの提案にも同意します。その結果ALACのメンバー構成は、地域別評議会が選出する10名と指名委員会が選出する5名の計15名になります。
- 個々のAt Large組織は何らかの「認定」基準を満たしているべきであるという点に同意するとともに、支援グループが推奨する条件および基準のリストは興味深いものであると思います。上記の「認可」をどのように実施に移すべきかという点について、コミュニティのコメントを伺いたいと思います。このような「認可」を行うとすれば、少なくとも当初はICANN理事会が任命するグループが担当すべきであると我々は暫定的に考えていますが、他の提案も歓迎いたします。
- ALACメンバーがICANN会議に参加する際の旅費をICANNが払い戻すべきであるという点については、我々は納得していません。資金調達はすべての個人および組織にとって問題になっているということはよく分かりますが、一つの諮問委員会のメンバーに旅費を出して、他の諮問委員会や支持組織の参加者の旅費は出さないというのは、適切であるとは思いません。ALACは業務を効果的に遂行するためにはICANNのスタッフから十分なサポートを受けるべきであるという点には同意しますし、そのように勧告します。
これに関連して、改革後のICANNでは、実際に一つの場所に集まって行う会合での直接顔を合わせたやりとりに対する依存度を下げることを全体の目標に掲げて、深刻な不都合を生じさせることなく、より簡便かつ効果的に各個人が離れた場所から参加することができるように段階的に対処することを勧告しようと考えています。
上記の議論、および支援グループの勧告全体について、コミュニティのコメントをお寄せ下さい。
ICANNの創設以来続いている問題の一つに、広範な一般からの意見の収集およびICANNによる措置の見直しの適切な方法を確保するための、手続きおよび構造の確立があります。上で説明したAt Large諮問委員会が、十分な情報に基づく一般の意見をICANNの意思決定およびポリシー策定のプロセスに取り入れる重要な機会を提供します。かつて政府の立場からICANNの創設に立ち会い、民間への復帰以来ICANNに関わり続けてきたBecky Burr氏に、「青写真」が推奨する改革後のICANNの他の特徴4点について提言をいただくようお願いしました。その4つの特徴とは、オンブズマン制度、ICANN活動とそれに対する一般の反応に関する十分適切な情報を集めてICANNの理事会ならびに構成組織が時宜を得た方法でその情報を閲覧できるようにすることを専門に担当するスタッフの役職、再検討プロセスの改正、そして独立審査プロセスです。
Burr氏からは勧告をお寄せいただきました。勧告の作成に伴う氏の多大なご努力に感謝いたします。Burr氏の勧告は総じて説得力があり、参考になるものであると思います。我々の「最終」勧告を作成する際に配慮できるよう、是非コミュニティからコメントやご意見をお寄せいただきたいと思います。さしあたり、Burr氏の勧告について次のような初期コメントを述べます。
- オンブズマン事務局の綱領の案には、概ね同意します。同事務局の資金は通常のICANN予算プロセスを通じて拠出し、コミュニティのコメントを受け、事務局予算は最終的には理事会の承認を得るべきであると考えます。事務局の中立性を確保するため、事務局はICANNのCEOとは個別の予算申請を作成しますが、いずれの申請もコミュニティおよび理事会による同一の詳しい調査を受けるべきです。最初の任期は2年として、この構想をしばらく経験してから任期を延ばすことも可能とすることに、我々は同意します。職務を十分に安定させるということは、この構想が効果を発揮するために必要な中立性の認識の一部をなすということにも同意します。
このオンブズマン構想の綱領、職務案のリスト、その他の側面に関するコミュニティのコメントを募集します。
-
一般参加についての管理者(この肩書はあくまで仮称です)に関する勧告にも、概ね同意します。この管理者は、理事会、その他スタッフ、およびICANN構成組織と協力して、ICANN活動に対して十分な情報に基づくコメントが一般から活発に出されるよう手助けして、そのコメントを理事会およびその他のICANN組織が理解し、閲覧して検討の参考にできるようにする、という責務を担当すべきです。当然この役職は、支持組織や諮問委員会、また特にALACが設置されるのであればALACなど、特定のICANN組織のサポートを担当するスタッフと慎重に調整を行わなければなりません。(一般参加についての管理者と、GNSOのポリシー策定プロセスのために提案されたスタッフ管理者の役割を適切に統合させる必要性に関するコメントが寄せられていますので、その問題に配慮します。)実行可能な範囲内で、ICANN活動の現状に関する情報はできる限りリアルタイムに近いタイミングで電子的に入手できるようにしておくべきです。
