=================================== __ /P▲ ◆ JPNIC News & Views vol.689【臨時号】2009.10.29 ◆ _/NIC =================================== ---------- PR -------------------------------------------------------- ■■■■ ★ Internet Week 2009 お得な事前登録受付中! ★ ■■■■ ■■■ 悩んでいるセキュリティ対策の解決法がここに!! ■■■ ■■ IPv6、DNSSEC、フィルタリング、ルーティング、仮想化、電子認証 ■■ ■■■ https://internetweek.jp/ ■■■ ■■■■ 2009/11/24-11/27 @秋葉原コンベンションホール ■■■■ ---------------------------------------------------------------------- ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆ News & Views vol.689 です ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 本号では、vol.688に続き、ポルトガルのリスボンで開催された第59回RIPE ミーティング報告[後編]として、「RIPE地域におけるアドレス分配ポリシーの 動向」をお届けします。 なお、前号の「全体会議報告」は以下のURLからご覧ください。 □第59回RIPEミーティング報告 [前編] 全体会議報告 (vol.688) http://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2009/vol688.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆ 第59回RIPEミーティング報告 [後編] RIPE地域におけるアドレス分配ポリシーの動向 JPNIC IP事業部 奥谷泉 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2009年10月5日から9日に行われた第59回RIPEミーティングのうち、本稿では、 アドレス分配ポリシーの動向をお伝えします。 今回のミーティングでのアドレス分配ポリシーにおいて特筆すべきトピック は、やはりIPv4アドレス在庫枯渇後の対応です。 これに関わる提案としては、「RIPE NCCでのIPv4在庫の分配方法」や「返却さ れたアドレスの世界的な管理・再分配方法」が挙げられます。そして、在庫枯 渇後は重要性が増すと考えられている、アドレス資源の利用権利を担保する仕 組みとしてのRPKI(Resource PKI)の提供について、RIPE NCCでの検討状況も紹 介されていました。 また、ドイツ国防省による省内のネットワークにおける他に類を見ないアドレ ス利用の事例紹介も行われ、そのような情報提供を公式のミーティングで堂々 と発表していることも含めて新鮮でした。 RPKIの検討については前号でご紹介しましたので、ここではIPv4アドレスの在 庫枯渇に向けたポリシー提案について、どのような議論が行われていたのかを 簡単にご報告します。 ■IPv4アドレスの在庫枯渇に向けたポリシー提案 今回議論された主な提案の目的は、以下の二つに整理することができます。 1.RIPE NCCの最後のIPv4アドレス在庫をどう分配していくかを定義したも の:2008-06、2009-04、2009-03 2.返却されたIPv4アドレスを、世界的にどう管理・再分配していくかを定義 したもの:2009-01 個々の提案の概要は、以下の通りです。 ---------------------------------------------------------------------- ◎RIPE地域における最後の/8の分配方法について [提案] 2008-06:Use of Final /8 2009-04:IPv4 Allocation and Assignments to Facilitate IPv6 Deployment ---------------------------------------------------------------------- 2008-06 ・RIPE NCCの最後の/8在庫は1組織につき/22(1,024アドレス)の分配に限定 し、同じ/8空間の中から/16を予期せぬ用途のために確保することを提案し ています。 ・内容、提案者ともに、2009年2月からAPNICで施行したポリシーと同じで す。 2009-04 ・2008-06の代案として同じ/8の空間を、IPv6の実装を前提としたネットワー クに分配先を限定することにより、IPv6移行へのインセンティブとするも のです。ARIN地域では、これと同じ趣旨の提案が施行されています。 どちらの提案もIPv4在庫枯渇後の状況に備えて、RIPE NCCにおける最後の/8ア ドレス在庫を別途リザーブし、この空間からのアドレスの分配はこれまでの基 準と分けて定義していることが共通しています。 Policy WGセッションでの議論では、IPv4アドレス在庫枯渇まで時間的な制約 もあることから、多くの要素は盛り込まず、最低限必要な対応と考えられる 2008-06をベースに、継続議論を行うことになりました。この提案が施行され た場合は、新規・既存の事業者ともに、/22の分配を必ず受けることができる ため、一定数のIPv4アドレスの分配が最後に保障されることを前提として、在 庫枯渇後の状況に備えることが可能となります。 ---------------------------------------------------------------------- ◎在庫枯渇時期に応じた"公平"なIPv4アドレスの分配について [提案] 2009-03:Run Out Fairly ---------------------------------------------------------------------- これは前項で紹介した提案と若干アプローチが異なり、より多くの申請者に機 会を与えるために、枯渇時期が近づくにつれ、段階的に分配量を縮小していく (例:2010年7月:9ヶ月分の需要を分配→2011年1月:6ヶ月分の需要を分配等) というものです。大きなISPが一度に大量のアドレス申請を行うことにより、 その後に申請を行ったISPが分配を受けられなく事態を避けることが、提案者 の目的です。 会場では分配量を調整するタイミングの定義について、参加者の一人からは懸 念が表明されましたが、基本的には好意的に受け止められました。現行の提案 を施行する方向で、継続議論を行うことになっています。 ---------------------------------------------------------------------- ◎IPv4在庫枯渇に向けたIANAからRIRへのIPv4割り振りに関するグローバルポ リシー [提案] 2009-01:Global Policy for the allocation of IPv4 blocks to RIRs ---------------------------------------------------------------------- 現在、RIRへ返却されたIPv4アドレスは各RIR単位で在庫管理・再分配が行われ ています。