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    /P▲          ◆ JPNIC News & Views vol.393【臨時号】2006.10.6 ◆
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◆ News & Views vol.393 です
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本号では、昨日のvol.392に引き続き、第22回APNICオープンポリシーミーティ
ングでの議論のうち、マルチホームネットワークへのIPv6 PIアドレスの新設
についてお届けします。

□第22回APNICオープンポリシーミーティングレポート
○9月定期号:全体報告(vol.387)
  http://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2006/vol387.html
○臨時号:IPv6における割り当てポリシーの変更について(vol.392)
  http://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2006/vol392.html

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◆マルチホームネットワークへのIPv6 PIアドレスの新設について
 ~第22回APNICオープンポリシーミーティングでの議論~
                                                 JPNIC IP事業部 奥谷泉
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前号では、「IPv6における割り当てポリシーの変更について」の提案における
議論の様子をご紹介しました。今回は「マルチホームネットワークへのIPv6
PIアドレスの新設について」の提案がコンセンサスに至るまでの議論と、
APNICミーティングにおける結果を全体として振り返ってみたいと思います。

まず、「マルチホームネットワークへのIPv6 PIアドレスの新設について」の
提案ですが、これは2005年12月に開催されたJPNICオープンポリシーミーティ
ングでのコンセンサスをもとに、アジア太平洋地域全体におけるポリシーとし
て実を結んだものです。その後、APNICミーティングでのコンセンサスを目指
して、NTTの外山勝保氏をチェアとした、9名のボランティアメンバーからなる
IPv6 PIワーキンググループにて検討を進めてきました。

PIアドレスとは、LIRを介さずにRIR、またはNIRから直接エンドサイトに分配
されるIPアドレスを指します。RIR/NIRからLIR、そして、LIRからエンドサイ
ト、という流れで分配が行われている現在のIPアドレス管理構造とは異なり、
グローバルな経路表の増加につながるという理由で、IPv4においては技術的な
要件によって必要とされる一部の場合に限定して、分配が認められています。

IPv6においては、特に経路の集約がより重要な問題となることから、ポリシー
策定当初、IPv6におけるPIアドレスは基本的に認められていませんでした。

しかし、IPv4と同じく、マルチホーム接続を行っているネットワークにおいて
PIアドレスが認められない場合、そのネットワークはLIR管理下のアドレスの
パンチングホール(*1)を行う以外に運用することができない状態になります。

IPv6 PIアドレスのニーズについては、2005年12月のJPNICオープンポリシー 
ミーティングで確認されましたが、割り当て対象を検討するにあたっては、マ
ルチホーム以外にも、純粋にISPとは独立したIPアドレスが欲しいとのニーズ
からPIアドレスの割り当てを希望する組織もあるのでは、との意見もありまし
た。しかし、今回は対象を技術的な理由からLIR経由で分配されるPAアドレス
では対応できない、マルチホームネットワークに対象を絞りました。

この度のAPNICミーティングでは、国内のIPv6 PI WGにより策定された提案の他
に、同様の趣旨で別途Jordi Palet氏より類似の提案が出されていました。しか
し、こちらの提案については、提案の論旨が明確ではないこと、割り当てサイズ
が、最小割り振りサイズ(/32)と同一であるのは大きすぎることから、参加者か
らの支持は得られない結果となりました。

国内からの提案がアジア太平洋地域のコンセンサスを得ることが出来た要因と
しては、文書のみでは伝わりにくい点が多かったため、一部の参加者とは外山
さんが個別に時間をとり、提案への趣旨を説明してきたことも大きいですが、
ミーティング当日にも支持する意見が強かったことを考えると、提案内容が、
経路増加の問題も意識していることを明確にしながらも、技術的に必要なケー
スについては認めるべきとした主張に説得力があったということができるので
はないかと思います。

なお、ARIN地域においては既に2006年9月1日よりIPv6におけるPIアドレスの分
配を開始しており、APNICが施行を正式に決定すれば、JPNICでも施行する方向
で検討を進めています。

現在の状況についてですが、この提案も含め、この度のミーティングでコンセ
ンサスの得られたすべての提案について、APNICのメーリングリストで、提案
に対するコメントの最終的な募集を行っています。

もし提案内容、または結果についてご意見がありましたら、直接sig-
policy@apnic.netで表明していただくことも可能ですし、国内におけるポリ 
シーフォーラムであるip-usersメーリングリスト(ip-users@nic.ad.jp)でお聞
かせいただければ、JPNICが代表してAPNICのメーリングリストで情報を共有い
たします。

また、12月に開催予定のJPNICオープンポリシーミーティングでも、これら提
案の国内での施行について、発表を予定しています。

最後に、ミーティング結果全般に関する感想としては、本号と前号でご紹介し
た2点の提案の他にも、JANOG18での議論をベースにしたIANAからの新たな割り
振りアドレスの到達性向上に向けての提案を含め、国内の意見が非常によく反
映された結果となったミーティングだったと感じています。

もちろん、単純に日本の意見が通るのがよいということではありませんが、国
内で議論を重ねた意見や提案が、アジア太平洋地域全体においても納得しても
らることができたということではあるのかもしれません。

今後も国内のポリシーフォーラムが地域全体におけるポリシー議論へも貢献で
きるよう、実際のサービスへの影響、そして、インターネット全体にとっても
なにがよいのかのバランスを考慮しながら議論を進めていけるとよいのではな
いかと考えます。

(*1) パンチングホール
     ISPは通常、経路数増加防止のために個々のネットワークに分配を行っ
     たIPアドレスブロックを集約し、まとまった単位でグローバルインター
     ネットへの経路広告を行っています。

     パンチングホールとは、主に冗長的なネットワーク構成実現を目的とし
     て、ISPがまとめて経路広告を行っているアドレスブロックの一部をより
     小さく区切り、自ISPあるいは他ISPから別途経路広告を行う手法です。

     本来ひとつに集約して広告されていた経路がまた別の経路として広告さ
     れるため、パンチングホールはインターネット全体の経路数の増大につ
     ながると言われています。


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