ドメイン名の登録
ドメイン名を使用するためには、 ドメイン名登録機関に対し登録申請をする必要があります。 登録機関はTLDごとに異なり、 それぞれ独自の方針・規則に基づいて登録サービスを行っています。
ドメイン名の登録とは
ドメイン名の登録とは、専門的に言うと、 トップレベルドメイン(TLD)ごとに存在する登録管理組織(レジストリ)から、 登録が認められている期間に限り、 登録しようとするドメイン名の管理権限の委任を受けることを意味します。
「管理権限の委任を受ける」と書くと難しいですが、 これをより一般的な言葉で表現すると、登録料などを払い続けている期間、 レジストリが定めた登録規則の範囲内で、そのドメイン名を自由に利用できる、 という意味になります。 その意味では、ドメイン名は言わば「延長は可能なものの、 期限を限ったリース」であり、 世間で「独自ドメイン名を購入する」などと言われることもありますが、 ドメイン名そのものが登録者の所有物になったりするわけではありません。
登録者が自由に利用できるのは、登録したドメイン名だけでなく、 そのドメイン名によって表される空間(専門的な用語ではドメイン名空間と呼びます)全体で、 階層構造を持つドメイン名空間において、 それ以下の階層も登録者が自由に利用できます。
これもまたわかりやすく具体的を挙げると、 例えば「○○○.com」のように第2レベルにドメイン名を登録した場合、 「○○○.com」だけでなく、「△△△.○○○.com」や、 「×××.△△△.○○○.com」のように、第3レベルや、 第4レベルにも自由に名前を付けて(「サブドメイン」を作ると言います)利用することができます。
上記のようなサブドメインは、 技術的な制約の範囲内であれば必要に応じて好きなだけ作ることができ、 最初にドメイン名を登録するときに発生する費用を除けば、 これらのサブドメインに対して登録料や維持料がかかることはありません。
ドメイン名を登録するとできること
ドメイン名は、IPアドレスと同様にインターネット上における住所のようなものです。 多くのユーザーがドメイン名を目にする機会としてもっとも多いのは、 WebサイトのURLやメールアドレスの一部としてだと思いますが、 自分のドメイン名を登録すると、そのドメイン名を用いて、 自分の好きなURLでWebサイトを公開したり、 自分の好きなメールアドレスを利用してメールの送受信などができるようになります。
具体な例を挙げると、一般的に多くの個人ユーザーは、 ISPやWebサービスで登録するなどして与えられたWebサイトのアドレスとして、 次のようなものを使っていると思います。
また、メールアドレスとしては、 ISPなどから与えられた次のような形式のものが多いと思います。
これに対して、ドメイン名として好きな文字列を登録すると、 次のようにそのドメイン名を利用して独自のURLでWebサイトを公開したり、 メールアドレスとして利用して、 メールの送受信をしたりすることができるようになります。
また、登録したドメイン名の階層以下に、 「www」といった新たなドメイン名を設定したり、 メールアドレスとして利用する際には、 好きなユーザー名で必要なだけアドレスを作ったりもできます。
厳密には、 単にドメイン名を登録するだけでそのドメイン名をURLやメールアドレスとして利用できるわけではなく、 それらを利用するためのサーバなどが必要となります。 ただ、ドメイン名の登録サービスを提供している多くの事業者では、 簡易な利用目的であれば、 ドメイン名の登録と同時に多少の設定を追加するだけで、 URLやメールアドレスなどとしてそれらを利用できるような仕組みを用意しています。
ドメイン名を登録する方法
ドメイン名を登録する場合には、 「レジストラ」や「リセラ」と呼ばれる、 ドメイン名の登録を取り扱う事業者経由で登録を申し込む方法が一般的です。 日本語では、レジストラは「登録事業者」、 リセラは「再販事業者(取次事業者)」などとも呼ばれます。 なお、JPドメイン名の場合はレジストラとは呼ばず、 JPドメイン名の登録管理業務を行っている株式会社日本レジストリサービス(JPRS)は、 同種の事業者のことを「指定事業者」と呼んでいます。
これらのレジストラ、リセラ、指定事業者の中には ドメイン名登録を専業としてしている事業者も多くありますが、 ISPやレンタルサーバ事業者、Web作成事業者などがレジストラやリセラになり、 それぞれの事業者が提供している本来のサービスに付随するサービスとして、 ドメイン名登録サービスを提供しているケースもよく見かけられます(特にそれらの事業者がリセラとなっているパターン)。 自分がサービスを利用しているISPやレンタルサーバ事業者などが、 レジストラやリセラでもあった場合は、 普段利用しているその事業者経由でドメイン名の登録をすることもできます。
