------------------------------------------------------------------------- ICANNリオデジャネイロ会議:一般討論会(Public Forum)第2部 日時:2003年3月26日(水)8:30~18:30 会場:Hotel Sofitel, Rio de Janeiro 司会:Vint Cerf(ICANN理事長) 内容:1. 各組織・委員会からの報告(続き) 2. 国際化ドメイン名(IDN)について 3. ccNSOに関する支援グループからの勧告について 4. 2003-2004暫定予算について 5. レジストラ間のドメイン名登録移転(レジストラ変更)について 6. Whoisの正確性およびバルクアクセスについて 7. スポンサー付き新gTLDの選定基準について ------------------------------------------------------------------------- <詳細記録> ■1.各組織・委員会からの報告(続き) ●1.1 ICANN事務総長からの報告(by Stuart Lynn) http://www.icann.org/presentations/lynn-presidents-report-rio-26mar03.pps ○予算 - 2001-02監査報告は公開済み - 2002-03初期6ヶ月分は公開済み(無監査分) - 2002-03予算見積の説明(2002-03成立予算との比較) + スタッフの数は27から33へ増加 + 支出は2002-03成立予算よりも低め(600万ドル→586万ドル) + 収入はほぼ目標どおり + ccTLDからの寄付金:80万ドル→62万ドル ○スタッフ人事 - 上海会議(2002年10月)以降5名追加: ウェブマスター/レジストリ運営の管理者/レジストリ・リエゾン/ 財務アナリスト/受付 - 募集中のポジション: 一般参加についての管理者(※改革後のICANN-2)/契約スペシャリスト - オンブズマン: (※新付属定款規定により理事会が指名する) 専門家と契約し、このポジションのデザインおよび採用に関し協力を得ること にした ○契約 - 米国商務省とのIANA機能に関する契約は3年更新(ただし、6ヶ月後とその後 12ヶ月毎にチェックポイントあり) - CRADA(米国政府との共同研究開発契約)報告書(ルートサーバに関する報告書) を提出 - 上海会議以降、新たなccTLD契約を締結:台湾、ラオス、アフガニスタン、ケニ ア、スーダン、ウズベキスタン(まもなく完了) ○IANAパフォーマンスに関するデータの紹介 ネームサーバ変更についてのデータを紹介 - ネームサーバ変更の平均所要時間は22日(2002年分)。しかし、実際にはデータ の値に大きな開きがあるので、今後異常値が発生する原因究明や、異常値を正常 に戻すための対策を検討すべき。さらに、緊急時の変更対応に関する問題もある - 今後の検討事項(案): ccTLDの認証に要する時間短縮のために、PKIの技術(PGPなど)を使用すべきか など ------------------------ <2002年> 変更の件数:116 平均所要時間:22日 + IANAのコントロール下:9日 + ccTLDが認証要請に対応: 8日 + 米国商務省による承認:3日 + VeriSignがAルートサーバーに反映:2日 最長所要時間:110日 (IANA:57日、ccTLD:104日、米国商務省:26日、VeriSign:13日) <2003年> 変更の件数:14 平均所要時間:20日 (IANA:10日、ccTLD: 6日、米国商務省:2日、VeriSign:2日) 最長所要時間:57日 (IANA:19日、ccTLD:31日、米国商務省:5日、VeriSign:4日) ------------------------ ○会議予定 - 2003年中旬会議:モントリオール(6/22~26) - 2003年下旬会議:カルタゴ(10/27~31) - 2004年初旬会議:ヨーロッパ - 2004年中旬会議:アジア太平洋 - 2004年下旬会議:ケープタウン ----------------------------------------------- ●1.2 政府諮問委員会(GAC)からの報告(by Mohamed Sharil Tarmizi, チェア) GACコミュニケを発表: http://www.icann.org/committees/gac/communique-25mar03.htm ○人事 - 2002年12月の選挙の結果、新チェア(Mohamed Sharil Tarmizi)、および 3名の副チェア(Lena Carlsson, Vanda Scartezini, Michael Katundu)を 決定 ○新メンバー - ギリシャとトリニダード・トバゴが新メンバーとしてGACに参加 ○アウトリーチ活動 - リオ会議に先駆けて、南北アメリカの数ヶ国がワークショップを開催し、各地 域へのアウトリーチ活動の方法について協議した ○GAC-ICANNリエゾン - 各ICANN構成組織へのリエゾン(1年任期)を指名。