======================================================================== IPv6アドレス割り振りおよび割り当てグローバルポリシー 2002年4月25日の草稿(参考訳) バージョン2002-04-25 APNIC ARIN RIPE - NCC"翻訳文 (社)日本ネットワークインフォメーションセンター 最終更新 2002年 6月 25日 この文書は http://www.apnic.net/mailing-lists/global-v6/archive/2002/04/msg00050.html を翻訳したものです。JPNICはこの翻訳を参考のために提供しますが、その品質 に責任を負いません。 ------------------------------------------------------------------------ IPv6アドレス割り振りおよび割り当てグローバルポリシー 2002年4月25日の草稿(参考訳) バージョン2002-04-25 APNIC ARIN RIPE - NCC 本文書の立場 本ドキュメントは、APNIC、ARIN、RIPE NCCのコミュニティによって議論され ているポリシーのドラフトである。この文書の配布についての制約は文書の内 容を変更しない限りまったくない。 この文書についてのコメントはglobal-v6メーリングリストまで。 投稿: global-v6@lists.apnic.net 申し込み: http://www.apnic.net/net_comm/lists/ アーカイブ: http://www.apnic.net/net_comm/lists/ 要約 本ドキュメントは世界的に固有なIPv6アドレスを、ISPやその他の組織に割り 振り/割り当てる際のレジストリポリシーを定義する。本ドキュメントにより 『Provisional IPv6 assignment and allocation policy document (IPv6割り 当て/割り振りポリシー・ドキュメント(暫定) )』"は廃止される。 また本ドキュメントはAPNIC、ARIN、RIPEのコミュニティにより共同で策定さ れたものである。 目次 本文書の立場 1. はじめに 1.1. 概要 2. 定義 2.1. 自律システム(AS) 2.2. インターネットレジストリ(IR) 2.3. 地域インターネットレジストリ(RIR) 2.4. 国別インターネットレジストリ(NIR) 2.5. ローカルインターネットレジストリ(LIR) 2.6. 割り振り 2.7. 割り当て 2.8. 利用率 2.9. HD-Ratio 2.10 エンドサイト 3. IPv6アドレス空間管理の目標 3.1. 目標 3.2. 一意性 3.3. 登録 3.4. 集成 3.5. 節約 3.6. 公平性 3.7. オーバーヘッドの最小化 3.8. 目標の衝突 4. IPv6ポリシーの考え方 4.1. アドレス空間は所有物とはみなされない 4.2. 保証されない経路制御可能性 4.3. 最小割り振りサイズ 4.4. IPv4インフラストラクチャの考慮 5. 割り振りと割り当てのポリシー 5.1. 初期割り振り 5.1.1. 初期割り振りの基準 5.1.2. 初期割り振りのサイズ 5.2. 追加割り振り 5.2.1. 追加割り振りの基準 5.2.2. HD-Ratioの適用 5.2.3. 追加割り振りのサイズ 5.3. LIRからISPへの割り振り 5.4. 割り当て 5.4.1. 割り当てアドレス空間のサイズ 5.4.2. 単一のサイトに対する複数の/48の割り当て 5.4.3. オペレータのインフラストラクチャに対する割り当て 5.5. 登録 5.6. 逆引き 5.7. 既存のIPv6アドレス空間保持者 6. References 7. 付録A :HD-Ratio 8. 付録B :参考情報 8.1. 背景 8.2. なぜグローバルポリシーか 8.3. IPv6アドレス空間サイズ 8.4. 謝辞 1. はじめに 1.1. 概要 本ドキュメントでは、インターネットプロトコルバージョン6(以下、IPv6)に 関して、世界的に固有なインターネットアドレス空間の分配とその運用に関す るポリシーについて説明する。本ドキュメントは、1999年より有効となってい る、現在の暫定的IPv6ポリシー[RIRv6-Policies]を更新、廃止する。本ドキュ メントに記述されるポリシーは、すべてのレジストリで唯一のものとして運用 されるグローバルなポリシーである。ただし、本ドキュメントの採用は、個々 の地域または地区における改善を排除するものではない。 [RFC2373、RFC2373bis]では、IANAがRIRへ割り振ることのできるグローバル ユニキャストアドレス空間に2000::/3を指定している。[RFC2928、 RFC2373bis、IAB-Request]に従い、IANAは既存のRIRに対して2001::/16アドレス ブロックからのグローバルユニキャストIPv6アドレス空間の初期領域を割り振っ ている。