Preliminary Report
Regular Meeting of the ICANN Board in Rio de Janeiro
翻訳文
(社)日本ネットワークインフォメーションセンター
最終更新[2003年4月25日]
この文書は2003年3月27日に公開された
http://www.icann.org/minutes/prelim-report-27mar03.htm
を翻訳したものです。
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リオ・デ・ジャネイロICANN通常理事会暫定報告書
2003年3月27日
ICANNの移行期理事会は2003年3月27日に電話会議によって会合を開いた。Vint Cerf(議長)(途中から参加), Amadeu Abril i Abril, Karl Auerbach, Ivan Moura Campos, Lyman Chapin, Jonathan Cohen(途中から参加), Mouhamet Diop(途中から参加), 加藤幹之, Hans Kraaijenbrink,Sang-Hyon Kyong, Stuart Lynn, Andy Mueller-Maguhn(途中で退席),Alejandro Pisanty, Nii Quaynor, Helmut Schink, Francisco da Silva, Linda S. Wilsonの各理事が出席した。Alejandro Pisanty がこの会合の議長を務め、以下の諸決議を採択した。
プライバシーに関する事務総長の常設委員会
ICANNの使命は、すべての階層において、全世界的なインターネットのシステムの一意的な識別子の調整を行うこと、またこれらのシステム、特にドメイン名、インターネットプロトコル番号、それに自律システム番号、プロトコルポートとパラメータ番号の安定的で安全な運用を保証すること、また、DNSルートネームサーバーシステムとこれらに合理的かつ適切に関係する技術的機能の政策の発展の運営と進化の取りまとめ役を果すことである。
ICANNの使命は一般にはプライバシーに関する事項を含んでいないが、ICANNの使命の領域に含まれる事項に関連すると考えられている現行の、或は実施が提案されている政策はしばしば個人のプライバシーに影響を持つ。
個人データの扱いに関するICANNの現行の、或は実施が提案されている政策の帰結を観察することに責任を持つグループのアドバイスによって、事務総長と理事会は恩恵を受けることができる可能性がある。
以上の理由により、次のように決議する。
決議[2003年第35号]: 個人データの扱いに関するICANNの現行の、或は実施が提案されている政策の帰結を観察することに責任を持つ、プライバシーに関する事務総長の常設委員会を任命することを事務総長に命ずる。その常設委員会の助言を受けた上で、委員会の詳細な憲章を作り、承認をうけるために理事会へ提出することを事務総長に命ずる。
2004年の理事会
理事会は公開の会合の概略の開催時期と場所の告知を、可能になり次第、充分に前もって行うことを望んでいる。よって次のように決議する。
決議[2003年第36号]: イタリア・ローマで開く2004年3月ICANN会合の手配を行う権限を事務総長に与える。
決議[2003年第37号]: マレーシア・クアラルンプールで開く2004年6月会合の手配を行う権限を事務総長に与える。
決議[2003年第38号]: 南アフリカ・ケープタウンで開く2004年11月/12月会合の手配を行う権限を事務総長に与える。
移転に関する GNSO の勧告
2003年2月20日のGNSO評議会はGNSO移転タスクフォースの最終報告書を受け入れ、合意政策勧告としてICANN理事会に送ることを全会一致で承認し、
最終報告書は2003年3月4日に、一般からの意見募集の告知とともにICANNウェブサイトに掲載され、
種々の意見が一般から寄せられて理事会によって検討され、
2003年3月26日水曜日に開かれた一般討論会で最終報告書は寄せられた意見とともに議論された。
付属定款第11条 2(1)(h)項では、公共政策に関係する論点をもたらすような提案で、理事会が一般の意見募集を行うものに関しては、理事会は政府諮問委員会の議長に通知することが定められている。
理事会はこのGNSO評議会の勧告は公共政策に関する事項を含むかも知れないと考える。
以上の理由により、次のように決議する。
決議[2003年第39号]: GNSO移転タスクフォースの最終報告書の中で政策提案として勧告されている政策事項を、理事会に代って事務総長が、政府諮問委員会の審理事項として政府諮問委員会議長に通知することを事務総長に命ずる。