理事会および各構成組織と 密に協力し相乗効果を計りたい ○GACワーキンググループ - 6つのワーキンググループを設置: gTLDs/IDN/Whois/ccTLDs/ルートサーバー運用とDNSセキュリティ/IPv6 - ccTLD WGは、ccNSO支援グループによる勧告書の検討、およびGAC ccTLD principles更新の検討に着手すべき ○国名および国際政府間組織名に関するWIPO II 勧告 - GACは、国名および国際政府間組織名が不正なドメイン名登録に使用されない よう保護すべきとするWIPO II(WIPOセカンドプロセス)勧告を支持。ICANN 理事会が同勧告を実施するよう助言する - GACとgTLD/ccTLDコミュニティとの合同ワーキンググループを設置し、同勧告 のUDRPへの影響等を検討することを提案 ○ISO3166 アルファベット2文字コードの商標化 (#2003年2月10日、ICANNがGACに本件についての助言を要請) - ISO国コードを商標としてレジストリに発行することは、GAC ccTLD principles の精神に一致しない。ccTLDコードに商標権を与えるか否かの問題は、最終的に は国・地域の法律によって決定する ○ccNSO提案 - GACは公共ポリシーに関する助言を行う役割を負っていることから、ccNSOは ポリシー策定プロセスの一部としてGACとの積極的対話を持つことが重要。 理事会がccNSOに関する付属定款条項を採択する前にGACに相談することを 期待する ○国際化ドメイン名(IDN) - ICANN理事会メンバーと、IDNの取り組みの現状やICANN IDN Committeeのタスク について協議した。次回会合にてこの件の回答を行うと共に、新設のGAC IDN WGがIDNの進捗状況をモニターする ○国際組織との協力 - ITUおよびWIPOとのワークショップを開催。情報交換の場として有益であった ○GAC事務局 - 事務局をオーストラリアから欧州委員会(European Commission)に移設。 新しいGACウェブページは<http://www.gac.icann.org> ----------------------------------------------- ●1.3 セキュリティと安定性に関する諮問委員会(SAC)からの報告 (by Steve Crocker, チェア) http://www.icann.org/presentations/crocker-security-rio-26mar03.pps ○委員会の紹介 - 委員会発足から1年経過し、組織・活動の評価時期にきている - メンバーは全員優れた技術関係者であることが強み(ルートサーバー運用管理者、 gTLD・ccTLD運用管理者、RIRs、レジストラなど) - 役割: + 理事会からの問い合わせに対応 + 検討すべきトピックを選定し理事会およびコミュニティに提言 + インターネットのセキュリティに関する展望を構築・維持 (セキュリティ分野には全地域にまたがる組織が存在しないため、この役割は 重要) ○活動報告 <完了> - エッジ(外部ネットワークとの接続点)の安全性強化: パケットの出所を特定し、不正ソースアドレスがついたパケットがシステムに 入る機会を低減する方法について助言した - Whois Committeeからの要請に応え、プライバシー問題について助言した - ccTLDネームサーバ変更手順: 上海会議でIANA、ccTLD、SACのメンバーによるアドホックなグループを作り、 ネームサーバ変更が順調に進まなかった事例に関し、プロセスの調査や課題解 決について検討した。以下のページに手続を公開: http://www.iana.org/cctld/nameserver-change-procedures-19mar03.htm <進行中> - VGRSへのIDNに関する助言 - DNSSECの評価 - セキュリティの総体的評価 <予定> - IPv6への移行の評価 ----------------------------------------------- ●1.4 財政委員会(理事会内)からの報告(by Jonathan Cohen) ○2003-2004予算について 暫定予算案: http://www.icann.org/financials/preliminary-budget-15mar03.htm - 委員会での検討結果を上記暫定予算案に反映 - 昨日、新CEOと予算諮問委員会とで会合を持ち議論した - 予算案作成までに4週間のコメント募集期間があり、その結果は予算案に反映 される予定 ----------------------------------------------- ●1.5 ICANNの発展と改革に関する委員会(ERC)からの報告 (by Alejandro Pisanty, チェア) ○GNSOについて - すでに新構造でスタート(1年後に見直しあり) - 投票および定足数のルールに関する問題を検討中。