======================================================================== "IPv6 Address Allocation and Assignment Global Policy Draft of December, 22 2001 Version 2001-12-22 APNIC ARIN RIPE - NCC"翻訳文 (社)日本ネットワークインフォメーションセンター 最終更新 2002年 1月 18日 この文書は ftp://ftp.cs.duke.edu/pub/narten/global-ipv6-assign-2001-12-22.txt を翻訳したものです。JPNICはこの翻訳を参考のために提供しますが、その品質 に責任を負いません。 ------------------------------------------------------------------------ IPv6アドレス割り振りおよび割り当てグローバル ポリシー 2001年12月22日の草稿(参考訳) バージョン2001-12-22 APNIC ARIN RIPE - NCC 本文書の立場 本ドキュメントは、インターネットコミュニティのための「インターネッ トに関する現行の推奨方法」を提示し、その改善を目的とする論議と提案を求 めるものである。この文書の配布についての制約は文書の内容を変更しない限 りまったくない。 この文書についてのコメントはglobal-v6メーリング リストまで。 投稿: global-v6@lists.apnic.net 申し込み: http://www.apnic.net/net_comm/lists/ アーカイブ: http://www.apnic.net/mailing-lists/global-v6 目次 本文書の立場 1. はじめに 1.1. 概要 1.2. 現在の状況 2. 定義 2.1. 自律システム(AS) 2.2. インターネットレジストリ(IR) 2.3. Internet Assigned Numbers Authority (IANA) 2.4. 地域インターネットレジストリ(Regional Internet Registry :RIR) 2.5. 国別インターネットレジストリ(National Internet Registry :NIR) 2.6. ローカルインターネットレジストリ(Local Internet Registry :LIR) 2.7. 割り振り 2.8. 割り当て 2.9. 利用率 2.10. サイト 3. IPv6アドレス空間管理の目標 3.1. 目標 3.2. 一意性 3.3. 登録 3.4. 集約 3.5. 節約(管理) 3.6. 公平性 3.7. オーバーヘッドの最小化 3.8. 目標の衝突 4. IPv6ポリシーの考え方 4.1. アドレス空間についての間違った考え 4.2. 保証されない経路制御(可能)性 4.3. 最小限の割り振り 4.4. v4インフラストラクチャの考慮 5. 割り振りと割り当てのポリシー 5.1. 首尾一貫したIRアドレス空間管理ポリシー 5.2. 初期割り振り 5.2.1. 初期割り振りの基準 5.2.2. 初期割り振りのサイズ 5.3. 追加割り振り 5.3.1. 追加割り振りの基準 5.3.2. 利用率の測定法 5.3.3. HD-Ratioの適用 5.3.4. 追加割り振りのサイズ 5.4. LIRからISPへの割り振り 5.5. 割り当て 5.5.1. 割り当てアドレス空間のサイズ 5.5.2. サイトへの割り当て 5.5.3. 単一のサイトに対する複数の/48の割り当て 5.5.4. オペレータのインフラストラクチャに対する割り当て 5.6. DB登録 5.7. 逆引き 5.8. 割り振りと割り当ての有効性 5.9. 既存のIPv6アドレス空間保持者 6. 特別な場合 6.1. IX(インターネット エクスチェンジ) 7. 謝辞 8. References 9. 付録A: 1. はじめに 1.1. 概要 本ドキュメントでは、インターネットプロトコル バージョン6(以下、 IPv6)に関して、世界的に固有なインターネットアドレス空間の分配とその運 用に関するポリシーについて説明する。特に、[RFC2373、RFC2373bis]では、 IANAが割り振ることができるグローバル ユニキャスト アドレス空間に 2000::/3を指定している。[RFC2928、RFC2373bis、IAB-Request]に従い、IANA は既存のRIRに対して2001::/16アドレス ブロックからのグローバル ユニキャ ストIPv6アドレス空間の初期領域を割り当てている。本ドキュメントでは、 RIRが割り振りポリシーを定めている2000::/3ユニキャスト アドレス空間の初 期および追加の割り振りを扱う。エンド サイトは一般に/48の割り振り[RFC 3177、RIRs-on-48s]を与えられるため、本ドキュメントでは/48領域の左側に おける2000::/3内のビットに関するポリシーを特に重視する。ただし、エンド サイトには/64と/128の割り振りを受けるものもあるため、/64の左側のすべて のビットが範囲となる。 本ドキュメントは、現在すでにあるIPv6暫定ポリシー[RIRv6-Policies]の すべてのガイドラインと手続きを、1999年のポリシーに関する経験に基づき更 新および変更するものである。