なお、ccTLDの中には、 そのccTLDを管理する登録管理組織(「レジストリ」と言います)自身が、 ユーザーからの登録申請を直接受け付けているところもあります。 そのようなTLDの場合は、レジストラやリセラ経由に加えて、 レジストリに申し込んでドメイン名を登録することもできます。
「レジストリ」と「レジストラ」、「リセラ」の関係
ここまでで説明したように、 ドメイン名の登録管理に関係する組織としては、 「レジストリ」「レジストラ」「リセラ」という3種類の組織が存在します。
レジストリ (登録管理組織)
TLDごとに一つずつ存在する、そのTLDを管理する組織です。 ccTLDの「.jp」なら株式会社日本レジストリサービス(JPRS)、 「.com」なら米国のVeriSign社がこのレジストリに該当します。
登録されたドメイン名のデータベースを一元的に管理し、 TLDの中でそのドメイン名が一意(他の誰かが重複して登録していないこと)を担保するために、 レジストリはTLDごとに一つしか存在できません。
レジストラ (登録事業者)
レジストリから認定を受け契約を結んだ上で、 レジストリと登録者の間に立って、 ユーザーからドメイン名の登録や登録内容の変更などの各種申請を受け付ける事業者です。 レジストリと違い、 競争原理を働かせるために一つのTLDにおいて複数(数社~数百社)あることが一般的です。
.comや.netなどのgTLDと呼ばれるTLDを扱うレジストラについては、 gTLD共通のルールに基づいて業務を実施する義務が課されているため、 費用や細かいサービス面での差はありますが、 どのレジストラを選んでもドメイン名の登録管理自体に関しては、 比較的共通したサービスが受けられます。 また、 あるレジストラから別のレジストラへと乗り換えたい場合についても、 あらかじめレジストラを変更するための手順が定められています。
一方、ccTLDでは、.jpを取り扱う指定事業者や、 .ukや.deなどを扱うレジストラについても、 全ccTLDで共通のルールは無いものの、 各ccTLDのレジストリから認定を受けた上で、 そのTLD内で共通したルールに基づいてサービスが提供されています。 指定事業者やレジストラ変更についても、 gTLD同様に仕組みが整備されていることが大半です。
リセラ (再販事業者/取次事業者)
レジストラと登録者間に立ち、 ドメイン名登録に関する各種申請を取り扱う事業者です。 レジストラと同様に、リセラも一つのTLDに数多く存在します。 レジストラとの違いは、 レジストラが取り扱うレジストリと直接契約を結び、 レジストラの下で登録サービスを提供しているのに対し、 リセラはレジストリとは直接契約関係にはなく、 あるレジストラと契約を結んだ上で、 そのレジストラの下で登録サービスを提供していることです。
リセラは、 登録されたドメイン名のデータを自身で完結して管理することはなく、 リセラに申請した時点ではドメイン名の登録は完了していません。 ユーザーから申請を受け付けた後、 リセラがその内容を上位のレジストラへと登録することで、 実際にドメイン名の登録が行われます。
リセラの場合、 レジストラと違いすべてのリセラに共通する認定基準などがあるわけではないため、 リセラと言いつつも実態はレジストラとほぼ変わらないほど大規模にサービスを展開している事業者もあれば、 個人レベルで申請を代行しているだけのレベルのものまで、 多種多様な事業者が存在しています。
また、レジストラほど厳密なルールに縛られていないため、 リセラごとの費用やサービス面での差が大きいことも特徴です。 そのため、事業者を選ぶ際にはよく吟味することが必要ですが、 逆に言えばレジストラに比べ、 より自分にあった柔軟なサービスを提供している事業者や、 費用が低廉な事業者を選択することが可能とも言えます。
gTLDの登録のしくみ
レジストリ・レジストラモデル
gTLD(.edu/.gov/.mil/.intを除く)の登録サービスは、 「レジストリ・レジストラモデル」という形をとっています。 レジストリは登録されたドメイン名のデータベースを一元的に管理する機関であり、 .comや.net、.orgなどといったTLDごとに1組織しか存在しません。