本ドキュメントでは、RIRが割り振りポリシーを定めている2000::/3 ユニキャストアドレス空間の初期および追加の割り振りを扱う。エンドサイト は一般に/48の割り当て[RFC3177、RIRs-on-48s]を与えられるため、本ドキュ メントでは2000::/3から/48までの領域にあるビットに関するポリシーを特に 重視する。ただし、エンドサイトには/64と/128の割り当てを受けるものもあ るため、2000::/3から/64までの領域にあるすべてのビットが対象となる。 このポリシーは暫定的(Interim)なものとしてみなされ、将来IPv6の運用に 関するより幅広い経験に従って見直される。 2. 定義 [注: 以下の定義のいくつかは、一貫性を高めるため他のRIRドキュメント の定義で置き換えられる。] 以下の用語とその定義は、本ドキュメントに書かれている目標、環境、ポリシー を理解するために特に重要なものである。 IPv6アドレス空間を管理する負担は、以下のような階層構造により世界に配分 される。 +--------+ | IANA | +--------+ | +-----------+ | | +--------+ +--------+ | RIR | | RIR | Regional Internet +--------+ +--------+ Registries (APNIC, ARIN, RIPE NCC, | | plus possible future RIRs) | | | +-----+ | | NIR | National Internet | +-----+ Registries (AP region) | | +--------+ +--------+ |LIR/ISP | |LIR/ISP | Local Internet +--------+ +--------+ Registries (ISPs) | | +--------+ | | | | +-------+ +----+ +----+ |EU(ISP)| | EU | | EU | End users +-------+ +----+ +----+ 2.1. 自律システム(AS) 自律システム(AS)とは、ネットワーク運営者により、単一の明確に定義され たルーティングポリシーの下で運用されている、1つ以上のIPプレフィック スが接続されたかたまりである。 2.2. インターネットレジストリ(IR) インターネットレジストリ(IR)はIPアドレス空間をメンバーまたは顧客に分配 し、その分配を登録する責任を持つ組織である。IRは上記の階層構造における 主要機能と地域的担当範囲に従って分類される。 2.3. 地域インターネットレジストリ(RIR) 地域インターネットレジストリ(RIR)は、各地域のコミュニティによる承認と IANAの認可で設立され、大きな地域にサービス提供し、その地域を代表する。 RIRの主な役割は、それぞれが担当する各地域内でパブリックインターネット アドレス空間を分配、管理することである。 2.4. 国別インターネットレジストリ(NIR) 国別インターネットレジストリ(NIR)は、主として、一般に国レベルで組織さ れたLIRであるメンバーや構成員に対し、アドレスの割り振りを行う。NIRは主 にアジア太平洋地域に存在する形態である。 2.5. ローカルインターネットレジストリ(LIR) ローカルインターネットレジストリ(LIR)は、主として自己が提供するネット ワークサービスのユーザにアドレス空間を割り当てるIRである。LIRは一般に ISPのことであり、その顧客は主としてエンドユーザであるが、その顧客が別 のISPである場合もある。 2.6. 割り振り 割り振りとは、再分配のためにアドレス空間をIRに分配することである。 2.7. 割り当て 割り当てとは、ISPやエンドユーザに対し、そのエンドユーザやISPが運用する インターネットインフラストラクチャでの特定の利用のため、アドレス空間を 委譲することを言う。割り当ては特定の組織が文書により示した特定の目的に 対してのみ行われねばならず、他者に対してさらに割り当てがされることはな い。 2.8. 利用率 IPv4と異なり、IPv6は概ね各エンドサイトに固定サイズ(/48)で割り当てられ る。それぞれの割り当て内での実際の利用率は、IPv4の割り当てと比較すると 極めて低くなる。IPv6では「利用率」は/48境界の左側ビットについてのみ計 測する。言い換えれば、利用率とはエンドサイトへの/48の割り当てを指すの であり、それらエンドサイトにおける個々の/48内での割り当てアドレス数を 指すものではない。 本ドキュメントでは、利用率という語はエンドサイトへの/48の割り振りを指 し、それらのエンドサイトにおける個々の/48内での割り当てアドレス数を指 すものではない。 2.9 HD-Ratio HD-Ratioはアドレス割り当て効率を評価する方法である[RFC 3194]。