これに伴いIPv6暫定ポリシーは破棄される。 アドレス ポリシーは、世界的に固有なものであり、地域的および世界的レ ベルでの合意プロセスを通じてボトムアップ方式で形成される。アドレス ポ リシーは、技術上の制約やインターネット コミュニティの期待だけでなく、 ISPやエンド ユーザーの運用上のニーズをバランスよく考慮して決定されなけ ればならない。さらに、ポリシーは、外部環境の変化や関連コミュニティでの 運用経験に従って必要に応じて見直しがなされるべきである。 本ドキュメントに記述されるポリシーは、すべてのレジストリで唯一のも のとして運用されるグローバルなポリシであるべきである。ただし、本ドキュ メントの採用は、個々の地域または地区における改善を排除するものではない。 各レジストリにおいて必要な改善は、本ドキュメントに記述されるポリシを最 低限の基準として行われるべきである。 このポリシーはまた、IPv6アドレスの割り振りについてはまだほとんど経 験がないという意味で、暫定ポリシーとみなされる。ポリシー実施の経験が蓄 積されれば、ポリシーのいくつかの面は見直しと更新が必要になる可能性が高 い。 1.2. 現在の状況 2001年8月台湾で行われたAPNICミーティングにおいて、IPv6のアドレス割り 振り・割り当てポリシーに関する議論が行われ、ある一定のコンセンサスを得 た。その後、関係者は2001年10月のRIPEミーティングおよび同月のARINミーティ ングに同様の提案をおこなった。これらのミーティングではさまざまな議論が 行われ、多くの点でコンセンサスが得られた。本ドキュメントは、これらのミー ティングの議論に基づき、提案を行っている。 これらのミーティングでは、アジア太平洋地域において、グローバルな IPv6アドレス空間の管理を行うより詳細で完全なポリシーの必要性・緊急性を 認識した。IPv6割り振り・割り当てポリシーに関する議論は簡単に終わること はないが、その議論を早めに集約させてInterimポリシーとして制定すること がコンセンサスとして得られた。そのため、本ドキュメントに記述されている 内容は、これらの議論から導き出された現時点での妥当な解決策として記述さ れる時限的公文書(time-limited public document)として扱うべきである。こ のため、本ドキュメントはIPv6によるインターネット環境の進化にあわせて適 切に更新され、更新は将来において比較的頻繁に行われると考えられる。 個々のポリシーの問題に関するこの議論の詳細は本ドキュメントでは扱わな い。しかし本ドキュメントで説明する内容の背景を理解しておくことは非常に 重要であるため、ミーティング結果やプレゼンテーション資料等の関連する URL を下記に挙げておく。 ミーティング結果: http://www.apnic.net/meetings/12/results/ http://www.ripe.net/ripe/meetings/archive/ripe-40/minutes.html http://www.arin.net/minutes/ARIN_VIII/PPM.html プレゼンテーション資料: http://www.apnic.net/meetings/12/docs/prop_new_ipv6_policy.ppt http://www.apnic.net/meetings/12/docs/ipv6principles-dist.ppt http://www.ripe.net/ripe/meetings/archive/ripe-40/presentations/ http://www.arin.net/minutes/ARIN_VIII/PPM.html 2. 定義 [注: 以下の定義のいくつかは、一貫性を高めるため他のRIRドキュメント の定義で置き換えられる。] 以下の用語とその定義は、本ドキュメントに書かれている目標、環境、ポ リシーを理解するために特に重要なものである。 IPv6アドレス空間を管理する負担は、以下のような階層構造により世界に 配分される。 +--------+ | IANA | +--------+ | +-----------+-----------+ | | | +--------+ +--------+ +--------+ | RIR | | RIR | | RIR | Regional Internet +--------+ +--------+ +--------+ Registries | +-----------+--+--------+ | | | | +-----+ +-----+ | | NIR | | NIR | National Internet | +-----+ +-----+ Registries | | | +--------+ +--------+ +--------+ |LIR/ISP | |LIR/ISP | |LIR/ISP | Local Internet +--------+ +--------+ +--------+ Registries | | | +---------+ | | | | | | +-------+ +----+ +----+ +----+ |EU(ISP)| | EU | | EU | | EU | End users +-------+ +----+ +----+ +----+ 2.1. 