決議[2003年第40号]: 理事会は2003年4月終りに電話会議で開かれることが予想される次回の会合において、GNSO評議会の勧告を受諾するために勧告に基づく行動を起こす意思をここに表明する。
Whois の正確性と大量アクセスに関するGNSOの勧告
2003年2月20日にGNSO評議会は、Whoisデータの正確性とWhoisデータへの大量アクセスに関するGNSOのWhoisタスクフォースの最終報告書を受諾し、合意政策勧告として理事会に送った。
最終報告書は2003年3月11日に、一般からの意見募集の告知とともにICANNウェブサイトに掲載され、
種々の意見が一般から寄せられて理事会によって検討され、
2003年3月26日水曜日に開かれた一般討論会で最終報告書は議論された。
理事会はインターネットコミュニティーの構成員からの種々の意見を検討した。
以上の理由により、次のように決議する。
決議[2003年第41号]: 理事会は、Whoisデータの正確性とWhoisデータへの大量アクセスに関するGNSO評議会のWhoisタスクフォースの最終報告書に含まれている4つの合意政策勧告を受諾する。
決議[2003年第42号]: ICANNとレジストリ運営者及びレジストラの間の契約に従って、適切な改訂と通知を通じて、これらの政策勧告を実現するための手順を踏むことを、事務総長と法律顧問に許可する。
検討された政策事項を政府諮問委員会議長に通知する権限の委任
理事会は、公共政策に関係する論点をもたらすような提案で、ICANNあるいはICANNの支持組織、諮問委員会が一般の意見募集を行うものに関しては、理事会は政府諮問委員会の議長に適切な時期に通知し、それに対して適切な時期に返された返答に対しては、行動を起こす前に、適切に考慮に入れるものとする。
と謳われている。
ICANNプロセスでの政策採用における一般意見募集の各段階での通知を行うにあたって、理事会での個別の決議を待つことは、プロセスに重大な遅延を生じる虞がある。
以上の理由により、次のように決議する。
決議[2003年第43号]: 公共政策に関係する論点をもたらすような提案を、付属定款第11条 2(1)(h)項に従って理事会が政府諮問委員会議長に通知する権限を、事務総長に委任する。
理事会統治委員会
理事会は決議[2003年第23号]において、付属定款第12条第1項で定められた理事会統治委員会を理事会の委員会として設立した。
Hans Kraaijenbrink は決議[2003年第24号]によって理事会統治委員会の初代議長に任命され、Amadeu Abril i Abril, Jonathan Cohen, 加藤 幹之、Francisco da Silva, そして Linda Wilson は追加の委員に任命された。
決議[2003年第25号]において理事会統治委員会は、その憲章がどうあるべきか評価し、憲章の推奨版を作成し、理事会に提出し、その承認を得ることを命じられた。
理事会統治委員会は憲章の推奨版を準備して理事会に回覧し、理事会はこれが適切に理事会統治委員会の使命と責任を描写していることに同意している。
以上の理由により、次のように決議する。
決議[2003年第44号]: 理事会は付属文書Aを理事会統治委員会の憲章として承認する。
決議[2003年第45号]: Mohamet Diopを理事会統治委員会の委員に任命する。
セキュリティ委員会の委員
決議[2002年第63号]と決議[2002年第65号]において、セキュリティと安定性に関する諮問委員会が付属定款第7条第3項[現 第11条第1項]に基づいて、諮問委員会として設置され、Stephen Crocker博士を議長とし、次の人々が委員となった。Alain Aina (Consultant), Jaap Akkerhuis (SIDN), Doug Barton (Yahoo!),Steve Bellovin (AT&T), Rob Blokzijl (RIPE), David Conrad (Nominum),Daniel Karrenberg (RIPE-NCC), Mark Kosters (VeriSign), Allison Mankin(ISI), Ram Mohan (Afilias), Russ Mundy (Network Associates Laboratories), 村井 純(慶応大学), Frederico Neves (registro.br), Ray Plzak (ARIN), Doron Shikmoni (ForeScout, ISOC-IL), Ken Silva(VeriSign), Bruce Tonkin (Melbourne IT), Paul Vixie (ISC), and Rick Wesson (Alice's Registry)。