しかし、アドレスの返却が特定のRIRに集中し、IANA在庫枯渇後に 再分配できるアドレスが、RIR地域によって偏ることも想定されます。 そこで、この提案では返却されたアドレスを、IANAが世界共通の在庫として管 理・再分配を行うことを定義しています。施行にあたっては、全RIRフォーラ ムにおけるコンセンサス(提案への賛同)とICANN理事による承認が必要とな り、現在はAfriNIC、APNIC、LACNICの3 RIRフォーラムにてコンセンサスが得 られています。 Policy WGセッションでは、ARIN地域ではIANAへの返却を必須ではなく「任意」 に変更して提案されており、本提案の有効性が薄れること、また、全RIRに対 して共通に適用されるグローバルポリシーとして機能しないことが問題提起さ れていました。 結論としては、参加者からARINの対応について懸念が表明されていたものの、 基本的には他のRIRにおける対応であるため、RIPEのアドレスフォーラムとし てはARINでの結論を待った上で、議論を再開することになりました。 ■その他の特筆すべき提案 アジア太平洋地域のAPNICフォーラムとも共通するテーマを取り扱った提案と しては、以下2点がありました。 2009-06 Routing Requirements ・本提案により、RIPE地域においては、IPv6初回割り振り申請時に割り振り を受けたアドレスに対する、経路集約を求める要件が撤廃され(*1)、ミー ティング期間中の10月8日に施行されました。 ・ポリシーの要件とはしないものの、経路集約は促進するため、IPv6におけ る経路広告に関するガイドラインをどう文書化していくかについて、ルー ティングWGにて別途議論が行われました。 ・APNIC28(2009年8月25日~28日)(*2)ではこれと逆行し、初回に加え、追加 割り振り申請時にも経路集約を求める提案が行われましたが、支持されま せんでした。今後は、RIPEと同じ対応を行う方向で検討する可能性が濃厚 です。 2008-07:Ensuring Efficient Use of Historical IPv4 Resources ・追加割り振り申請時に、申請者が分配を受けている歴史的PIアドレスも含 めて、分配済アドレスの効率的な利用の確認を行うとする提案です。 ・RIPEでは一部要件見直しの上、継続議論となりました。APNICでは2009年2 月より施行されています。 (*1)IPv6アドレスポリシーではIPv6アドレス初回申請時の要件の一つとして、 割り振りを受けたIPv6アドレスの経路広告は単一に集成して行うことを求 めています(例:/32の割り振りを受けた場合は/32で経路広告を行い、複 数の/36等に分割しない)。RIPE地域では、アドレスポリシーで経路広告を 定義することは適切ではないとして撤廃されました。 (*2)JPNIC News & Views vol.679 特集「APNIC28ミーティング報告 ~アドレスポリシー動向~」 http://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2009/vol679.html ■今後の議論の動向を知りたい方は RIPEのポリシーフォーラムでは、IETFに比較的近いポリシー決定プロセスが採 用されており、提案に対してミーティングで議論は行いますが、決議はとら ず、メーリングリストでの議論も踏まえて、WGのチェアが施行の判断を行いま す。 今後のRIPE地域におけるポリシー提案の動向が気になる方は、 "address-policy-wg@ripe.net" に下記URLよりご登録ください。提案の議論や 施行の発表を追うことができます。 □address-policy-wg MLへの登録サイト http://www.ripe.net/mailman/listinfo/address-policy-wg#subscribers ■参考 第59回RIPEミーティング アジェンダ・発表資料 http://www.ripe.net/ripe/meetings/ripe-59/agendas.php?wg=address-policy 第59回RIPEミーティング トランスクリプト・映像 (Policy WGは「Wednesday」および「Thursday」に開催) http://www.ripe.net/ripe/meetings/ripe-59/archives.php RIPE地域にて議論中のポリシー提案一覧 http://www.ripe.net/ripe/policies/proposals/ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ わからない用語については、【JPNIC用語集】をご参照ください。 http://www.nic.ad.jp/ja/tech/glossary.html ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ___________________________________ ■■■■■ JPNICの活動はJPNIC会員によって支えられています ■■■■■ ::::: 会員リスト ::::: http://www.nic.ad.jp/ja/member/list/ :::: 会員専用サイト :::: http://www.nic.ad.jp/member/ (PASSWORD有) □┓ ━━━ N e w s & V i e w s への会員広告無料掲載実施中 ━━━┏□ ┗┛ お問い合わせは jpnic-news@nic.ad.jp まで ┗┛  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ =================================== JPNIC News & Views vol.689 【臨時号】 @ 発行 社団法人 日本ネットワークインフォメーションセンター 101-0047 東京都千代田区内神田2-3-4 国際興業神田ビル6F @ 問い合わせ先 jpnic-news@nic.ad.jp =================================== ___________________________________ 本メールを転載・複製・再配布・引用される際には http://www.nic.ad.jp/ja/copyright.html をご確認ください  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 登録・削除・変更 http://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/ ■■◆ @ Japan Network Information Center ■■◆ @ http://www.nic.ad.jp/ ■■ Copyright(C), 2009 Japan Network Information Center