自律システム(AS) 自律システムとは、外部ルーティングの世界におけるルーティング ポリシー の単位であり、特にBGP [RFC1771]のようなプロトコルに適用可能なものであ る。 2.2. インターネットレジストリ(IR) インターネットレジストリ(IR)はIPアドレス空間をメンバーまたは顧客に分 配し、その分配を登録する責任を持つ組織である。IRは上記の階層構造におけ る主要機能と地域的担当範囲に従って分類される。 2.3. Internet Assigned Numbers Authority (IANA) Internet Assigned Numbers Authority (IANA)は、インターネット上で利 用されるIPアドレス空間全体を管理する責任を負う。実際の割り当て作業は IANAの下位組織が行う。IANAは、稼働しているネットワークにアドレス空間の 割り振りまたは割り当てを行うのではなく、地域レベルでの管理のため、大き なアドレス空間のブロックに対する責任を地域インターネット レジストリに 委譲する。 2.4. 地域インターネットレジストリ(Regional Internet Registry :RIR) 地域インターネットレジストリ(RIR)は、各地域のコミュニティによる承認 とIANAの認可で設立され、大きな地域にサービス提供し、その地域を代表する。 RIRの主な役割は、それぞれが担当する各地域内でパブリック インターネット アドレス空間を分配、管理することである。現在RIRとしては、APNIC、RIPE NCC、ARINの3つがあり、LACNIC、AfriNICが設立準備中である。 2.5. 国別インターネットレジストリ(National Internet Registry :NIR) 国別インターネットレジストリ(NIR)は、主として、ローカルインターネッ トレジストリ(LIR)であるメンバーにアドレスを割り振りするIRであり、一般 にNIRのメンバーは、国レベルで組織されたインターネットサービスプロバイ ダ(ISP)である。NIRはISPで構成されるが、それ自体はISPとしては機能しない。 NIRは自らを構成しているISPの利益に関して中立を維持することが期待される。 主にアジア太平洋地域に存在する形態である。 2.6. ローカルインターネットレジストリ(Local Internet Registry :LIR) ローカルインターネットレジストリ(LIR) は、主として自分が提供するネッ トワークサービスのユーザにアドレス空間を割り当てるIRである。LIRは一般 にISPのことであり、その顧客は主としてエンドユーザであるが、その顧客が 別のISPである場合もある。 2.7. 割り振り 割り振りとは、再分配のためにアドレス空間をIRに分配することである。 2.8. 割り当て 割り当てとは、エンド ユーザーに対し、IRがその一部または全部を分配す るアドレス空間をそのエンド ユーザーまたはISPのネットワークにおける実際 の利用のために指定することをいう。IRが内部のネットワーク用として使用す るときも、アドレス空間が指定され割り当てが行われる。割り当ては特定の組 織に示された特定の目的に対してのみ行われ、他者に対してさらに割り振りや 割り当てがされることはない。 この階層構造では、IANAは再分配用としてRIRにアドレス空間を割り振り、 RIRは各地域のNIRもしくはLIRにアドレス空間を割り振る(または、NIRにアド レス空間を割り振り、NIRが自国内のLIRに空間をさらに割り振る場合もある)。 各NIRは自国内のLIRにアドレス空間を割り振る。LIRにアドレス空間を割り振っ たRIRもしくはNIRは同時に、そのLIRがエンドユーザに対して割り当てを行う 権限の委任を行う。 2.9. 利用率 IPv4と異なり、IPv6は概ね各エンドサイトに/48を割り当てる。特定の/48 の実際の利用率は、IPv4と比較すると極めて低くなる。IPv6では、対象となる 「利用率」とは/48の左側ビットを指す。 本ドキュメントでは、利用率という語はエンド サイトへの/48の割り振り を指す。それらのエンド サイト内での/48の利用率を指すものではない。 2.10. サイト サイトは、トラフィックを転送するプロバイダを含むプロバイダとビジネ ス関係を持つエンド ユーザー(加入者)として定義される。ISPと個別に契約し ている各エンド ユーザー(登録者)は、組織または地理的位置にかかわらず、 エンティティとみなされ、/48 IPv6の割り当てを受ける資格を有する。 3. IPv6アドレス空間管理の目標 3.1. 目標 ここに記述されるアドレス空間管理の目標は、インターネット コミュニティ 全メンバー相互の利益を反映し、インターネットが最大限に機能し成長できる ことを保証するものである。 アドレス ポリシーは、技術上の制約やインターネット コミュニティの期 待だけでなく、ISPやエンド ユーザーの運用上のニーズをバランスよく考慮し て決定されなければならない。 これらの目標は、今までインターネットコミュニティにより形成されてき たIPv4のポリシーにおける目標と本質的に同じものである。しかし、IPv6と IPv4の性質の違いによって、目標を達成する上で考慮すべき要素間の優先順位 が変わることに注意しなければならない。 3.2. 一意性 割り当ておよび割り振られた各アドレス空間は、世界にただ1つしかないこ とを保証しなければならない。