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    /P▲         ◆ JPNIC News & Views vol.408【臨時号】2006.11.21 ◆
  _/NIC
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◆ News & Views vol.408 です
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本号では、2005年の世界情報サミット(WSIS)での決定を受けて、2006年10月30
日から11月2日までギリシャで開催された、インターネットガバナンスフォー
ラム(IGF)会合のレポートをお届けします。

□2005年12月定期号:世界情報社会サミット(WSIS)報告(vol.316)
http://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2005/vol316.html


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◆ IGFアテネ会合報告
                                         インターネット推進部 穂坂俊之
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2006年10月30日から11月2日までの4日間、インターネットガバナンスフォーラ
ム(IGF:The Internet Governance Forum)がギリシャのアテネで開催されまし
た。IGFはインターネットガバナンスのさまざまな問題に関して各界の利害関
係者が対話を行うフォーラムで、2005年11月の世界情報社会サミット(WSIS)
チュニス会議で設置が決定されたものです。

今回のIGFをどのように運営するかについては、事前にアドバイザリーグルー
プで議論が積み重ねられました。このグループは政府、民間、NGOなどさまざ
まな背景を持つ46名のメンバーからなり、それ自体がマルチステークホルダー
を体現しているようなメンバーでした。

このアドバイザリーグループにより、今回のIGFのテーマが「開放性
(Openness)」「セキュリティ(Security)」「多様性(Diversity)」「アクセス
(Access)」の四つに絞られ、IGFのメインセッションとしてこの四つのテーマ
が議論されました。

会合の形式ですが、パネリストが壇上に並び、発言はリアルタイムの速記録が
スクリーンに投影され、フロアの出席者も司会者の指名を受けられれば発言可
能という形で、ICANNやRIRの会合と似た雰囲気を感じました。しかしそれらの
会議に出席した経験のない方にとっては、こういった形式は非常に新鮮だった
ようです。

会議の参加者は、事前登録ベースで1,200名弱でした。国連関連のイベントだ
けあって政府関係者も多かったのですが、研究者やインターネット関連団体、
市民メンバーからの参加も多く、あるワークショップでは政府関係者4、研究
者及び学術関係者4、その他2といった割合でした。参加者が多かったせいか会
場の無線LANの通信品質が悪く、プログラムの更新情報等を得るのに四苦八苦
でしたが、国連関連イベントでインターネット接続環境が提供されることを素
直に感謝する方が良いのかもしれません。

会議の結論から言いますと、設定されたテーマについて今回のIGFで何らかの
拘束力を持つ決議や宣言がなされたということはなく、従って既存のICANN体
制に影響を与えるものではありません。会合のまとめは、最終日にそれぞれの
セッションの司会進行役が「個人的感想」としてセッションの報告を行うこと
でそれに代えています。IGFはまずは対話の場として機能したということだと
思いますが、メインセッションでは多くのテーマが結局のところ発展途上国に
対するインフラ構築の支援をどう実現するかというところに収斂し、前途の多
難さも感じました。開放性もセキュリティも多様性も大事だけれど、インター
ネットへのアクセスさえもなければ何も始まらない、という端的な意見が多く
聞かれ、そういう観点からは今回最も参加者間の利害が先鋭化したメインセッ
ションは「アクセス」だったと思います。

また、今回のIGFではメインセッションと並行して36ものワークショップが開
催されています。インターネット関連団体が、自身が取り組むテーマについて
自由に説明、議論をする場というものですが、IGF事務局はその結論には関知
せず、あくまで諸団体が付随的に開催するイベントという位置づけでした。

この中では、私は「DNSとルートゾーンファイル管理」というワークショップ
に出席しました。ルートゾーンの管理が現在どう行われているかについて説明、
議論するワークショップで、現にルートサーバを管理しているVeriSign社や
Autonomicaの担当者もパネルに加わっていました。進行中、ルートゾーンファ
イルの変更、更新の最終承認権限を米国政府が保持していることに不満を表明
する参加者が複数いて緊迫した場面もありましたが、その管理体制下で現に問
題が発生していない状況で、体制の議論をすることにどれほどの意味があるの
かといった冷静な意見も出され、その場は混乱することなく収まっていまし
た。

元々IGFは拘束力のないプロセスに基づいて進められるという約束事があった
以上、対話の場として機能することが重要な訳ですが、このように率直な意見
交換が実際に運用に携わる層やユーザーとして利用する層との間でなされるこ
とによって、少しでも議論が建設的な方向へ進めばIGF開催の意義があったと
いうことになるのではないでしょうか。

IGFはまず5年間維持し、その間にIGFを継続するかどうかの検討が行わ
れます。2007年はブラジル(リオデジャネイロ)での開催、2008年はインド、
2009年はエジプトでの開催がそれぞれ決まっており、2010年のIGFにはリトア
ニアとアゼルバイジャンが立候補しているという状況です。この間にインター
ネットガバナンスを巡る議論がどういった方向に向かうのか、IGFの行く末は
どうなるのか、引き続き動向を追っていきたいと思います。

□ The Internet Governance Forum
   http://www.intgovforum.org/


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            http://www.nic.ad.jp/ja/tech/glossary.html
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 JPNIC News & Views vol.408 【臨時号】

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