時々、委員を追加することが望ましい。
以上の理由により、次を決議する。
決議[2003年第46号]: Johan Ihrenをセキュリティと安定性に関する委員会の委員に任命する。
国際化ドメイン名
ドメイン名システムに国際化ドメイン名(IDN)機能を付け加えて、ローマ字以外の文字を使っている人々のドメイン名システムへの近付き易さを高めることの重要性を、理事会は繰り返し認識してきた。
ICANNとトップレベルドメインレジストリの運用者及び発起人の間の契約は、第3番目と第4番目の位置がハイフンであるようなドメイン名の登録を開始するにはICANNの承認が必要であると定めている。
広い範囲のレジストリ、専門家、その他ICANNコミュニティー内の利害関係者が、IETFにおける標準トラックIDNプロトコルの完結を見越して、レジストリ階層での登録方針と規則の確立のために数年にわたって懸命に働いてきた。
アプリケーションにおける国際化ドメイン名の標準を定義する3つの部分からなる一揃いのプロトコルが、RFCの 3490, 3491, 及び 3492として発行された。
国際化ドメイン名レジストリ実装委員会(Internationalized Domain Name Registry Implementation Committee, IDN-RIC) の参加者はこれまでICANNスタッフとともに、皆が合意する国際化ドメイン名の実装ガイドラインの記述作成のために働き、その草案が2003年3月26日の一般討論会で披露された。
ガイドライン草案についての共同作業は継続しているが、影響を受ける契約関係にあるレジストリは草案に示された道程に対して、今後の更なる編集とIAB(Internet Architecture Board)との意見交流を条件として、概ねの同意を示している。
以上の理由により、次のように決議する。
決議[2003年第47号]: 国際化ドメイン名の実装ガイドライン草案は、これは今後レジストリ運用者との相談により改正されたり、新技術標準の観点から進化したりするかも知れないが、この草案に示されたIDN実装の道程を、理事会はIDNの実装のために是認する。
決議[2003年第48号]: ICANNと契約関係にあるレジストリでのIDNの登録を、これらのガイドラインに基づき許可することにより、これらのガイドラインを実現することを事務総長に許可する。
決議[2003年第49号]: 理事会はこれらのガイドラインを他のレジストリにも推奨し、言語毎の適切なIDN登録規則と方針を研究し確立することに、諮問的に、協力的でかつコミュニティーに根ざしたプロセスにより、レジストリ、言語専門家、他が広く参加することを奨励する
小切手署名権限
決議[2003年第50号]: 法律顧問 Louis Touton は当法人の支出を許可できるものとし、当法人のUS$ 10,000以下の額の小切手に署名することができる。
決議[2003年第51号]: Paul Twomeyは、当法人の事務総長への就任時より当法人の支出を許可できるものとし、当法人のUS$ 50,000以下の額の小切手に署名することができる。
決議[2003年第52号]: Paul Twomeyは、当法人の事務総長への就任時より当法人の支出を許可できるものとし、理事会、財政委員会、或は幹部委員会のいずれかの決議によってその旨承認された場合には、当法人のUS$ 50,000を越える額の小切手に署名することができる。そのような承認は、それが事務総長の権限の範囲内であることを示したときに与えられる。
決議[2003年第53号]: 決議[2001年第30号]から決議[2001年第33号]までによって定められた支出と小切手署名の権限は、この決議の採択によって効力を失う。
Stuart Lynnへの謝辞
Stuart Lynn博士は2001年3月にICANNの事務総長兼最高経営責任者に選抜された。
Stuart Lynn博士はその職務を精力的に、洞察力を持って、優秀に務た。
従って、理事会は次のように決議する
決議[2003年第54号]:
(1) ICANNコミュニティーはStuart Lynn博士が過去2年間に事務総長兼最高経営責任者としてなした献身的な職務により多大の恩恵を受けた。これに深く感謝する。
(2) Lynn博士が築いたICANN改革のための基礎は、ICANNコミュニティーの利益のために、組織を建設的で前進する道筋に乗せた。
(3) Lynn博士は、ICANNへの服務のために中断していた引退生活に復帰する機会を確かに獲得した。