これは、インターネット上の各パブリック ホ ストが一意に識別できるようにするための絶対的要求である。 3.3. 登録 インターネットアドレス空間の割り当てと割り振りは、インターネットコ ミュニティの全メンバーがアクセス可能な、公開のレジストリデータベースに 登録されなければならない。 これは、各インターネット アドレスの一意性を保証するためであり、また、 RIRをはじめとする全てのIRやエンドユーザなど、インターネットを利用する あらゆるレベルの人がインターネット上でトラブルを解決するための参照情報 を提供するためである。 さらに、アドレス空間などの公共の資源を利用する全ての人が、その資源 の状態等を確認可能であるべきとする、インターネット コミュニティの考え 方を反映するものでもある。 3.4. 集約 アドレス空間は、ネットワークインフラストラクチャのトポロジに沿って、 可能な限り階層的に分配されなければならない。 これは、ルーティング情報を集約しインターネット ルーティング テーブ ルの増大を抑えるために必要なことであり、IPv6の広大なアドレス空間は、集 約のための階層的分配をIPv4と比べて大幅に容易にする。 IPv6の仕様では広大なアドレス空間が生じ、各自律システムの内部ルーティ ング管理の下で扱われるホストの数はIPv4と比較して劇的に増大すると予想さ れる。たとえば、従来のIPv4におけるホストに加えて、携帯電話、さまざまな 電気機器、遠隔測定用センサーなどがインターネットに接続されることが予想 される。したがって、インターネット デフォルト フリー ゾーンに広告され る外部ルーティング情報だけでなく、各自律システム内の内部ルーティング情 報に関しても、ルーティング テーブルの拡大を抑えるため階層的分配が検討 されなければならない。内部集約は重要であるため、よりすぐれた内部集約が 可能なポリシーとすべきである(たとえば、より大きなブロックの割り当てる など)。 3.5. 節約(管理) 必要のない割り当てや割り振りの保持や、集約の利益のないアドレス空間 の備蓄は当然避けるべきである。また、他の制約の範囲内で可能な限り効率的 なアドレス利用に努めなければならない。 3.6. 公平性 公開のアドレス空間の使用に関するすべてのポリシーは、現在および未来 にわたる全てのインターネットコミュニティの構成員に対し、場所、国籍、規 模その他いかなる要因にも左右されることなく公平に適用され実施されるべき である。 3.7. オーバーヘッドの最小化 サイトの拡大に伴う追加アドレス空間の獲得がもたらすオーバーヘッドは 最小化されるのが望ましい。RIRに対して追加アドレス空間の申請をあまりに 頻繁に行うこともオーバーヘッドとなるほか、大きい空間拡張を少ない回数で 行うのではなく、小さな拡張を続けて数多く行うこともアドレス空間管理のオー バーヘッドに結びついてしまう。 3.8. 目標の衝突 節約、集約、オーバーヘッドの最小化という目標にはしばしば衝突が生じ る。IPv6のアドレス管理では、上記の6つの目標には、IPv4のアドレス管理に おける優先順位とは異なる優先順位が与えられる。 IPv6のアドレス管理では、現在のIPv4の管理方法と比較すると、集約の優 先順位が高く、アドレス節約の優先順位が低い。これは、広大なアドレス空間 があるため無駄の多いアドレス使用も許容されるということではない。長期に わたって安定したインターネットの運用を保証するため、広大なアドレス空間 において外部および内部ルートの数が実質的に制限されるように、集約を高い 優先順位に置くポリシーの必要性を重視したものである。集約を重視すること により、アドレス節約の優先順位がある程度低くなる場合がある。これら2つ の目標は互いに衝突する傾向にあるためである。 集約と節約のいずれかの選択は、ポリシーまたはこれらのポリシーに従っ たレジストリによる実施の判断に基づいてなされるものではない。集約と節約 の両方は適切なバランスで考慮される必要がある。IPv6では、適切なバランス とは一般に「集約を重視、節約はその次」である。 集約と節約のバランスは、運用上の経験やアドレスの消費など、さまざま な要因に従って随時見直される。 ここで示す目標の一部またはすべては、個々のIRまたはエンド ユーザーの 利益と衝突することがある。そのため、割り振りと割り当ての申請を審査する すべてのIRは、申請者のニーズとインターネット コミュニティ全体のニーズ のバランスを取りながら判断を行わなければならない。 本ドキュメントに記述されているポリシーは、IRが首尾一貫した平等な方 法でこれらニーズのバランスを取るのを助けるためのものである。これを達成 するため、意思決定過程の明文化と透明性維持も必要になる。 4. IPv6ポリシーの考え方 前のセクションで示した目標を達成するために、本ドキュメントにおける ポリシーは以下にかかげるような基本的な考え方を議論し、採用する。 4.1 アドレス空間は所有物とはみなされない アドレス空間を自己の所有物とみなすことは、本文書で述べられている目 標だけでなく、インターネットコミュニティ全体の利益にも反することである。 本ドキュメントにおけるIPv6グローバルポリシーは、アドレス空間は所有 されるものではなく、リースされるものだというという理解にたっており、す べてのインターネット レジストリはこの考えに従ってアドレス空間を正しく 運用することが期待される。 