これは [RFC 1715]で当初定義されたH-Ratioの応用であり、以下のように表される。 Log (割り振られたオブジェクトの数) HD = ----------------------------------------- Log (割り振り可能なオブジェクトの最大数) ここでは(このドキュメントの場合)、オブジェクトはあるサイズのIPv6プレ フィックスの中から割り当てられたIPv6サイトアドレス(/48)となる。 2.10. エンドサイト エンドサイトは、以下のようなサービスプロバイダと契約関係を持つエンド ユーザ(加入者)として定義される。 - エンドユーザにアドレス空間を割り当てるサービスプロバイダ - エンドユーザに対し、他のサイトへのトランジットサービスを提供す るサービスプロバイダ - エンドユーザのトラフィックを転送するサービスプロバイダ - エンドユーザの割り当てを含む集成プリフィクス経路を広告するサー ビスプロバイダ ISPと個別に契約している各エンドユーザ(加入者)は、組織または地理的位置 にかかわらず、エンドサイトとみなされ、/48 IPv6の割り当てを受ける資格を 有する。 3. IPv6アドレス空間管理の目標 3.1. 目標 IPv6アドレス空間は公共の資源であり、インターネットの長期的な利益に関し 慎重に管理されねばならない。責任あるアドレス空間管理には、時として対立 する目標同士のバランスをとる必要がある。次に述べるのはIPv6アドレスポリ シーに関した目標である。 3.2. 一意性 割り当ておよび割り振られた各アドレス空間は、世界にただ1つしかないこと を保証しなければならない。これは、インターネット上の各パブリックホス トが一意に識別できるようにするための絶対的要求である。 3.3. 登録 インターネットアドレス空間は、インターネットコミュニティの適切なメンバー がアクセス可能な、レジストリデータベースに登録されなければならない。こ れは、各インターネットアドレスの一意性を保証するためであり、また、RIR をはじめとする全てのIRやエンドユーザなど、インターネットを利用するあら ゆるレベルの人がインターネット上のトラブルを解決するための参照情報を提 供するために必要である。 登録という目標は、適切なプライバシーへの配慮と既定の法に従って施行され るべきである。 3.4. 集成 アドレス空間は、ネットワークインフラストラクチャのトポロジに沿って、可 能な限り階層的に分配されなければならない。これは、ISPによるルーティン グ情報を集成しインターネット経路表の増大を抑えるために必要なことである。 この目標はIPv6アドレス体系において特に重要であり、IPv6アドレスでは、ア ドレスプール全体のサイズが内部経路制御および外部経路制御の両方に重大な 影響を与える。 IPv6アドレスポリシーは、アドレスレンジの分断化防止に努めるものであるべ できある。 さらにRIRは、現在保有している割り振りに連続した空間で追加割り振りが行 える可能性を最大にするような運用を採用すべきである。ただし、連続した割 り振りは保証されるものではない。 3.5. 節約 IPv6は非常に膨大なアドレス空間を持つものの、アドレスポリシーは不必要に 浪費的な運営を避けねばならない。アドレス空間の申請者は、適切な文書によ る裏付けを行うべきであり、未使用アドレスの備蓄は避けるべきである。 3.6. 公平性 パブリックなアドレス空間の使用に関するすべてのポリシーは、現在および未 来にわたるすべてのインターネットコミュニティの構成員に対し、場所、国籍、 規模その他いかなる要因にも左右されることなく公平に適用され実施されるべ きである。 3.7. オーバーヘッドの最小化 アドレス空間の獲得に絡むオーバーヘッドは最小化されるのが望ましい。RIR に対して追加アドレス空間の申請をあまりに頻繁に行うこともオーバーヘッド となるほか、大きい空間拡張を少ない回数で行うのではなく、小さな拡張を続 けて数多く行うこともアドレス空間管理のオーバーヘッドに結びついてしまう。 3.8. 目標の衝突 上に述べた目標はしばしば相互に衝突したり、個々のIRやエンドユーザのニー ズと衝突したりする。割り振りおよび割り当て申請審議を行うすべてのIRは、 申請者のニーズとインターネットコミュニティ全体のニーズのバランスを取り ながら判断を行わなければならない。 IPv6アドレスポリシーでは、集成の目標が最も重要であると考えられる。 4. IPv6ポリシーの考え方 前のセクションで示した目標を達成するために、本ドキュメントにおけるポリ シーは以下にかかげるような基本的な考え方を議論し、採用する。 4.1 アドレス空間は所有物とはみなされない アドレス空間を自己の所有物とみなすことは、本文書で述べられている目標だ けでなく、インターネットコミュニティ全体の利益にも反することである。 本ドキュメントにおけるポリシーは、グローバルなIPv6アドレス空間は所有さ れるものではなく、使用を認可されたものだというという理解にたっている。 