=================================== __ /P▲ ◆ JPNIC News & Views vol.704【臨時号】2009.12.16 ◆ _/NIC =================================== ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆ News & Views vol.704 です ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 本号では、vol.699、vol.700、vol.702に続き、2009年11月に広島で開催され た第76回IETFのレポート[第4弾]として、「IPv6関連WG報告」の後編をお届け します。 後編となる本号は、softwire WG、aplusp BoF、behave WGのご報告です。 6man WGとv6ops WGについて、またその他の話題につきましては、以下のバッ クナンバーをご覧ください。 □第76回IETF報告 ○[第1弾] 全体会議報告(vol.699) http://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2009/vol699.html ○[第2弾] DNS関連WG報告(vol.700) http://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2009/vol700.html ○[第3弾] IPv6関連WG報告(vol.702) ~6man WG、v6ops WGについて~ http://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2009/vol702.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆ 第76回IETF報告 [第4弾] IPv6関連WG報告 ~softwire WG、aplusp BoF、behave WGについて~ NTT情報流通プラットフォーム研究所 藤崎智宏/松本存史 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆softwire WG (Softwires WG) softwire WGは、トンネルを用いてIPv4 over IPv6、またはIPv6 over IPv4通 信を実現する方式を検討するWGです。現在扱っている方式は三つあります。一 つはWGタイトルそのままのsoftwireと呼ばれる、IPv4 over IPv6またはIPv6 over IPv4の汎用的なトンネル方式です。他にはDS-Lite(Dual Stack Lite)と 呼ばれる、softwireのIPv4 over IPv6方式にCGN(Carrier Grade NAT)の機能を 加味することで、IPv4アドレス在庫枯渇対策も含めたもの、そして6rd(IPv6 Rapid Deployment)と呼ばれる、IPv6アドレスの自動割り当ても含むIPv6 over IPv4トンネル方式があります。 これら三つの方式はいずれもまだ標準化が完了していませんが、それぞれが競 合しているわけではなく、適用領域が異なっているとして、並行して標準化が 進められています。 今回のセッションでは6rd、DS-Liteそれぞれについての標準化の進捗が報告さ れ、いくつかの仔細な部分に関する議論が行われました。6rdに関する議論で は、Dave Thaler氏より6to4プロトコルで得られたNUD(Neighbor Unreachability Detection)の扱いや、routing loop問題への対策などの知見 を盛り込むこと、また複数のBR(Border Router)を扱えるようにしてはどう か、といった提案がなされました。 DS-Lite方式の進捗に関しては、用語の変更などがあり、これまでCGNと呼ばれ ていたNAT装置を、AFTR(Address Family Translation Router)と呼ぶとの説明 がありました。DS-Liteでも6rdと同様に、トンネル終端装置であるAFTR を二 重化する話が議論され、6rdと違ってDS-LiteではAFTRがクライアント装置毎に stateを持つ必要があるため、より実現が困難であり、引き続き検討が必要で あるということになりました。 その他、6rd over UDPといった、6rdに対する拡張の提案などがありました が、根本的な仕様変更を伴う提案であったため、まずはベースとなる6rdの標 準化が完了してから検討すべきであるとの結論に至りました。 6rdは今回の議論を反映した改訂版を作成し、すぐにでもWGLCに進む予定に なっています。DS-Liteに関しては、AFTRの二重化に関する議論が終われば WGLCに進むものと思われます。 □第76回 IETF softwire WGのアジェンダ http://www.ietf.org/proceedings/09nov/agenda/softwire.txt □softwire WG http://www.ietf.org/dyn/wg/charter/softwire-charter.html ◆aplusp BoF IETFではIPv4アドレス在庫枯渇の対策として、ISP内でNAT装置(CGN)を用いる 方法と、ユーザーにグローバルIPv4アドレスを割り当てつつ、利用できるポー ト番号の範囲を限定する、というA+P方式の二つが主に議論されてきました。 今回のBoF(WG設立前のミーティング)では、このA+P方式全般というよりはさら にフォーカスをしぼって、DS-Liteのトンネル上でこのA+Pを行うという方式に ついての議論が行われました。 A+P方式の利点としては、ポート範囲が限定されてはいるものの、ユーザーに 直接グローバルIPv4アドレスを配布できるため、NATに阻害されずに通信が可 能であるということが挙げられます。欠点としては、ホストやルータに対する 影響が大きいことなどが挙げられます。このDS-Liteのトンネル上でA+Pを行う ことで、トンネル終端装置以外の装置(中継ルータなど)への影響を最小限に留 める、といった狙いがあると思われます。 今回のBoFのゴールは、IETFがこの方式を扱うかどうかを決定すること、とい うことで、新たなWGを設立するか、既存のWGのアイテムとなるかといった選択 肢が示されました。 セッションでは、まずA+Pの概要説明後、モバイル環境への適用についての提 案、そしてA+Pに関する懸念事項、そしてフリーディスカッションの後に、今 後の方針について決定する、という流れで検討が行われました。 