インターネットガバナンスとは
インターネットガバナンスとは、それを用いる主体や文脈によって、 その語が指す範囲に広がりがある言葉となっていますが、 JPNICでは「インターネットを健全に運営する上で必要なルール作りや仕組み、 それらを検討して実施する体制など」と定義しています。
これはインターネットガバナンスの諸要素によく当てはまる定義ではありますが、 この定義だけでは、全体像や具体がピンとこないという声をよく聞きます。 それは、いろいろな要素が自律的に機能しながら協調してインターネットを構成するという、 インターネットそのものが持つ性質に起因していると考えられます。
健全に運営するということは、裏返せば、問題がある場合にどのように解決するか、 ということを示します。 通信プロトコル自体に問題があれば標準化団体であるIETF (Internet Engineering Task Force)で検討、 IPアドレスの分配や管理に関してであれば地域インターネットレジストリ(RIR; Regional Internet Registry)、 ドメイン名であればICANN (The Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)というように、 構成要素によって、ルール作りを担当する組織が異なります。 インターネットにおける問題が国内の通信政策や競争政策であれば、 それらを管轄する省庁の政策過程に従う必要があります。 プラットフォームの中の問題であれば、プラットフォームの運営事業者が対処しなければなりませんが、 自律的な努力で足らない場合には、何らかの公共政策による規制が必要になるかもしれません。 問題が利用者の意識にあるのであれば、啓発活動が必要です。 また、インターネットは革新が付け加わることによって進化しますので、 付け加わったものに対する何らかのルールが必要になる可能性もあります。
ここまで説明したように、将来的に増えていく可能性さえあるいろいろな構成要素によって、 インターネットのガバナンスは確保されています。 このように多岐にわたるインターネットの問題に関して、 広くさまざまなステークホルダーが参加して対話することを目的として、 国際連合が年1度「インターネットガバナンスフォーラム(IGF)」を開催しています。 問題解決は、IGFにおける対話を通じて得られた知見を各ステークホルダーが持ち帰り、 自身の権能によって対処することが期待されています。