一方、レジストラは登録者からドメイン名の登録申請を受け付け、 その登録データをレジストリのデータベースに登録する機関であり、 一つのレジストラに数社~数百社のレジストラが存在しています。
このようなモデルを採用している理由は、 ドメイン名の空間全体において登録されたドメイン名の一意性(uniqueness)を保ちつつ、 同時に価格やサービス面で競争環境を導入するためです。
あるドメイン名がそのTLDの中で一意(重複して登録されていない)であることを保証するためには、 そのTLDのデータベースを一元的に管理する必要があるため、 レジストリは1組織だけである必要があります。 このように、レジストリは自然独占的な性質を持つわけですが、 このままでは競争原理が働きにくい状態となります。 そこで、一元的なTLDデータベースの管理と、 ユーザーへの登録サービスを提供する機能とを分離して、 ユーザーからの登録等各種申請を受け付ける事業者は複数存在できるしくみとし、 ドメイン名の一意性の維持と競争原理の働く環境とを両立しています。
gTLDの登録方法
gTLDを取り扱うためには、レジストリ・レジストラのどちらについても、 ドメイン名やIPアドレスといったインターネット資源に関して全世界的に調整や管理を行っている、 ICANN(The Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)からレジストリやレジストラとして正式に認められ、 ICANNとの間で契約を締結する必要があります。
すべてのgTLDレジストリとレジストラは、 このICANNとの契約に基づいて業務を行っています。 gTLDではICANNにより共通のポリシー(規則や決まりごと)が定められていて、 gTLDを取り扱うレジストリとレジストラは、 ICANNとの契約によってこのポリシーを遵守することが求められています。 そのため、ユーザーがどのレジストラでドメイン名を登録したとしても、 ある程度共通したサービスが提供されるしくみになっています。 現在、このようにICANNから認定を受けているgTLDレジストラは、 世界で900社以上あります。
ユーザーがドメイン名の登録を希望する場合は、 複数あるレジストラのうち、 いずれかのレジストラに対して申請手続を行います。 または、レジストラの下に存在する登録申請のリセラを通して登録手続を行うこともできます。 登録が完了し、 ネームサーバーに登録ドメイン名が反映された時点で使用が可能になります。
gTLDの登録を取り扱っているレジストラについては、
以下のページから検索することができます
現在サービスを提供しているICANN認定レジストラ一覧:
(アルファベット順) | http://www.internic.net/alpha.html |
(サービス提供言語順) |
http://www.internic.net/language.html (ブラウザ内検索で検索語を"Japanese"として検索してみてください) |
各gTLDの管理機関
ccTLDの登録のしくみ
ccTLDの登録サービスの形態は、 各ccTLDの管理機関(レジストリ)の方針によってさまざまであり、 gTLDのレジストリ・レジストラモデルに類似した形態をとっているところもあれば、 レジストラを置かずにレジストリ自身が登録業務を行っているところもあります。 では、日本のccTLDである「.jp」の場合はどうなっているのか見てみましょう。
JPドメイン名の登録申請手続
JPドメイン名の登録申請の構造も、 基本的にはレジストリ・レジストラモデルと言えます。 ただし、登録されたドメイン名に関わる契約関係が、 登録者とレジストラ(指定事業者)との間ではなく、 登録者とレジストリ(JPRS)との間にある点で、 「.com」や「.net」などのgTLDとは異なっています。 登録者はJPRSの登録規則に基づいて登録をする形になっています。
JPドメイン名の登録を希望する場合は、 いずれかの指定事業者を経由して、 または直接JPRSに対して申請の手続を行うことになります。 属性型(組織種別型)・地域型JPドメイン名は、 1組織1ドメイン名という原則とドメイン名の種類に応じた登録要件があり、 その申請手続においてJPRSが審査を行っています。
第2レベルに希望する文字列を登録できる汎用JPドメイン名では、 1組織1ドメイン名という原則はなく、 個人でも組織でも複数のドメイン名が自由に登録できます。 登録要件も国内に住所があることのみになっています。 また、日本語文字の使用も可能です。
用語集
レジストリ に関する用語を集めました。