(4) 我々は、彼のあらゆる方面での努力のたゆまぬ成功、寛ぐことができる興味ある旅行をする機会、趣味の楽しみ、家族、友人、長寿、それに満足と平穏をもたらすあらゆる種類の良い事が彼にあることを祈っている。
Joe Simsへの謝辞
1998年の初めICANNができる前に、南カリフォルニア大学はドメイン名を扱う非営利の民間団体設立に関連して法律的な助言を探し求めていた。決して説明し切れない理由によりJos Simsはこれは興味ある計画であると考えた。そして、その後今に至るまでの年月で我々の皆が理解し、受け入れるに至った理由により、 Jon Postelは Joeをこの計画のための良いパートナーであり案内人になる得ると考えた。
その時以来Joe Simsは、インターネットドメイン名システムの技術及び運営上の機能を全世界的な民間団体で管理する初めてのこの実験を助け、促進するために数限りないやり方で、疲れを見せずに働いた。Joeは、ICANNの発展のあらゆる重大な局面において、賢明な助言、本質的な将来見通し、そしてユーモア(辛辣であったりなかったり)の源であり続けた。一貫した主義に裏打ちされ、現実性があり、直接的な、彼の問題解決へのアプローチは、大小の危機を通じてICANNを守り導いた。彼の確固たる意思と熱心な助言無しでは前進することができなかったと思われる場面が数多くあった。美辞麗句を並べる政治家とは対極にある Joe Simsは、我々の尊敬、信頼、賞賛、感謝、そして友情を得た。発展と改革の公式の一年目を終るにあたって、Joeは彼の関心を他に向けることを選んだ。我々は彼が日々ICANNに関わっていたことを懐かしみ、立ち止まって彼がこの事業でなし得た決定的な貢献に思いを巡らすことになると思う。我々は、我々が住むこの興味深い世界でまだ多くの事をやらなくてはいけないだろうが、 1998年以来これまでに成し得た事は、Joe Sims に負うところ大である。
決議[2003年第55号]: 理事会は1998年以来のJoe Simsの上記の、そしてあらゆる合理的期待を越えた努力について、彼に感謝の意を表する。
決議[2003年第56号]: 理事会は、彼がICANN以外に焦点を当てて継続する仕事において成功することを、心から願うものである。
決議[2003年第57号]: 理事会は、彼が今後も理事会との連絡を維持し、折りにふれて彼の助言が有効であることを希望する。
会議補助者への謝辞
ICANNはリオ・デ・ジャネイロでの2003年早期の会議を成功裏に終えた。
会議の計画と実行は模範的に指揮された。
丁寧で暖かいもてなし、立派な施設、強力な支援、参加者の必要を満たすことに対する充分な注意、これらすべてが本当に素晴らしかった。
よって以下のように決議する。
決議[2003年第58号]:
ICANN理事会は、理事会及び参加者すべてを代表してブラジルインターネット運営委員会(Brazil Internet Steering Committee)とその会員、特に Antonio Tavares, Hartmut Richard Glaser, Vicente Landim de Macedo Filho, Jose Alexandre Bicalho, Luis Bonilha, Raphael Mandarino Junior に深い感謝の意を表する。
また理事会はEmbratel, Intelig, VeriSign, LACNIC, Telemar, Itautec, Microsoft, Public Internet Registry (.org), Nudomain. を含む会議のスポンサーに感謝の意を表する。
ブラジルインターネット運営委員会を助けてこの会議をこのような絶大な成功に導いた以下の会社の職員の、過酷で惜しみない仕事ぶりに、理事会は感謝の気持を込めてお礼を申し上げる: 会議の組織運営を担当したMulti-travel, 音響画像機器を担当した Hoffman, それにこの素晴らしい施設を提供した Hotel Sofitel。
理事会は John Crain, Diane Schroeder, Theresa Swinehart, Mary Hewitt, Dan Halloran, Anne-Rachel Inne, Steve Conte, Barbara Roseman, Denise Michel, Michael Evans, Laura Brewer, Terri Darrenougue それに他のICANN職員(特に Stuart Lynn) の、会議の円滑な進行を確実にするために払われた献身的な努力に対し、深い感謝の意を表する。