理事を1名選出済み - ボトムアップ式のポリシー策定を実行中 ○ccNSOについて - ccNSO支援グループが勧告を発表(ccNSOの範囲など) + 組織構造についての詳細を策定 + ポリシー策定プロセスについて提案 - 少数ではあるが非常に貴重なパブリックコメントが寄せられた(DEなど) - ccTLD管理者の多くがccNSO組織化に向けて貢献している ○ASOについて - まだ検討中。今年初旬中にはERCとしての結論を出したい - RIRs、ASO、アドレス評議会との対話を再開(ポリシー策定プロセス、組織 構造など) ○指名委員会(NomCom)について - 活動を開始しており(電話会議を実施)、ERCの関与は少ない状態 ----------------------------------------------- ●1.6 GNSO評議会からの報告(by Bruce Tonkin, チェア) ○理事会への報告書提出 - WhoisおよびTransfer(レジストラ変更)についてのコンセンサスポリシー 勧告を理事会に対して行った ○ドメイン名の削除問題について - 最終報告書を発表:ドメイン名削除プロセスの改善(統一化)を提案 - 修正済Whoisデータ(#Whoisデータが正確でないとの苦情を受けてレジストラ が削除するドメイン名には「請戻猶予期間」が適用されるが、登録者は更新 したWhois情報を提供しなければならない)の正確性については追加検討する 予定だが、最終報告書の提案が実施された後の状況を見てからとすることに決定 ○プライバシーの問題について - 2つの懸念事項:Whois情報の公開、Whois情報の第三者への配布 - 昨日の評議会にて、プライバシーに関するポリシー策定プロセスの開始を決議 ○gTLD名前空間の構造に分類(taxonomy)を導入するかについての検討 - 1~2ヶ月後にGNSO gTLD Committeeからの第一次報告書を発表予定 ○スタッフ - 管理部門担当者とポリシー部門担当者各1名を要請することを決議 ----------------------------------------------- ●1.7 ccTLDグループからの報告(by Patricio Poblete, AdComチェア) ccTLDコミュニケを発表: http://www.icann.org/riodejaneiro/cctld-communique-26mar03.htm ○ccNSOの形成 - ccNSOはccTLD管理に関するポリシー策定の唯一適切なフォーラム - 基本原則:ccNSOまたはICANNにとって、いかなるグローバルポリシーの役割 も範囲は限定されており、ポリシーの大半は地域的問題である ○ICANN外でのccTLD管理に関する議論の最新情報 - 2003年3月にスイス・ジュネーブにてフォーラムを開催 - 世界情報社会サミット(WSIS)の関係者とも有意義な話し合いを持った ○政府諮問委員会(GAC)との連携 - 恒例のGACとのセッションを実施。GACがccTLDワークショップを設置するという 取り組みを歓迎 ○GAC Principlesの評価 ○国際化ドメイン名(IDN) - IDN実装に関し、関係者との有意義なセッションを持った - ベストプラクティス策定に向けてccTLD内で検討したい ○IANA機能 - IANA機能を定義する上での問題を検討 - IANAサービス運営のための技術仕様の開発を支援することを決定 ----------------------------------------------- ●1.8 ENUMチュートリアル報告(by Helmut Schink) 前日に開催されたENUMチュートリアルの総括: http://www.icann.org/riodejaneiro/enum-summary-26mar03.htm - 新技術であるENUMをICANNコミュニティが十分理解できるよう、情報交換を継続 すべき - ENUMのルールや規制の実施は国家主権の問題。GACが各国・地域での状況をICANN に伝え、ICANNに措置を要請する役割を負うことを提案する - プライバシー、安定性、Whois等の問題との関連から、ENUMコミュニティには ICANNからの支援が必要(SACなど) - ICANNはENUMの実装を支援すべき - 今後1年間はpublic forumにてENUMの最新情報を提供することを提案する ------------------------------------------------------------------------- ■2. 国際化ドメイン名(IDN)について ●2.1 加藤幹之氏からの報告(IDN Committee チェア) ○ICANNにおけるIDN活動スケジュール報告 - 第1ステージ(2001年3月~): ICANN理事会内の「IDNワーキンググループ」を設置。