=================================== __ /P▲ ◆ JPNIC News & Views vol.635【臨時号】2009.4.17 ◆ _/NIC =================================== ---------------------------------------------------------------------- ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆ News & Views vol.635 です ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 本号では、vol.632、vol.634に続き、アメリカのサンフランシスコで開催され た第74回IETFのレポート[第3弾]として、「DNS関連WG報告」をお届けします。 □第74回IETF報告 ○[第1弾] 全体会議報告 ~概要、IETF Technical Plenaryについて~ (vol.632) http://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2009/vol632.html ○[第2弾] 全体会議報告 ~IETF Operations and Administration Plenaryについて~ (vol.634) http://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2009/vol634.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆ 第74回IETF報告 [第3弾] DNS関連WG報告 ~dnsop WG、dnsext WG、DNSSEC deployment BoFについて~ JPNIC DNS運用健全化タスクフォースメンバー 東京大学 情報基盤センター 関谷勇司 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆dnsop WG(Domain Name System Operations WG)報告 今回のIETFでは、dnsop WGの会合は100分の枠で開催されました。主な議題は DNSSECの運用に関するものでした。会合では、通常通り最初に、 internet-draftの状態確認が行われました。 前回のIETF以降、internet-draftからRFCになったものはありませんでした。 議論としては、まずdraft-ietf-dnsop-rfc4641bis-01について行われました。 このinternet-draftは、DNSSECを導入するゾーン管理者のために注意事項を明 記した、RFC4641を改訂したものです。変更点としては、RFC4641での文章的な 間違い等の修正と、鍵長に関する記述の変更、ならびにDSとTrust Anchorにお けるKSK(Key Signing Key)の扱いの違いについて記述が加えられました。これ に関して、会場からは1024bitの鍵長では既に短いので、2048bitを推奨するよ うにとの指摘がありました。また、SHA-1ではなくSHA-2を使うようにとの指摘 もありました。 次に、draft-morris-dnsop-dnssec-key-timing-00に関する議論が行われまし た。このdraftはDNSSECでの鍵更新に関して、通常時の更新方法や、緊急時の 更新方法を述べたものであり、発表ではそれが時系列で図解して見せられまし た。DNSSECの鍵更新に特化して、鍵更新時に推奨される間隔を具体的に示した 文章なので、DNSSEC普及のためのガイドラインとして重要であると思われます。 その他の発表では、Dynamic Updateを受け付けるゾーンでDNSSECの署名を行う 場合において、冗長性のために複数台で署名を行い、かつ転送にIXFR(*1)を使 うと、RRSIG(*2)が異なってしまうため不整合が発生する、という問題点も指 摘されていました。 DNSSECに関連すること以外には、draft-liman-tld-names、 draft-bagnulo-behave-dns64、RFC5205で定義されたHIP RRに関する発表が行 われました。draft-liman-tld-namesでは、RFC952やRFC1123にてTLD (Top Level Domain)にはアルファベットで始まる文字のみ用いることができる、 と定義されているが、国際化TLDが導入されるとこの規則に違反するのではな いか、という問題提起がなされました。国際化TLDを導入するにあたっては、 最小限の規則変更が必要だという認識が共有されました。 ◆dnsext WG(DNS Extensions WG)報告 IETF74ではdnsext WGの会合が開催されませんでした。そのため、IETF73から IETF74までの間にメーリングリスト上にて行われた議論をまとめます。 話題としては、IETF73の期間中に行われたNSEC3 Workshopに関する報告や、 draft-ietf-dnsext-dnsproxy、draft-ietf-dnsext-dnssec-rsasha256、 draft-ietf-dnsext-axfr-clarifyといったinternet-draftに関する議論が中心 でした。また、DLV(DNS Look-aside Validation)(*3)をTLD単位で行えばどう か、といった提案も出され、多くの意見が投稿されていました。DLVは確かに DNSSECの普及を促進させる技術の一つだと思われますが、現在はISC (Internet Systems Consortium, Inc.)によってDLV treeが管理されているた め、それを問題視する意見も出されていました。 なお、IETF74では会合を開かない方向であることがあらかじめアナウンスされ ていました。IETF75やIETF76では会合を開催するかどうか、今後メーリングリ ストにて意見交換がなされるものと思います。 ◆DNSSEC deployment BoF 報告 開催4日目(2009年3月25日)の夜に、DNSSEC deploymentに関するBoFが非公式に 開催されました。このBoFは、DNSSECの普及に関して話し合う場 (http://www.dnssec-deployment.org/) が別途存在し、そのメンバーが中心と なって開催されました。 議論は、TAR(Trust Anchor Repository)(*4)に特化して行われました。TARを 管理するのは誰なのか、管理するにあたって鍵更新はどのような段階に分かれ るのか、といったことが議題にあがっていました。しかし実際には、TARで鍵 交換や更新時に用いられる用語の定義に終始してしまいました。約2時間の会 合だったのですが、その2時間を使い切ってもまだ用語の定義が終わりません でした。DNSSECの鍵管理に関しては、さまざまな場面が存在し得るということ を感じました。 (*1)IXFR(Incremental Zone Transfer): 差分ゾーン転送と呼ばれる方式で、DNSサーバ間でゾーン情報を同期する 際に、更新されたゾーンデータのみを転送する方式です。 (*2)RRSIG(Resource Record Signature): DNSSECにおいてRR(Resource Record)を電子署名する場合に、その署名ア ルゴリズムや有効期限等の付属情報と署名自体を格納するResource Recordです。 (*3)DLV(DNSSEC Look-aside Validation): DNSSEC専用のゾーンを提供することで、RootゾーンからDNSSECの署名がな されていなくても、Trust Anchorのような認証起点を設定すること無く、 特定のゾーンをDNSSEC対応にすることができる仕組みです。現在ISC (Internet Systems Consortium, Inc.)によってサービスが提供されてい ます。詳しくは、 https://www.isc.org/solutions/dlv を参照してくだ さい。 (*4)TAR(Trust Anchor Repository): DNSSECにおける認証の起点を指定するDNSKEY RRをTrust Anchorと言い、 そのDS RR(Delegation Signer Resource Record)を保存しているデータ ベースをTARと呼びます。 ◇ ◇ ◇ 次回の[第4弾]では、「IPv6関連WG報告 ~6man WG、intarea、ISOC主催のパネ ルについて~」をお送りします。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ わからない用語については、【JPNIC用語集】をご参照ください。 http://www.nic.ad.jp/ja/tech/glossary.html ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ___________________________________ ■■■■■ JPNICの活動はJPNIC会員によって支えられています ■■■■■ ::::: 会員リスト ::::: http://www.nic.ad.jp/ja/member/list/ :::: 会員専用サイト :::: http://www.nic.ad.jp/member/(PASSWORD有) □┓ ━━━ N e w s & V i e w s への会員広告無料掲載実施中 ━━━┏□ ┗┛ お問い合わせは jpnic-news@nic.ad.jp まで ┗┛  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ =================================== JPNIC News & Views vol.635 【臨時号】 @ 発行 社団法人 日本ネットワークインフォメーションセンター 101-0047 東京都千代田区内神田2-3-4 国際興業神田ビル6F @ 問い合わせ先 jpnic-news@nic.ad.jp =================================== ___________________________________ 本メールを転載・複製・再配布・引用される際には http://www.nic.ad.jp/ja/copyright.html をご確認ください  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 登録・削除・変更 http://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/ ■■◆ @ Japan Network Information Center ■■◆ @ http://www.nic.ad.jp/ ■■ Copyright(C), 2009 Japan Network Information Center