特に、IPアドレスは認可に基づいて割り振られ、その認可は定期的に更新を受 ける。認可を受けるには、認可の開始または更新時に適用される特定の条件が ある。 RIRは通常、申請組織が割り振りの資格あるいは認可を得た際の基準を満た すべく、誠意を持って努力している場合、認可を自動的に更新する。 ただし、申請組織が割り振りを当初の予定通りに使用していない、あるいは 受けた割り振りに伴う義務の遂行に対して不誠実であった場合、RIRは特定の 割り振りに対する認可を更新しない権利を有する。 認可が新しく更新されるとき、その認可は、更新時に適用されているIPv6アド レス割り振りポリシーに基づいて審査および管理が行われるが、そのポリシー は割り振りを受けた時点でのポリシーとは異なる場合があることに注意された い。 4.2. 保証されない経路制御可能性 アドレス割り振りや割り当てはいずれも、グローバルに経路制御可能であると いう保証はない。 しかしRIRは、経路制御可能性の低下を引き起こしかねないアドレス空間分断 化の可能性を抑えるプロシージャを採用しなければならない。 4.3 最小割り振りサイズ プリフィクスを基準にしたフィルタリング促進のため、RIRはIPv6割り振り に対して最小割り振りサイズを適用する。 IPv6アドレス空間における最小割り振りサイズは/32である。 4.4. IPv4インフラストラクチャの考慮 既存のIPv4サービスプロバイダが将来的に既存のサービスをIPv6に移行するた めIPv6空間を要求する場合、IPv6のインフラストラクチャのみを根拠として正 当化されるよりも多くの空間を要求するために、現在のIPv4の顧客数を利用し てもよいとする。 5. 割り振りと割り当てのポリシー 5.1 初期割り振り 5.1.1. 初期割り振りの基準 IPv6アドレス空間の初期割り振りの資格を得るには、組織は; a) LIRであること b) エンドサイトでないこと c) /48の割り当て先の組織に対して、集成されたアドレス割り振り 1つを通じて接続を広告することにより、IPv6の接続性を提供 する計画があること。 d) 2年以内に最低でも200の/48の割り当てを行う計画があること。 以上の4つを満たさねばならない。 5.1.2. 初期割り振りのサイズ 初期割り振りの基準を満たす組織は、/32の最小割り振りを受けることができ る。 /32以上の初期割り振りを申請する組織は、その申請を合理的に証明できる根 拠資料を提出することで、その割り振りを受けられる場合がある。この場合、 割り振りサイズは、既存のユーザの数と申請組織のインフラストラクチャの 規模に基づく。 5.2. 追加割り振り 既存のIPv6アドレス割り振りを保有している組織は、以下のポリシーに従って 追加割り振りを受けることができる。 5.2.1. 追加割り振りの基準 追加割り振りは、組織(ISP/LIR)が、/48を単位とするサイト数という観点で過 去のアドレス使用の評価基準を満たした場合に実施される。HD-Ratio[RFC 3194]は、下に示すように、アドレス空間の追加割り振りを正当化する利用率 を確定するために用いられる。 5.2.2. HD-Ratioの適用 アドレスの追加割り振りを正当化するための望ましいアドレス利用率を示す値 として、HD-Ratioは 0.8 が採用される。付録Aは、アドレスブロックサイズに 対して、望ましい利用率を達成するために必要な割り当て数を示した表である。 5.2.3. 追加割り振りのサイズ 組織が割り振られたアドレス空間において望ましい利用率を満たした場合、そ の組織は、結果としてアドレス空間が2倍となる追加割り振りをただちに受け られる。その追加割り振りは、可能な限り隣接したアドレスブロックから行わ れる。つまり既存の割り振りが1ビット左に拡大する。 組織がより大きなアドレス空間を必要とする場合、2年間の必要量を証明する 文書を提出しなければならない。割り振りはこの必要量を基にして行われる。 5.3. LIRからISPへの割り振り 組織(ISP/LIR)がアドレス空間を下位ISPに割り当てるための特定のポリシーは ない。各LIR組織は、LIRに割り振られたアドレスブロック全体の効率的な利用 を確保するため、下位ISPのための独自のポリシーを作成することができる。 しかし、追加割り振りが必要になった場合にRIR/NIRがHD-Ratioを正しく評価 できるように、エンドサイトに割り当てられた/48はすべて、LIRか下位のISP によって登録される必要がある。 5.4. 割り当て LIRは以下の条件に従ってIPv6割り当てを行わなくてはならない。 5.4.1. 割り当てアドレス空間のサイズ 割り当ては現在あるガイドライン [RFC3177,RIRs-on-48]に従って行われる。 そのガイドラインを要約すると; - 非常に規模の大きな申請者を除き、通常は/48 - 仕様により唯一のサブネットが必要であることがわかっている場合は/64 - 唯一のデバイスが接続することが確実にわかっている場合は/128 RIR/NIRは、LIR/ISPが実際にどのアドレスサイズを割り当てるかについて関与 しない。