2001年9月までIDNの 事実調査を実施。ポリシー問題についても議論。 - 第2ステージ(2001年9月~): 「IDN Committee」を設置。IDN関連ポリシーについて多数の文書を作成し、 理事会に助言。 - 第3ステージ(最近~): 事務総長管轄下の「IDN Registry Implementation Committee」を設置。 IDN実装にフォーカスしており、メンバーはレジストリ代表が多い。 ○検討項目の報告 - IDNの技術的解決法として、2つの異なるアプローチに分類(サーバー側/クラ イアント側のアプローチ)。IETFはクライアント側のアプローチを採用し、 今月3つのRFCを発行。 - IDN実装に関する検討課題: + 使用可能なコードポイントの問題。IDN Committeeは1年以上前に、IDNとし て使用可能なコードポイントを限定するよう提案 + まずはセカンドレベルでのIDN実装にフォーカスする。長期的にはトップレ ベルでのIDN実装も検討すべき。IDN CommitteeはトップレベルIDNについて の報告書を発表している + ユーザーインターフェースの問題 + 現行の紛争処理方針の見直し - ポリシーに関する問題: + CJK問題。等価文字テーブル作成に向けて作業中 + JET(Joint Engineering Team)が多数のポリシーガイドラインを提供 + 漢字圏以外にも世界各国で多数のグループがIDNの問題に取り組んでいる (Internet Names Consortiumなど) ○今後の留意点 - IDN実装を性急に展開させると、ユーザーへ混乱を招いたり、サイバースクワッ ティングを増加させる恐れがあるため、レジストリレベルで分別あるポリシー を採用する必要がある ----------------------------------------------- ●2.2 「ICANNが契約レジストリにIDN登録を認めるにあたっての基準」について (by Andrew McLaughlin, ICANN) 現在、3月13日発表の初期基準案から推敲中。 ○基準案の説明(4つの必須要件と2つの勧告事項) 初期案:http://www.icann.org/riodejaneiro/idn-topic.htm 日本語要約:http://www.nic.ad.jp/ja/topics/2003/20030318-01.html ○今後の予定 今後2週間で、契約レジストリと協議の上、双方で取り交わす文書の内容に ついて合意を得る。その後、各契約レジストリにIDN登録を認める予定 [質問(Q)/意見(C)] Q. 4つの必須要件については、全TLDレジストリに適用すべきではないのか (Amadeu Abril i Abril, ICANN理事) A. 各言語・TLDにおける問題は、我々理事会が指図すべきではなく、それぞれ のコミュニティで決めるべきこと(Vint Cerf, ICANN理事長) C. 今検討している6つの要件は、全員にとって共通の問題であり、過去2年間 我々が検討してきたことが集積されている。この基準案を発表したやり方 については批判もあるようだが、内容を見てコメントを寄せてほしい。 JPRSはIDN実装の準備が完了しているにもかかわらず、ICANNでのこうした 取り組みを通じて枠組み作りができることを期待して、IDN登録開始を保留 にしている。IDN実装のための共通の基盤作りにコミュニティからのさらな る参加を求めたい(加藤, ICANN理事) C. 現在、ICANNと契約しているレジストリと契約していないレジストリ(ccTLD レジストリの大多数)の2種類が存在し、それぞれに対して異なる対応をしよ うとしているが、このガイドラインに関する議論は両者を包括したもの。 ユーザーはどちらのレジストリかは無関係に、この議論の結果に直面するこ とになるのだから(Hans Kraaijenbrink, ICANN理事) C. IDNの技術標準化を受けて、特に中・日・韓では早急なIDN実装が求められて いる。これまで、プロトコルの標準化作業と平行してIDN実装のための取り組 みを中国、日本、台湾、韓国のccTLDレジストリで行ってきたが、それには VeriSignやAfiliasといったgTLDレジストリも協力してきた。IDNはTLD間で相 互運用性のあるものにすべきであり、そのためにICANNと契約しているレジス トリは、ガイドライン作成を進めるべき(堀田, JPRS) #その他、gTLD・ccTLDレジストリのいくつかからガイドライン支持のコメント があった C. 2000年末にVeriSignが開始したIDNテストベッドへの参加に反対したレジスト ラ代表として。テストベッドでの登録は100万件以上に上るが、単にテスト ベッド登録をこのガイドラインの対象外にすることは適切ではない。テスト ベッドであるために登録を自粛したユーザーに対してフェアでなくなる (CORE) C. 