=================================== __ /P▲ ◆ JPNIC News & Views vol.1185【臨時号】2014.4.4 ◆ _/NIC =================================== ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆ News & Views vol.1185 です ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 本号では、vol.1182より連載でお届けしてきた、第89回IETF報告の[第4弾]と して、DNS関連WGの動向をお届けします。今回のIETF報告は、本号で最終回と なります。 なお、DNS関連WG報告以外の、全体会議報告、IPv6関連WG報告、セキュリティ 関連WGの報告については、以下のURLからご覧下さい。 □第89回IETF報告 特集 ○[第1弾] 全体会議報告 (vol.1182) https://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2014/vol1182.html ○[第2弾] IPv6関連WG報告 (vol.1183) https://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2014/vol1183.html ○[第3弾] セキュリティ関連報告 (vol.1184) https://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2014/vol1184.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆ 第89回IETF報告 [第4弾] DNS関連WG報告 JPNIC DNS運用健全化タスクフォースメンバー 東京大学 情報基盤センター 関谷勇司 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ■ dnsop WG (Domain Name System Operations WG)報告 IETF 89でのdnsop WG会合は、2014年3月7日(金)の朝、9:00からのセッション で行われました。しかしそれより以前に、DNSのプライバシーに関する議題が 提起されたため、急きょ3月6日(木)の18:40からも非公式な会合が開催されて います。DNSのプライバシーに関する議論は、3月4日(火)開催された、後述す るDNSE BoF(Encryption of DNS requests for confidentiality BoF)にて話 し合われた議題であり、その結果を受けて急きょdnsop WGの会合が追加開催 されることとなりました。これらのDNSのプライバシーに関する議論について は、DNSE BoF紹介にてまとめて紹介します。 dnsop WG本来の金曜日の会合では、最初にDNSSECの鍵交換に関する議論が行 われました。具体的には、draft-ietf-dnsop-child-syncronizationと draft-ietf-dnsop-delegation-trust-maintenanceに関しての議論が行われ、 鍵交換を簡易化するために、下位ゾーンから上位ゾーンに対してリソースレ コード(RR)を用いて通知を行うという手法の有用性が確認されました。近い うちにワーキンググループ内でのラストコールが行われる予定です。 次に、AS112に関する議論が行われました。AS112の運用を続けていくこと、 またDNAMEを用いたゾーンのリダイレクションにより、新たなゾーンをAS112 に動的に加えることができるようにすることが確認され、関連する文章に対 してのレビュアーが募集されました。 さらに、上位ゾーンの更新に関する議論 (draft-andrews-dnsop-update-parent-zones)、DNSの応答パケットサイズに 関する議論(draft-ietf-dnsop-respsize)、DNSのプライミング挙動に関する 議論(draft-ietf-dnsop-resolver-priming)が行われました。 draft-andrews-dnsop-update-parent-zonesは、上位ゾーンの委譲に関するレ コードを、TSIG (Transaction Signature)を用いてレジストリも含め、動的 に更新する仕組みを提供する提案です。以前からあった提案ですが、会場で は多くの質問が出され、実現のためにはさらなる議論と提案の更新が必要と 感じられました。 draft-ietf-dnsop-respsizeは、かなり以前から存在する文章であり、2012年 から更新が停滞していたため、再度更新して15版として提出されました。512 バイトのUDPメッセージサイズに入りきるようなDNS応答と、それを超えるよ うな応答を行う場合の問題点を述べたものです。レビュアーが募集され、再 度WGドラフトとして復活することとなりました。 draft-ietf-dnsop-resolver-primingに関しても、会場からレビュアーが募 集され、何人かが名乗り出ていました。 その後、新たな提案や文章に関する議論が行われました。主に、DNSのSpecial Nameに関しての議論が行われ、これに関連してdnsop WG自体のあり方、ドメ イン名とDNSの関係といった、DNSの根本に関わるような発表や議論が行われ ました。Special Nameは、RFC6761にも述べられているような、DNSラベルに おいて特別な用途として扱われる名前を定義するものです。