本ポリシーに従い、IPアドレスは、リース契約に基づいて割り振られる。 たとえば、通常1年間という限定期間を持つリース契約などである。リース契 約の条件には、リースの開始または更新時に適用される特定の条件がある。 リース契約は通常、以下の2つの条件が満たされた場合、契約期間の終わり に自動的に更新される。 a) 割り振り当初の根拠が有効である b) その割り振りに関する登録要件が更新時点で満たされている ただし、リース契約が更新されるとき、新規リース契約は、更新時に適用 可能となっている資源割り振りポリシーとリース更新ポリシーに基づいて審査 および管理が行われる。 現在のリース契約条件の変更は、インターネットコミュニティの総意によ り認められた場合を除き、規定されている一定の通知期間を経るものとする。 アドレス空間は所有物でなく、アドレス空間の過度の分断を避けたいとい う考えに合致しないため、極端な場合には割り当ての番号を付け直すことが必 要なことがある。このような番号の付け直しは、インターネット コミュニティ との広範な協議を行った後にのみ始められる。 4.2. 保証されない経路制御(可能)性 IPv6では基本的には集約可能なアドレスが基本となっており、歴史的な理 由でプロバイダ経由でない割り当てアドレスを多く含むIPv4とは事情が異なる。 それにもかかわらず、レジストリは、LIR/ISPの技術的実施に影響される経路 制御(可能)性については責任を負わない。RIRは、実施する割り振りが、経路 制御(可能)性の低下につながっても、アドレス空間の過度の分断化をもたらす ことながいようにしなければならない。 4.3 最小割り振りサイズ 現行のIPv4管理ポリシー同様、IPv6ポリシーでもアドレス空間の「最小割り 振りサイズ」が規定されることが提案されている。これは、プロバイダ非依存 のアドレス プレフィックスがインターネット レジストリから分配されること を制限するために役立つ。 一般に、最小限の割り振りサイズを小さくしすぎるとアドレスの分断化に つながり、サイズを大きくしすぎるとアドレスの使用効率が低下する。適切な 割り振りサイズについての議論は、将来も継続する必要がある。暫定ポリシー では以下の考えを採用している。 まず、デフォルトで最小のアドレス空間(/32)がRIR/NIR によってLIRに提 供される。しかし、多くの大規模プロバイダは、/32空間をすぐに使い果たし、 短期間のうちにより多くのアドレス空間を使用することが必要になる。このた め、/32より大きな空間を必要とするプロバイダは、より多くのアドレス空間 を要求できるが、そのような要求の妥当性を示すことが必要とされる。 4.4. IPv4インフラストラクチャの考慮 既存のIPv4サービス プロバイダが将来的に既存のサービスをIPv6に移行す るためIPv6空間を要求する場合、IPv6アドレス空間を要求する妥当性を示すに 当たって、より多くの空間を要求する理由として現在のIPv4の顧客数が利用さ れてもよいとする。これは、IPv4の顧客数の多いサービス プロバイダは、 IPv6でも多くの顧客を持つ見込みが高いという仮定に基づくものである。 この仮定は、次回ポリシーを更新するときに評価と見直が行われるべきである。 5. 割り振りと割り当てのポリシー 5.1 首尾一貫したIRアドレス空間管理ポリシー すべてのインターネット レジストリは、インターネットコミュニティで定め られた本ドキュメントで述べられているポリシーに合致するポリシーを採用すべき である。 5.2 初期割り振り 5.2.1. 初期割り振りの基準 申請を行う組織は、少なくとも/36のプレフィックスが直ち(つまり3ヶ月以 内)に必要であることを証明すれば、初期割り振りを受けることができる。つ まり、割り振り直後、組織はアドレス割り当ての必要がある776以上のサイト を持つことになる。776という数は、0.8のHD-Ratioを達成するために、/36の アドレスブロックから割り当てることができる/48アドレスブロックの数であ る。HD-Ratioとは、当初[RFC1715]に定義されていたH-Ratioを修正するものと してRFC 3194に示される、アドレス割り振り効率の測定基準である。(セクショ ン 5.3.3.参照) [注: /36が必要という理由付けは最初の出発点として妥当かどうか、また は直ちに必要なサイトが776であるという基準が高すぎるかどうかについては 議論が必要である。また、初期割り振りの申請が認められると、申請者がその ような大量の空間を必要とする正当な理由を示さない場合でも、最小の割り当 て(つまり/32)が与えられる。] 5.2.2. 初期割り振りのサイズ 初期割り振りの基準を満たす申請組織は、初期割り振りとして少なくとも /32のアドレスブロックの割り振りを受けることができる。それ以上の大きさ のアドレスブロックが必要な申請組織は、その必要性を合理的に証明できる根 拠資料を提出することで、必要なサイズの割り振りを受けることができる。た とえば、IPv4アドレスを用いたサービスを現在提供しているプロバイダや企業 が、既存の全ユーザに対してIPv6サービスを提供するために必要と判断される サイズのアドレスブロックの割り振りを受けることができる。この場合、必要 なサイズは、既存のユーザーの数とインフラストラクチャの規模に基づいて判 断される。 これは次の式で表すことができる。 