そのため、RIR/NIRは、IPv4の場合と異なりIPv6ユーザネットワーク の詳細情報を要求しない。ただし、4.4で説明した場合や、本ドキュメントで 定義された利用率を計測する目的がある場合は除く。 5.4.2. 単一のサイトに対する複数の/48の割り当て 単一サイトが複数・追加の/48アドレスブロックを必要とする場合、その要求 の妥当性を示す文書及び資料を提出することにより複数割り当てを請求できる。 その請求は、RIR/NIRレベルで審議・検討(つまり妥当性の判断)が行われる。 Note: 同一サイトに対し複数の/48を割り当てることについては、これまで経 験がない。RIRでこのような割り当てすべてを審議するのは、ある程度の経験 が積まれ、一般に通用するポリシーが整備されるまでの一時的な措置である。 この件に関するポリシーを策定するさらなる作業が近々に行われるべきである。 5.4.3. オペレータのインフラストラクチャに対する割り当て 組織(ISP/LIR)は、IPv6サービスオペレータのサービスインフラストラクチャ として、PoP毎に1つの/48を割り当てることができる。PoPに対するそれぞれの 割り当ては、PoPを利用するエンドユーザの数にかかわらず1つの割り当てとみ なされる。オペレータの社内業務に対して別途の割り当てを取得できる。 5.5. 登録 IPv6アドレス割り振りを保有する組織は、IPv6アドレス割り当てを行う際、パ ブリックデータベースにその割り当てに関する情報を登録しなければならない (当初はRIR/NIRによって管理されるデータベースであり、将来的にはアドレス 管理情報を登録するための分散データベースに置き換わる可能性がある)。情 報は割り当てた/48ネットワーク単位で登録される。/48より大きなアドレス空 間が割り当てられた場合、そのアドレス空間をパブリックデータベースに登録 されるようにするのは、割り当てを行った組織の責務である。 RIR/NIRは、追加割り振り申請時のHD-Ratio の計算、および割り当ての時間的 推移の検証のためにこの登録データを利用する。 IRは、申請審議時に使用された個人情報やビジネス情報の安全性を確保するシ ステムと運用を維持すべきである。しかしこれはパブリックな登録には必要な い。 5.6. 逆引き RIR/NIRは、IPv6アドレス空間を組織に委譲するとき、割り振られたIPv6アド レス空間に対応する逆引きルックアップゾーンを管理する権限も委譲する。各 組織はその逆引きルックアップゾーンを適切に管理する。アドレスの割り当て を行なう際、組織は、割り当てられたアドレスに対応する逆引きルックアップ ゾーンを管理する権限を、要求に応じて割り当て先の組織に委譲しなければな らない。 5.7. 既存のIPv6アドレス空間保持者 以前のIPv6アドレスポリシ[RIRv6-Polices] に従って/35のIPv6割り振りを受 けている組織は、保有している割り振りを/32のアドレスブロックに拡張する ことが直ちに可能になる。その際5.1.1で述べた基準を満している限り、正当 化の必要はない。/32アドレス ブロックは、その組織への追加の割り振りのた めにすでにRIRによって予約された割り振り済みのより小さなアドレス ブロッ ク(多くの場合、1つまたは複数の/35アドレスブロック)を含むことになる。 /32の最小サイズを超える追加空間の申請は、本ドキュメントの別の箇所で説 明した通りに審査される。 6. References [RFC1715] "The H Ratio for Address Assignment Efficiency", C. Huitema. November 1994, RFC 1715. [IAB-Request] "Email from IAB to IANA", [XXX need better reference]. See IAB Minutes, Dec. 12, 1998, ftp://ftp.iab.org/in- notes/IAB/IABmins/IABmins.981208, ftp://ftp.iab.org/in- notes/IAB/IABmins/IABmins.990112. [RFC2373] "IP Version 6 Addressing Architecture", R. Hinden, S. Deering. July 1998, RFC 2373. [RFC2373bis] draft-ietf-ipngwg-addr-arch-v3-07.txt. [RFC2928] "Initial IPv6 Sub-TLA ID Assignments", R. Hinden, S. Deering, R. Fink, T. Hain. September 2000, RFC 2928. [RFC3177] "IAB/IESG Recommendations on IPv6 Address". IAB, IESG. September 2001, RFC 