漢字圏だけでなく、アラビア語圏などその他の地域についてもフォーカス すべき(MINC チェア) ------------------------------------------------------------------------- ■3. ccNSOに関する支援グループからの勧告について(by Chris Disspain) ●勧告の内容 ○ccNSOの活動範囲 - ICANN理事会に対するポリシー勧告の作成 - ccTLDコミュニティにおけるコンセンサス形成 - 他のICANN構成組織(他の支持組織、委員会、部会)との協力 ○ccNSOのメンバーシップ - ccTLD管理者 - ccTLDレジストリはccTLDレジストリ管理者によって代表される ○ccNSO評議会 - 18名(世界5地域から各3名選出(計15名)+指名委員会が3名指名) - オブザーバー:GAC、ALAC、各ccTLD地域組織からのリエゾン ○ccNSOにおけるポリシー策定プロセス (#GNSOにおけるプロセスに基づきドラフトを作成) - Issue Report作成の要請 - Issue Reportの作成(評議会が指名するIssue Managerにより作成) - ポリシー策定プロセスの開始 - タスクフォースの設置 - ポリシー策定プロセス開始とコメント募集開始の公示 - 評議会での審議、勧告作成 - メンバーによる投票 - 理事会へ報告書を提出 - 理事会による投票 - ポリシーの実施 ※拘束力のあるポリシーについて: ポリシーがICANNの使命およびccNSOの範囲内である場合、ccNSOメンバーに 対し拘束力を有する ●次のステップ 寄せられたコメントと最終勧告に基づき、付属定款(Bylaws)の当該条項ドラフ トを作成。さらにコメント募集を行った後、理事会に提出。 ccTLDコミュニティによる決議の紹介(by Peter Dengate-Thrush) ------------------------------------------------------------------------- ■4. 2003-2004暫定予算について(by Stuart Lynn) http://www.icann.org/presentations/lynn-budget-rio-26mar03.pps 2003-2004暫定予算(案): http://www.icann.org/financials/preliminary-budget-15mar03.htm ●前置き この暫定予算案に対してコメント募集を行った後、2003年5月15日に2003-2004 最終予算案を作成し、6月下旬のモントリオール会議で採択される予定。 最終予算案は新たに就任する事務総長によって作成されるため、内容が大幅に 変更する可能性あり。 ●主なポイント ○大幅な予算の拡大 - ICANN改革(ICANN1.0からICANN2.0への移行) - アウトリーチ活動(特に発展途上国)の強化やスタッフの増員など - インフレ等の要因が影響 - 準備金の継続的増加 ○実効性とアカウンタビリティにフォーカス ○予算拡大の財政負担は主にgTLDレジストラ・レジストリへ ○ccTLDsからの資金拠出 - 現在の構造(ICANNと契約しているccTLDは契約に基づく資金拠出を行い、 契約していないccTLDは自発的に寄付を行う)は早急に再検討する必要がある。 さらに多くのccTLDとの契約締結が必要 ●暫定予算案の要約 # http://www.icann.org/presentations/lynn-budget-rio-26mar03.pps の4枚目のスライド「Preliminary Budget」参照 [質問(Q)/意見(C)] C. 景気の動向やレジストラ市場の状況を考えると、gTLDレジストラの負担総額が 25%増加することは(特に変動料の50%増額)適切ではない。財政負担の配分 が不明(NSI) ------------------------------------------------------------------------- ■5. レジストラ間のドメイン名登録移転(レジストラ変更)について ●5.1 Louis Touton(ICANN法律顧問)が本件の今後のプロセスについて説明 - 先月、GNSO評議会がTransfers TFからの最終勧告をコンセンサスポリシーとし て採択。新付属定款およびポリシー策定プロセスに基づき、この最終勧告は、 理事会の3分の2による不承認もしくは内容変更の決議がなければ、理事会に よって自動的に採択される - 新付属定款第11条第2項の1に基づき、理事会は本件の採択に先立って、政府諮 問委員会(GAC)チェアに対し本件についての通知を行う義務がある。