ドメイン名とDNS はそもそも同一のものではなく、ドメイン名の一部の空間をDNS以外のデータ ベース構造に委ねる、といったことも必要なのではないかという提案や、DNS の名前空間を分割するべきではないといった議論が行われました。名前に関 するICANNとIETFの関係も議論となり、DNS以外で管理する名前空間として 「.alt」や「.non-dns」を使うのはどうだろうといった提案も行われました。 議論は収束せず、引き続きWGとしては議論が行われるようです。 ■ DNSE BoF報告 3月4日(火)の午後、14:20から1時間半のセッションとして、DNSのプライバ シーに関する、Encryption of DNS requests for confidentiality (DNSE) BoFが開催されました。このBoFは、DNSの名前解決において、その過程で交換 される情報を暗号化したい、という要求のもとに開催されました。どのよう な名前を解決しているのかといった情報は、個人のプライバシーに関連する 情報である、という観点からの要求です。 BoFでは、そもそも何が問題なのか、これを解決するためにはどのような技術 や手法があるのか、またその技術的な問題点は何なのか、といったことが議 論されました。使える技術としては、パケットの暗号化であり、IPsecやDTLS (Datagram Transport Layer Security)といったものが存在する、といった議 論がなされました。DNScurveやDNScryptといった提案も存在し、新たなプロ トコルを開発するべきかとの問いかけも行われました。まだ議論は開始され たばかりであり、DNSプロトコルに大きな影響を与える可能性がある議論のた め、今後に注目したいと思います。 ■ DNSSD WG (Extensions for Scalable DNS Service Discovery WG)報告 DNSSD WGの会合は、3月3日(月)の午後、13:00から2時間のセッションとして 開催されました。まず、前回に引き続き要求事項に関する議論が行われまし た。draft-ietf-dnssd-requirementsに関して議論が行われ、文章の訂正に関 して詳細な議論が行われました。次回の会合までに、今回指摘された修正が 行われる予定です。 次に、標準化に向けた議論が行われました。サービス発見を実現するために 必要となる、新たな概念の導入や、名前の衝突といった運用上の問題を解決 する必要がある、という認識が共有されました。 続けて、いくつかの文章に関する技術的な議論が行われました。まず、 draft-otis-dnssd-mdns-xlinkに関する議論が行われました。これはRBridge 機能を用いて、Layer-2におけるmulticastドメインを自動的に拡張すること で、mDNS (Multicast DNS)によるサービス発見を広域に行う手法を提案して います。この提案に関しては、サービス発見のためだけにRBridgeを使うのは コストが大きすぎるなど、否定的な意見が出されました。 次に、draft-cheshire-dnssd-hybridに関する議論が行われました。これは、 DNS Proxyを用いることでmulticastとunicastの変換を行い、Layer-2 multicastドメインを拡大せずとも、サービス発見が行える範囲を拡大すると いう提案です。この提案に関しても、構成が複雑になったり、認証が必要と なったりするなど、導入へのコストが高いため、否定的な意見が多く出され ました。 最後に、draft-sullivan-dnssd-mdns-dns-interopに関する議論がありまし た。この文章は、サービス発見に用いる名前の命名規則に関して、相互接続 性を持たせられるように統一したルールを提案したものです。名前の規則に 関する議論なので、さまざまな意見が出ましたが、現在はサービス発見のた めの名前の規則はWGのチャーターに含まれていないため、必要性も含めて引 き続き議論が行われることとなりました。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ わからない用語については、【JPNIC用語集】をご参照ください。 https://www.nic.ad.jp/ja/tech/glossary.html ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ ┃ ◆◇◆◇◆ 本号のご感想をお聞かせください ◆◇◆◇◆ ┃ ┃良かった ┃ ┃→ http://feedback.nic.ad.jp/1185/98bb53a8d6ef21eac10ad19ebb8d47fe┃ ┃ ┃ ┃悪かった ┃ ┃→ http://feedback.nic.ad.jp/1185/242738c8391c86b4b29500be983f5cc9┃ ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ___________________________________ ■■■■■ JPNICの活動はJPNIC会員によって支えられています ■■■■■ ::::: 会員リスト ::::: https://www.nic.ad.jp/ja/member/list/ :::: 会員専用サイト :::: https://www.nic.ad.jp/member/ (PASSWORD有) □┓ ━━━ N e w s & V i e w s への会員広告無料掲載実施中 ━━━┏□ ┗┛ お問い合わせは jpnic-news@nic.ad.jp まで ┗┛  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 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