- 再検討ポリシーに関する勧告は、なかなか理にかなっていると思われます。現時点では、ほぼ完全に勧告に従うことになるでしょう。ただ、再検討委員会は理事会に四半期ごとに報告書を提出するという点は除外されるかも知れません。提案されたような定期的な報告を行うことは有益であろうという点には同意しますが、我々は今のところ、報告書は年1回で十分だろうと考えています。
- 独立審査プロセスをめぐる問題は、難しい問題です。勧告は、概ね参考になると思います。調停役を務めてもらえそうな機関とさらに詳しい話し合いを行うまでは、手続きに関する勧告の一部についての最終判断は保留しなければなりません。
- 「補足の勧告および所見」については、これらの勧告を歓迎するとともに真剣に検討いたします。改革後のICANNが成熟していくにつれて、この分野で何らかの仕組みを追加することは適切かつ有益かも知れないという点について、我々も同意します。これらの提案に対するコミュニティのコメントを歓迎いたします。「ミッション・クリープ」(終わりの見えない展開)となる可能性について様々な懸念事項が徐々に表明されてきていますが、確かに付属定款は不変でないため、そのような「ミッション・クリープ」が生じる可能性を完璧に抑えてはくれません。従って、付属定款にICANNの使命を明記する(上記「1.使命および核となる価値」を参照)よりも(必要な柔軟性を排除することなく)もっと確実性を生み出すアプローチをこれから見出さなければならないのですが、まだ誰も提案はしていません。このような提案がありましたら、是非お寄せ下さい。Burr氏の報告の「補足の勧告および所見」の項で取り上げられているその他の問題は、おそらく現在の改革プロセスの範囲を超えていると思われますが、具体的な対応案がありましたら歓迎いたします。
以上をお読みいただくと、これらの勧告がすべて承認を受ければスタッフの増員が必要になるということは非常に明白です。ここで、矛盾が生じます。つまり、誰もがICANNの「合理化」を望んでいるのですが、ICANNの中で自分が最も関係のある部分については誰もが効果的かつ円滑に機能して欲しいと望んでいるのです。プロセスが増えれば増えるほど出てくる結果が少なくなるという矛盾と同様、ボランティアで構成されている組織が効果的に機能するには相当のスタッフ支援が必要です。関連する検討事項を十分に理解しながらも、ポリシー策定プロセスをより迅速かつ効果的に進めるためには、ICANNのボランティアによる参加者が行うプロセスおよび決定両方を支援かつ実施できる適切なインフラストラクチャーがなくてはなりません。
承認済みの2002-2003年度予算では2001-2002年度に対して大幅な増額が見られ、21名(実際の採用人員数は現在17名)から27名へと認可人員数をささやかながら増加させることが可能になっています。特に実際の人員採用プロセスは、ICANNスタッフが抱える他の多数の業務と処理の順番を争っている状態にあるため、その水準まで増員するには時間がかかります。しかし「承認済み予算」についての文書で指摘している通り、この増員は今日のICANNの「通常業務」のための適切な人材確保を図るもので、現在の改革プロセスの結果追加される職務はいずれも対象になっていません。この改革後に追加される職務に含まれるのは、オンブズマン、一般参加についての管理者、その他SO評議会や新しい諮問委員会(現在の予算にはSACのサポートスタッフ分は入っていますが、ALAC、RSSAC、TACは入っていません)、ポリシー策定プロセス、指名委員会などのために想定されているサポートスタッフなどで、これらすべてを実効的なものにするためにはスタッフ支援が必要です。また、GAC事務局への永続的な資金拠出も対象になっていませんが、GACが独自に資金確保していく可能性もあります。そして当然、スタッフを増員すると諸経費も増え、管理面の支援、設備や通信の支援、旅費なども必要になります。これらはすべて、ICANNの運営基盤がさらに国際的になっていく限りますます増加するでしょう。
ERCでは、現時点ではまだすべての費用の詳しい見積もりを出していません。しかし、現在の改革作業によって必要になると思われる7名~10名の増員スタッフの給与、手当、保険、管理諸経費、旅費などについて、控えめに見積もっても現在の予算に対してさらに100万~130万ドルの増額というのが必要額のおおよその見積もりです。増員の一部はフルタイムの内部スタッフではなく外部コンサルタントでまかなえる可能性もありますから、この概算額は不正確にならざるを得ません。最終的な金額は、詳しい分析の結果や、一人の人間がどの程度まで複数の職務を兼任できるかによって変わってきます。