今回は、 プロセスの遅延を防ぐために、明日GACチェアに通知を行い、理事会による採択 前にコメントをもらうことを提案する ●5.2 GNSOからの最終勧告の説明(by Bruce Tonkin, GNSO評議会チェア) 最終勧告「変更先/変更元レジストラのためのポリシーおよびプロセス」: http://www.icann.org/gnso/transfers-tf/report-12feb03.htm ○現行のレジストラ変更メカニズム - 変更先レジストラが登録者から変更許可を得なければならない - 変更元レジストラは3つの方法でストップすることが可能: + 変更拒否---レジストリにレジストラ変更指示を返送 + ドメイン名を「ロック」状態にする---データベースのレコードがロック され、レジストラがドメイン名を更新しない限りレコードに変更を加える ことはできない + ドメイン名を「ホールド」状態にする---変更ができない上に、ゾーンファ イル上で有効ではない状態にされる ○現行プロセスの問題点 - 変更先レジストラが登録者から変更許可を得る方法が不明確 - 変更元レジストラが変更をストップする方法をどう使用するかが不明確 ○解決方法 - 上記のプロセスは変更しない - 変更先レジストラが使用するレジストラ変更承諾書を規格化する - 誰がレジストラ変更を許可できるかを明確化する - 変更元レジストラが上記3つの方法をいつ使用できるかを明確化する - 変更元レジストラがレジストリから変更指示を受け、登録者に確認する際 には、規格化されたメッセージを送付する - 紛争処理プロセスを適用し、変更元・変更先レジストラ間で紛争が発生した 際には効果的に解決する ○次のステップ - 勧告が承認された後には、変更確認メッセージの規格化、紛争処理手続の文書 化に取り組む ○その他の勧告事項 - ICANNスタッフは新プロセス開始後、3、6、12ヶ月間隔でGNSOに報告を行い、 必要な場合にはさらなるポリシーの措置を勧告すべき [質問(Q)/意見(C)] C. GNSOが勧告する手続は複雑、かつ根本的解決にはなっていない。bizとinfo は異なる手続を導入しており、うまく機能しているので、comやnetもそれに 合わせてはどうか(登録者は変更先レジストラではなく、変更元レジストラ に対して変更要請をするというもの)。(レジストラ) C. この勧告の実施には反対。変更先レジストラに変更プロセスの支配権を与え ると、スラミング(#顧客の承諾なしにレジストラを変更してしまうこと) を助長することになる(NSI) C. NSIの主張には反対。我々の顧客の多くは、特定の変更元レジストラ(#NSI を言及していると思われる)による変更妨害のために多大な困難を強いられ てきた。この勧告の早急な実施を推奨する # NeuLevelとTucowsは支持を表明 ------------------------------------------------------------------------- ■6. Whoisの正確性およびバルクアクセスについて ●GNSOからの最終勧告の説明(by Bruce Tonkin, GNSO評議会チェア) 「Whoisの正確性およびバルクアクセスに関する最終報告書」: http://www.icann.org/gnso/whois-tf/report-19feb03.htm この勧告は、Whoisサービス自体に実際に関係するものではなく、Whois情報の 正確性とWhois情報の一括検索に関係するもの。 ▼Whois情報の正確性に関するポリシー - レジストラは最低年1回、登録者に現在のWhois情報を提示し、虚偽のWhois 情報を提供することはドメイン名登録取り消しの理由となり得る旨の注意喚 起を行う。登録者はWhois情報を見直し、必要な場合は訂正を行う。 - 虚偽の連絡先が提出されていたり、レジストラからの問い合わせに返答が なかったために登録が抹消された場合は、「請戻し猶予期間」を適用する。 ただし、請戻されたドメイン名は、登録者がWhois情報を更新するまでレジス トラ側で保留扱いにする。 ▼Whois情報へのバルクアクセスに関するポリシー - バルクアクセスにより入手したWhois情報をマーケティング目的に利用する ことは認めない。よって、レジストラ認定契約の該当条項にその旨の修正を 行う。 - 現レジストラ認定契約においてオプション条項となっているレジストラの バルクアクセス契約(バルクアクセスにより入手したWhois情報の転売や 再配布を禁止する契約)を必須条項とする。 ※現在、レジストラはバルクアクセス契約を結んだ相手には誰でも情報を提供 することになっている。料金の上限は1万ドル。 [質問(Q)/意見(C)] C. 昨日のGNSO評議会では、Whoisにおけるプライバシーの問題について今後さら に検討することを議論した。