フリーディスカッションでは多くの意見が交わされましたが、結局Dave Thaler氏によるA+P方式のTCP/IPプロトコルスタックへの微小な修正が、多大 な影響をもたらすものであり、またそれはNATの導入とは質の異なる根本的な 変化であるとの指摘に同意する人が多かったのか、WGの設立はおろか、本提案 についてIETFで取り組むべきではないと感じる聴衆が大半を占めるに至りまし た。これらの意見はIESGにインプットされ、A+P提案が他のWGで扱われるか、 などの決定がなされることになっています。 □第76回 IETF aplups BoFのアジェンダ http://www.ietf.org/proceedings/09nov/agenda/aplusp.html ◆behave WG (Behavior Engineering for Hindrance Avoidance WG) behaveは主にNATの挙動に関して扱うWGですが、その技術的な関連性の高さか らIPv6-IPv4変換についての議論も行われています。今回も、そのIPv6-IPv4変 換の議論や、その他のNATに関する議論など、多数のトピックがありました。 まず、チェアからWGの状況についての報告があり、IPv6-IPv4変換に関する提 案については、Interim Meeting(IETFミーティング期間以外での中間ミー ティング)を経て、当初最重要であるとした問題ケースを解決する提案とし て、ほぼ仕様策定が完了したとの報告がありました。下記の五つの提案につい て、12月にはWGLCを行うとし、5人のレビュアーが必要であるということで、 ボランティアを募りました。 - Address Format draft-ietf-behave-address-format-01 - Framework for IPv4/IPv6 Translation draft-ietf-behave-v6v4-framework-03 - IPv6/IPv4 Translation draft-ietf-behave-v6v4-xlate-03 - Stateful IPv6/IPv4 Translation draft-ietf-behave-v6v4-xlate-stateful-02 - DNS64 draft-ietf-behave-dns64-02 その後、上記のそれぞれの提案について、変更点の報告などが行われました。 Address Formatの提案では、Well Known Prefixのフォーマットについての議 論や、またTranslationの提案では、パケットのフラグメントの扱いに関する 詳細議論が行われましたが、特に大きな変更が必要となるような意見は出ず、 今後もInterim Meetingを行いながら迅速に標準化を進めていくということに なりました。 また、これらの提案以外に、ホスト自身でIPv6-IPv4変換を行うといった提案 や、A+Pの考え方をIPv4からIPv6への変換方式に組み込むことで、IPv6ホスト にIPv4グローバルアドレスを付与するといった提案など、さまざまな IPv6-IPv4変換に関する変更や拡張の提案がなされました。しかしながら、こ れらの提案は、現在注力している上記の方式の標準化が終わってから着手する べきであるとか、また他のWGで進められている技術と同一目的であるのでそこ で議論するべきである、という意見が多数となっていました。 IPv6-IPv4変換だけでなく、IPv4-IPv4変換の議論も行われ、CGN装置の信頼性 向上のための冗長化の議論、また複数のユーザーで同一のIPv4アドレスを共有 するという観点から問題点、対策をまとめた文書などの発表がありました。こ れらの議論も継続して進めることになっています。 □behave WG http://www.ietf.org/dyn/wg/charter/behave-charter.html □第76回 IETF behave WGのアジェンダ http://www.ietf.org/proceedings/09nov/agenda/behave.html ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ わからない用語については、【JPNIC用語集】をご参照ください。 http://www.nic.ad.jp/ja/tech/glossary.html ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ___________________________________ ■■■■■ JPNICの活動はJPNIC会員によって支えられています ■■■■■ ::::: 会員リスト ::::: http://www.nic.ad.jp/ja/member/list/ :::: 会員専用サイト :::: http://www.nic.ad.jp/member/ (PASSWORD有) □┓ ━━━ N e w s & V i e w s への会員広告無料掲載実施中 ━━━┏□ ┗┛ お問い合わせは jpnic-news@nic.ad.jp まで ┗┛  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ =================================== JPNIC News & Views vol.704 【臨時号】 @ 発行 社団法人 日本ネットワークインフォメーションセンター 101-0047 東京都千代田区内神田2-3-4 国際興業神田ビル6F @ 問い合わせ先 jpnic-news@nic.ad.jp =================================== ___________________________________ 本メールを転載・複製・再配布・引用される際には http://www.nic.ad.jp/ja/copyright.html をご確認ください  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 登録・削除・変更 http://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/ ■■◆ @ Japan Network Information Center ■■◆ @ http://www.nic.ad.jp/ ■■ Copyright(C), 2009 Japan Network Information Center