3177. [RFC3194] "The H-Density Ratio for Address Assignment Efficiency An Update on the H ratio", A. Durand, C. Huitema. November 2001, RFC 3194. [RIRs-on-48] http://www.arin.net/minutes/bot/bot08152001.html, XXX fill in. [RIRv6-Policies] http://www.arin.net/regserv/ipv6/ipv6guidelines.html, http://www.ripe.net/ripe/docs/ripe-196.html, http://www.apnic.net/docs/drafts/ipv6/ipv6-policy-280599.html. 7. 付録A : HD-Ratio HD-Ratioは、現在ISPがIPv4にて使用している、従来の利用率の計測法に置き 換えることを意図しているわけではない。実際、HD-Ratioでも、依然として割 り当てられたオブジェクト数を数える必要がある。HD-Ratioの主な真価とは、 あるアドレス空間に対し望ましい目標利用率を設定する際の有効性にある。本 ドキュメントでは、ある割り振りが望ましいレベルの利用率を達成し、追加割 り当てが正当化されるような閾値を設定するために、HD-Ratioを使用する。 利用率の基準Tは、IPv6プリフィクスPから割り振られる個々の/48プレフィッ クスの数として表され、次のように計算できる。 ((48-P)*HD) T = 2 したがって、IPv6アドレスブロックの追加割り振りを申請する組織に対する利 用率の基準は、プリフィクスサイズと対象HDの利用比率の関数として指定され る。ここでの利用率は、エンド サイトに対する/48の割り振りを指し、それら のエンド サイト内での/48の利用率を指すものではない。これはアドレス割り 振りの利用率であり、アドレス割り当ての利用率ではない。 [RFC3194]の推奨に従い、本ドラフトではIPv6アドレス空間割り振りの利用率 として、HD-Ratio は0.8を採用する。 次の表は、0.8のHD-Ratioに対応する、IPv6プリフィクスのアドレス利用を等 価の絶対的数値と百分率で示したものである。 P 48-P /48の総数 閾値 利用率 48 0 1 1 100.0% 47 1 2 2 87.1% 46 2 4 3 75.8% 45 3 8 5 66.0% 44 4 16 9 57.4% 43 5 32 16 50.0% 42 6 64 28 43.5% 41 7 128 49 37.9% 40 8 256 84 33.0% 39 9 512 147 28.7% 38 10 1024 256 25.0% 37 11 2048 446 21.8% 36 12 4096 776 18.9% 35 13 8192 1351 16.5% 34 14 16384 2353 14.4% 33 15 32768 4096 12.5% 32 16 65536 7132 10.9% 31 17 131072 12417 9.5% 30 18 262144 21619 8.2% 29 19 524288 37641 7.2% 28 20 1048576 65536 6.3% 27 21 2097152 114105 5.4% 26 22 4194304 198668 4.7% 25 23 8388608 345901 4.1% 24 24 16777216 602249 3.6% 23 25 33554432 1048576 3.1% 22 26 67108864 1825677 2.7% 21 27 134217728 3178688 2.4% 20 28 268435456 5534417 2.1% 19 29 536870912 9635980 1.8% 18 30 1073741824 16777216 1.6% 17 31 2147483648 29210830 1.4% 16 32 4294967296 50859008 1.2% 15 33 8589934592 88550677 1.0% 14 34 17179869184 154175683 0.9% 13 35 34359738368 268435456 0.8% 12 36 68719476736 467373275 0.7% 11 37 137438953472 813744135 0.6% 10 38 274877906944 1416810831 0.5% 9 39 549755813888 2466810934 0.4% 8 40 1099511627776 4294967296 0.4% 7 41 2199023255552 7477972398 0.3% 6 42 4398046511104 13019906166 0.3% 5 43 8796093022208 22668973294 0.3% 4 44 17592186044416 39468974941 0.2% 8. 