今回の勧告は、それとは分離したWhoisの正確性 の問題(Marilyn Cade, 評議会メンバー) C. (#Cadeの発言に対して)プライバシーと正確性の問題は密接に関連・影響 しており、分離して検討することはできない (Andy Mueller-Maguhn, ICANN理事) ------------------------------------------------------------------------- ■7. スポンサー付き新gTLDの選定基準について(by Stuart Lynn) http://www.icann.org/presentations/lynn-stlds-rio-26mar03.pps ●背景説明 - 2002年12月のアムステルダム会議(年次総会)で以下の3つを決議: + 新TLD評価プロセスを開始する(12の最重要質問事項についての評価) + GNSO評議会に対し、gTLD空間の構造形成を委託する + 新gTLDの申請募集を行う(若干数のスポンサー付きgTLD) - TLDを新たに導入することの是非については議論があるようだが、その議論とは 別に、少なくとも若干のスポンサー付きgTLDに対して新たなドメイン名空間を 開放しようということになった - 上記第3の決議に基づき、理事会より提案依頼書(RFP)の作成を要請され、 昨日その第1部となる以下の文書を掲載した。この文書について約4週間のコメ ント募集期間を経た後、RFPのドラフトを公表する予定 掲載文書:「スポンサー付き新gTLDの選定基準(案)」 http://www.icann.org/riodejaneiro/stld-rfp-topic.htm - 2000年に7つの新gTLDを選定した際には、明確なガイドラインが存在せず、 理事会は困難な作業を強いられた。今後は、明確な評価基準および評価方法 を早急に規定すべき - 既存のスポンサー付きgTLD(.aero/.coop/.museum)が、チャーターに従い 適切に登録されているかについての調査を依頼した。その結果、良好な回答 が得られ、不正な登録を懸念する必要性は見受けられなかった http://www.icann.org/committees/ntepptf/stld-compliance-report-25feb03.htm ●評価方法について - 複数の独立評価チームを採用する。主観や判断のばらつきをなくすことが狙い。 「.org」の新レジストリ選定の際にこの方法を試み有用だった - 独立した機関を利用するため、ボランティア作業ではなく費用が発生することに なる ●5つの選定基準(案)について #以下を参照 http://www.nic.ad.jp/ja/topics/2003/20030327-01.html [質問(Q)/意見(C)] C. 選定基準案には「スポンサー組織は非営利のメンバー組織とすべき」とあるが、 これは非営利組織用のドメインである「.org」の新レジストリを選定する際に、 営利・非営利を問わなかった理事会決定と異なっている。今回の選定基準に ついても「.org」と同様のプロセスをとるべき C. これはリソース割当の問題を扱っているにもかかわらず、非常に限定された 範囲を対象としている(非営利、メンバー組織とすべきなど) C. 選定基準案では、スポンサー組織には当初からレジストリのバックエンドを 証明することが要求されているが、これでは既存のレジストリと提携するしか ない。新規のマーケット開拓のために、レジストリ認定制度を導入し、スポン サー組織はICANNが認定したレジストリから自由に提携先を選べるようにすれば 競争も促進される(Bret Fausett) C. 外部の専門家による評価は信用できない。選定プロセスは外注せず、ICANN内で スタッフと理事会によって行われるべき(Amadeu Abril i Abril, ICANN理事) Q. 選定基準案には「高水準の技術的運用力を持つTLDレジストリを供給 」という 要件があり、「レジストリは他のgTLDと同水準のパフォーマンスレベルで運用 されることが望ましい」とされているが、既存gTLDの現在のパフォーマンス (アベイラビリティやレスポンスのタイミングなど)について記述した文書は あるのか?(Helmut Schink, ICANN理事) A. 文書は存在する。「.org」レジストリへの応募資料など Q. 「レジストリ運用経験の証明」という要件は既存レジストリへのポジション 提供を助成しているようにとれるが、レジストリレベルでの競争導入という 我々の目的に反するのではないか?(Helmut Schink) A. この要件については評価点を低く設定してある。パフォーマンスについての 最低限の保証は必要 Q. 「(TLDとして使用する)名前の価値」という要件についても含めるべきか 疑問。ICANNが名前の価値を決定できるのか(Helmut Schink) A. ICANNがプロセスを完全に開放するということは、マーケットが決定権を持つ ことになり、それについては議論がある。今回の新gTLD導入は、当初の 「Proof of Concept」の拡大という定義なので、この要件は妥当 -------------------------------------------------------------------------