2002-2003年度予算では、契約を締結している各gTLDおよびccTLDからのレジストリ/レジストラ料金から得られる収入は387万2千ドル計上されています。この金額を予算が想定しているドメイン名の総数で割ると、比較に役立つ算定基準になります。そうすると、予算のこの部分については1ドメイン名あたり12.69セントという金額が出ます。高い方の概算額をとって130万ドルの増額とすると、この算定基準の額は約3分の1の4.23セント増加し、1ドメイン名あたり16.92セントに増加します。(a)ccTLDからの任意拠出金が増加した場合、(b)新たなccTLDが契約を締結した場合、(c)新しいgTLDが追加された場合に発生し得る影響は、この計算からは除外しています。また、ドメイン名登録総数が増加すると1ドメイン名あたりのコストが減少するという効果が生じるでしょうが、その影響についてもここでは考慮していません。
上記の金額は、現在ICANNがレジストリおよびレジストラと結んでいる契約の現行の有効範囲におさまっていますが、その契約の規定に準じて、全体でgTLDドメイン名総数の3分の2にあたるレジストラによる予算承認が毎年必要になるかも知れません。またこの概算では積立金の増加は計上していませんが、積立金が不足するということは、現状ではICANNにとって相当の危険性を意味します。積立金をしっかりと集める場合は、同じ算定基準を使って計算すると、確保しなければならない資金額が1ドメイン名につきさらに3~4セント増加する可能性があります。
この分析はまだ概算ですが、これによって、改革に向けて現在進められている作業の予算面の影響全体を見通すことができます。この分析についてのコメントを募集します。
これら様々な改革を実際に施行するためには、必然的にICANNの付属定款の改正作業が必要になります。「最終」勧告には、我々の勧告を反映させた一連の新しいICANN付属定款の案を盛り込む意向であり、現在は改革関連作業の期限と既存のリソースの範囲内でその作業を完成させる方法を検討しています。
ICANN理事会が上海会議で最終改革案を採択すると想定すると、必然的に現在の構造からの移行が行われることになります。その移行のプロセスに関する我々の当初の考えを、次に述べます。特に移行の実践面について、コメントや提案を歓迎します。
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移行の最も重要な要素は、各支持組織および諮問委員会のスタッフ支援のための十分な資金を確保する仕組みを効果的に導入することです。下記の内容では、この導入は上海会議の後まもなく果たせると想定しています。導入が完了すれば、必要なスタッフ雇用のプロセスが始まります。2003年3月のICANN会議までにできるだけ多数の新スタッフを雇用することを目指すべきです。
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新規構成によるICANN理事会が決定するまで、必然的にしばらく時間がかかります。改革についての上海での理事会による最終決定が10月後半になると想定すると、ICANN新理事会の選出に数ヶ月かかるということも完全にあり得ます。間違いなく迅速に機能して、自分たちの組織が出すべき理事会メンバーを選出できる組織もありますが(ASO、GNSOなど)、他の選出(指名委員会によるものなど)は完了までにより時間がかかる可能性があります。上海会議の次に行われる公開理事会は、おそらく2003年3月か、あるいは上海会議の4ヶ月ほど後になるでしょう。新構成によるICANN理事会はその頃には決定していると想定するのは妥当であると思われますから、移行体制が必要になるのは(うまくいけば)その時までです。しかしどんな移行体制でも、必要であれば予定より長く持続できるだけの十分な耐久力を備えているべきです。
現在のICANN理事会は、各構成組織が選出する18名、および職権上のCEO1名によって構成されています。この18名のうち9名は「At Large」理事に指名され、それらの理事の任期は2002年の年次会合終了の際に満了となります。公式の年次会合の日程はまだ決まっていませんが、上記理事が2003年3月の会議の前に任期満了になることは明らかです。その後には、DNSO、ASO、PSO が3名ずつ選出した9名の理事が残ります。現在、このグループの議席が1名分欠員になっています(PSO選出のPhil Davidson氏が前に就いていた議席です)。さらに、今年の年次会合の終了時に任期が開始する新理事(Mouhamet Diop氏)をASOが選出しており、まもなく任期満了になるAlejandro Pisanty氏の後任理事も現在DNSOが選考中で、こちらの任期も今年の年次会合終了の際に開始します。よって現状では、改革がなければ任期が少なくとも2003年末まで続くICANN理事は8名(PSOが選挙を行って欠員になっている理事を任命すると9名)いることになります。