S(0) = shorter(/32, eval(必要なプレフィックス サイズ)) (必要なプレフィックス サイズ)とは割り振りを申請する申請者の要求プ レフィックス サイズである。 5.3. 追加割り振り RIR/NIRからすでにアドレス ブロックを受けている組織(ISP/LIR) は、以 下のポリシーに従って追加割り振りを受けることができる。 5.3.1. 追加割り振りの基準 追加割り振りは、組織(ISP/LIR)が、/48を単位とするサイト数という観点 で過去のアドレス使用の評価基準を満たした場合に実施される。HD-Ratioは、 下に示す既存のアドレス ブロックの利用率を評価するために用いられる。 5.3.2. 利用率の測定法 一般に、HD-Ratio [RFC3194] は次のように表される。 Log (割り振られたオブジェクトの数) HD = ------------------------------------------------ Log (割り振り可能なオブジェクトの最大数) ここでオブジェクトは長さPのIPv6プレフィックスから割り当てられたIPv6 サイト アドレス(/48)となる。 利用率の基準Tは、IPv6プレフィックスPから割り振られる個々の/48プレフィッ クスの数として表され、次のように計算できる。 ((48-P)*HD) T = 2 したがって、IPv6アドレス ブロックの追加割り振りを申請する組織に対す る利用率の基準は、プレフィックス サイズと対象HDの利用比率の関数として 指定される。ここでの利用率は、エンド サイトに対する/48の割り振りを指し、 それらのエンド サイト内での/48の利用率を指すものではない。これはアドレ ス割り振りの利用率であり、アドレス割り当ての利用率ではない。 5.3.3. HD-Ratioの適用 評価にとって望ましいHD-Ratioは、このポリシーの実施から集められる経 験により実際の値を判断する必要があるが、0.80から0.85の間にあると考えら れる。このポリシーでは0.8というHD-Ratioが採用されている。この値は実施 の経験に応じて変わることがある。 5.3.4. 追加割り振りのサイズ "n"番目の追加割り当てS(n)のサイズは次のようになる。 S(n) = shorter(S(n-1)-1, eval(two_years_req)) ここで、S(n-1)-1は前回割り当てられたアドレス ブロックのサイズより 1ビット短いプレフィックス アドレス ブロックのサイズを表し、 eval(two_years_req)は申請組織の2年間の必要量に対する評価を表す。 つまり、基準を満たす組織(ISP/LIR)は、自動的に少なくとも1ビット短い プレフィックスを受けることができる。 組織がより大きなアドレス空間を必要とする場合、RIR/NIRに対し2年間の 必要量を証明する必要がある。次に、RIR/NIRがそれを評価し、2年間の必要量 を満たすのに十分なアドレス プレフィックスを割り振る。 5.4. LIRからISPへの割り振り 組織(ISP/LIR)がアドレス空間を下位ISPに割り振るための特定のポリシー はない。各LIR組織は、LIRに割り振られたアドレス ブロック全体の効率的な 利用を確保するため、下位ISPのための独自のポリシーを作成することができ る。しかし、LIRは、下位ISPからエンドユーザへの割り当てを含み、すべての /48の割り当て状況を把握し、追加割り振りが必要になった場合にHD-Ratioが 評価できるように割り当て状況をRIR/NIRに報告する必要がある。 5.5. 割り当て このセクションでは割り当てポリシーについて説明する。 5.5.1. 割り当てアドレス空間のサイズ 64ビット目以降のアドレス空間は、IETF領域[RFC2460]である。48ビット目 以降のアドレス空間はポリシー領域であり、IETFの推奨事項[RFC3177]および 以下の割り当てを推奨するRIRの合意事項[RIRs-on-48]となっている。 - 非常に規模の大きな申請者を除き、通常は/48 - 仕様により唯一のサブネットが必要であることがわかっている場合は/64 - 唯一のデバイスが接続することが確実にわかっている場合は/128 RIR/NIRは、LIR/ISPが実際にどのアドレス サイズを割り当てるかについて 関与しない。そのため、RIR/NIRは、IPv4の場合と異なりユーザー ネットワー クの詳細情報を要求しない。ただし、セクション4.4で説明した通り、本ドキュ メントで定義された利用率を計測する目的がある場合は除く。 5.5.2. サイトへの割り当て 5.5.3. 単一のサイトに対する複数の/48の割り当て 単一のサイトが追加の/48アドレス ブロックを必要とする場合、その要求 の妥当性を示す文書および資料を提出して割り当てを請求できる。複数または 追加の/48の請求は、RIR/NIRレベルで処理と検討(つまり妥当性の判断)が行わ れる。 5.5.4. オペレータのインフラストラクチャに対する割り当て 組織(ISP/LIR)は、IPv6サービスオペレータのサービス インフラストラク チャとして、PoPごとに/48を割り当てることができる。PoPに対するそれぞれ の割り当ては、PoPを利用するエンドユーザの数にかかわらず1つの割り当てと みなされる。一方、オペレータの社内業務に対して別途の割り当てを取得でき る。 