付録B : 参考情報 8.1 背景 1999年の暫定的IPv6ポリシーを改訂しようという動きは、2001年8月に台湾で 開かれたAPNICミーティングから始まった。続く議論が2001年10月のRIPEおよ びARINミーティングで行われ、ミーティングの参加者はより詳細で完成された ポリシが緊急に必要であることを認識した。これらのミーティングの成果のひ とつに、全RIRが使用できるグローバルポリシー作成を目指し、ポリシの改訂 について共同で議論するためのメーリングリストができたことがある。本ドキュ メントでは、ここに述べられているポリシに至る個々の議論の詳細については 触れないが、詳細な情報はWEBサイト(www.apnic.net, www.arin.net, www.ripe)にあるそれぞれのミーティングの議事録にて見ることができる。 8.2 なぜグローバルポリシーか IPv6アドレスは公共の資源であり、インターネットコミュニティの長期的な利 益への配慮を持って管理されねばならない。地域レジストリが自己の内部プロ セスに従った割り振りポリシーを採用するにしても、アドレスポリシーは概ね 世界的に同一であるべきだ。さまざまな地域でそれぞれ非常に異なるポリシー を持つのは望ましいことではない。なぜならアドレスを申請しようとする組織 が、自分たちの特定の要望に最も都合のよいポリシーを持つレジストリへ申請 を出すというような、“レジストリショッピング”が起こる状況を招きかねな いからである。これにより、他の地域でのアドレス空間の慎重な管理に対する 努力を無駄にしてしまうような、一地域でのポリシーが生まれる可能性がある。 グローバルポリシーからの変更が必要と思われる場合、望ましい方法としては、 他の地域レジストリでその問題を提議し、全地域がサポートできるようなコン センサスの取れた方法を整備するというものがある。 8.3 IPv6アドレス空間サイズ IPv4と比較すると、IPv6は一見したところ無限のアドレス空間を持つように思 える。これは表面的には正しいとしても、近視眼的かつ無駄の多い割り振りポ リシーでは、アドレス空間の早すぎる枯渇を招くような運用を再び採用する結 果になるだろう。 128ビットのアドレス空間は理論的に3つの部分に分割され、それぞれのコンポー ネントの使用は別々に管理されるということに注目すべきだ。最も右側の64ビッ トはインターフェイス識別子[RFC 2373]で、グローバルに一意なIEEE識別子 (MACアドレス等)であることが多い。アドレスを振ることのできるノード数 を最大にするという観点から見れば、それがインターフェイス識別子フィール ドの“非効率的な”利用法であるとしても、ナンバリングスキームは、 Stateless Address Autoconfiguration [RFC 2462] を単純化することが明示 的に選択された。 アドレスの中間にある16ビットはサブネットIDを示す。[RFC3177, RIRs-on-48s]によれば、このフィールドは非効率的に利用されることが多いだ ろうが、一定した幅のサブネットフィールドがもたらす運用上の利益は、不利 益を上回ると思われるとのことだ。 /48の右側のビットを非効率的に利用するという決定がなされたのは、/48の左 側のビットは慎重に管理されるだろうし、そうなればIPv6の予想寿命には十分 であるという考えおよび仮定が根底にある。 8.4 謝辞 本ドキュメントの初期ドラフトは以下のJPNIC IPv6 global policy drafting teamにより作成された。休日を返上して書かれた努力に感謝する。 Akihiro Inomata Akinori Maemura Kosuke Ito Kuniaki Kondo Takashi Arano Tomohiro Fujisaki Toshiyuki Yamasaki その後、3つのRIRそれぞれの代表者によって編集チームが組織された (APNIC Policy SIG議長Takashi Arano、ARIN IPv6 WG議長Thomas Narten、RIPE-NCC IPv6 WG議長David Kessens)。 編集チームは、Takashi Arano、John Crain、Steve Deering、Kosuke Ito、 Richard Jimmerson、David Kessens、Mirjam Kuehne、Anne Lord、Jun Murai、 Paul Mylotte、Thomas Narten、Ray Plzak、Barbara Roseman、Paul Wilson、 Cathy Wittbrodt、Wilfried Woeberによる本ドキュメントへの貢献に感謝した い。 ---------------------------------------------------------------------- 更新履歴 2002/06/25 用語の統一