採用可能な移行のメカニズムはいくつでもありますが、この移行の間に持続する安定性を得ることを主に目指すべきであると我々は考えています。そのために、普通であれば任期が来年末まで続く現在の理事会メンバーは、2003年の3月会議が終了するまで(改革後の新理事会の選出に必要であると分かった場合はさらに長い期間)続投するべきである、とICANN理事会に勧告する予定です。その会議終了の時点で、改革後のICANN理事会メンバーに選出元組織の一つから選出されていなければ、メンバーはICANN理事会を退任します。さらに、今年で任期満了になる理事のうち6名(その時までにPSOが3人目の理事を選出している場合は5名)を理事会が選んで、改革後のICANN理事会が選出されるまで続投させ、新ICANN理事会に再選されない限りは新理事会選出後それらの理事も退陣する、という勧告も出す予定です。現在の理事会メンバーの数名が、任期終了後も理事会で続投する意向はないということを公式・非公式に示唆していますから、これらの理事会メンバーの個人的な決断によってこの選出プロセスは単純化する可能性もあります。最終的な改革に関する決定に整合した適切な規模の暫定理事会を完成させるためには、その他の調整も必要になるかも知れません。
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ICANN理事会への議決権のないリエゾンのうち数名は、既存の組織から選出されます(GAC、RSSAC、SAC、IAB/IETF)。それらの組織は上海会議の後できるだけ早急に、かつ必ず2003年3月のICANN会議までにはリエゾンを選出しなければなりません。TACおよびALACのリエゾンについては、TACとALAC設置の必要性との関連において以下で取り上げます。さらに、指名委員会に代表を出す各組織は、上海会議の後できるだけ早急に選出を行うべきです。
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ASOについては、実質的な変更は必要ありませんので、ただちに機能できるはずです。ASOはICANN理事会メンバー2名と指名委員会への代表1名を選出しますので、上海での理事会決定後できるだけ迅速に選出を行うべきです。
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GNSOは当初は6つの既存部会で構成されますから、新しい付属定款の可決後すぐに機能できるはずです。GNSOではICANN理事会のメンバーを2名選出しますから、上海での理事会決定後できるだけ迅速に選出を行うべきです。その他GNSOがとらなければならない措置は、GAメーリングリストの運用をGNSOが担当する間、管理者/モデレーターを任命することと、新付属定款に従ったポリシー策定プロセス(PDP)の実施です。関連するGNSO部会は、上海会議の後できるだけ早く指名委員会への代表を選出しなければなりません。
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ccNSOの移行に関する詳細については、今後の進展を待たなければなりません。
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理事会がALACを設置すると想定して、ALAC支援グループのメンバー、ならびにALAC組織案の迅速な導入の促進のために適切であると理事会が判断するその他の人物によって構成される、暫定ALACを設置することを勧告します。暫定ALACは、最終的なALAC構造が導入されるまで、ICANN理事会に派遣するALACリエゾンを選出すべきです。また、暫定ALACの任命後できるだけ早急に、指名委員会への代表も選出しなければなりません。
- TACを構成する組織は、2003年3月のICANN会議の前にTACを組織し、初年度の理事会リエゾンと指名委員会への代表を選出できるはずです。
コメントおよび提案をお寄せ下さいますよう、改めてお願いします。これまで中間実施報告を出してきた目的は、我々が暫定的に出した結論をコミュニティの他の皆さんと分かち合って、ご意見をお寄せいただき、最終的な結論に達するにあたって皆さんから返ってきたその反応を取り入れることができるようにすることなのです。我々がコメントや提案を慎重に検討して頻繁に採用していることは、すでにお分かりいただけたはずですので、コミュニティのメンバーすべての方にご意見をお寄せいただきたいと思います。この報告では、我々の結論とその根拠の両方を述べようと努力しました。コミュニティのメンバーすべての方に、賛否ともどものご意見、および代替案がありましたら何でもお寄せ下さいますようお願いいたします。
2002年9月2日
ICANNの発展と改革に関する委員会