5.6. DB登録 IPv6アドレス割り振りを受けた組織は、IPv6アドレス割り当てを行う際、 パブリック データベースにその割り当てに関する情報を登録しなければなら ない(当初は地域IRによって管理されるデータベースであり、将来的にはアド レス管理情報を登録するための分散データベースに置き換わる可能性がある)。 情報は割り当てた/48ネットワーク単位で登録される。組織が他組織に/48より 大きなアドレス空間を割り当てた場合、その他組織がアドレス利用情報をパブ リック データベースに登録したかどうかを監視する義務がある。 RIR/NIRは、追加割り当て申請時のHD-Ratio の計算、および割り当ての時 間的推移の検証のためにこの登録データを利用する。 各レジストリは個人情報の扱いに十分注意を払うべきである。個人情報保 護の具体的方法については、各RIR/NIRのプライバシー ポリシーに従うものと する(たとえば、tech-cまたはadmin-cとしてプロバイダを割り当てる、住所等 を途中で切るなど)。 5.7. 逆引き RIR/NIRは、IPv6アドレス空間を組織に委譲するとき、割り振られたIPv6ア ドレス空間に対応する逆引きルックアップ ゾーンを管理する権限も委譲する。 各組織はその逆引きルックアップ ゾーンを適切に管理する。アドレスの割り 当てを行なう際、組織は、割り当てられたアドレスに対応する逆引きルックアッ プ ゾーンを管理する権限を、要求に応じて割り当て先の組織に委譲しなけれ ばならない。 5.8. 割り振りと割り当ての有効性 アドレス空間の割り振りまたは割り当ては、割り振りまたは割り当ての基 礎となった当初の基準が効力を持つ間のみ有効となる。 特定の目的のために割り振りまたは割り当てが行われたが、当初の目的ま たは妥当性がなくなった場合は、割り振りまたは割り当ても無効となる。 割り振りまたは割り当ては、虚偽もしくは不完全である情報に基づいて行 われたことが判明した場合無効になる。 無効な割り振りは適切なIRに返却されるものとする。 5.9. 既存のIPv6アドレス空間保持者 本ドキュメントに記述されるポリシーが採用された場合、「PROVISIONAL IPv6 ASSIGNMENT AND ALLOCATION POLICY DOCUMENT」[RIRv6-Polices] に従っ てすでに割り振りを受けている組織は、/32アドレス ブロックに拡張された割 り振りを受けることが直ちに可能になる。/32アドレス ブロックは、その組織 に対する追加の割り振りのためにすでにRIRによって予約された割り振り済み のより小さなアドレス ブロック(多くの場合、1つまたは複数の/35アドレス ブロック)を含むことになる。/32の最小サイズを超える追加空間の申請は、本 ドキュメントの別の箇所で説明した通りに審査される。 6. 特別な場合 本ドキュメントの規定によらず、以下の場合における割当に関しては特別 な考慮を行う。本ドキュメントとは別に、個々のRIRがこれらの場合のポリシー について現在議論を行っている。 6.1. IX(インターネット エクスチェンジ) IXはISPが相互接続する地点である。ISPに依存しないアドレスが必要とされる。 7. 謝辞 本ドキュメントの初期ドラフトは以下のJPNIC IPv6 global policy drafting teamにより作成された。休日を返上して書かれた努力に感謝する。 Akihiro Inomata Akinori Maemura Kosuke Ito Kuniaki Kondo Takashi Arano Tomohiro Fujisaki Toshiyuki Yamasaki その後、3つのRIRそれぞれの代表者によって編集チームが組織された (APNIC Policy SIG議長Takashi Arano、ARIN IPv6 WG議長Thomas Narten、 RIPE-NCC IPv6 WG議長David Kessens)。 編集チームは、Takashi Arano、John Crain、Steve Deering、Kosuke Ito、 Richard Jimmerson、David Kessens、Mirjam Kuehne、Anne Lord、Jun Murai、 Paul Mylotte、Thomas Narten、Ray Plzak、Paul Wilson、Wilfried Woeberに よる本ドキュメントへの貢献に感謝したい。 8. References [RFC1715] "The H Ratio for Address Assignment Efficiency", C. Huitema. November 1994, RFC 1715. [RFC1771] "A Border Gateway Protocol 4 (BGP-4)", Y. Rekhter, T. Li. March 1995, RFC 1771. [IAB-Request] "Email from IAB to IANA", [XXX need better reference]. See IAB Minutes, Dec. 12, 1998, ftp://ftp.iab.org/in-notes/IAB/IABmins/IABmins.981208, ftp://ftp.iab.org/in-notes/IAB/IABmins/IABmins.990112. [RFC2373] "IP Version 6 Addressing Architecture", R. Hinden, S. Deering. July 1998, RFC 2373. [RFC2373bis] draft-ietf-ipngwg-addr-arch-v3-07.txt. [RFC2460] "Internet Protocol, Version 6 (IPv6) Specification", S. Deering, R. Hinden. December 1998, RFC 2460. [RFC2780] "IP Version 6 Addressing Architecture", R. Hinden, S. Deering. July 1998. RFC 2373. [RFC2928] "Initial IPv6 Sub-TLA ID Assignments", R. Hinden, S. Deering, R. Fink, T. Hain. September 2000, RFC 2928. [RFC3177] "IAB/IESG Recommendations on IPv6 Address". IAB, IESG. September 2001, RFC 3177. [RFC3194] "The H-Density Ratio for Address Assignment Efficiency An Update on the H ratio", A. Durand, C. Huitema. November 2001, RFC 3194. [RIRs-on-48] http://www.arin.net/minutes/bot/bot08152001.html, XXX fill in. [RIRv6-Policies] http://www.arin.net/regserv/ipv6/ipv6guidelines.html, http://www.ripe.net/ripe/docs/ripe-196.html, http://www.apnic.net/docs/drafts/ipv6/ipv6-policy-280599.html. 9. 付録A: 「The Host-Density Ratio for Address Assignment Efficiency: An update on the H ratio」 [RFC 3194]の推奨に従って、本草稿では、IPv6アドレス空間を 割り振るための利用率の基準として0.8のHD-Ratioを採用することを提案している。 次の表は、0.8のHD-Ratioに対応する、IPv6プレフィックスのアドレス利用を等価の 絶対的数値と百分率で示したものである。 P 48-P /48の総数 閾値 利用率 48 0 1 1 100.0% 47 1 2 2 87.1% 46 2 4 3 75.8% 45 3 8 5 66.0% 44 4 16 9 57.4% 43 5 32 16 50.0% 42 6 64 28 43.5% 41 7 128 49 37.9% 40 8 256 84 33.0% 39 9 512 147 28.7% 38 10 1024 256 25.0% 37 11 2048 446 21.8% 36 12 4096 776 18.9% 35 13 8192 1351 16.5% 34 14 16384 2353 14.4% 33 15 32768 4096 12.5% 32 16 65536 7132 10.9% 31 17 131072 12417 9.5% 30 18 262144 21619 8.2% 29 19 524288 37641 7.2% 28 20 1048576 65536 6.3% 27 21 2097152 114105 5.4% 26 22 4194304 198668 4.7% 25 23 8388608 345901 4.1% 24 24 16777216 602249 3.6% 23 25 33554432 1048576 3.1% 22 26 67108864 1825677 2.7% 21 27 134217728 3178688 2.4% 20 28 268435456 5534417 2.1% 19 29 536870912 9635980 1.8% 18 30 1073741824 16777216 1.6% 17 31 2147483648 29210830 1.4% 16 32 4294967296 50859008 1.2% 15 33 8589934592 88550677 1.0% 14 34 17179869184 154175683 0.9% 13 35 34359738368 268435456 0.8% 12 36 68719476736 467373275 0.7% 11 37 137438953472 813744135 0.6% 10 38 274877906944 1416810831 0.5% 9 39 549755813888 2466810934 0.4% 8 40 1099511627776 4294967296 0.4% 7 41 2199023255552 7477972398 0.3% 6 42 4398046511104 13019906166 0.3% 5 43 8796093022208 22668973294 0.3% 4 44 17592186044416 39468974941 0.2%