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    /P▲        ◆ JPNIC News & Views vol.1427【臨時号】2016.8.24 ◆
  _/NIC
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◆ News & Views vol.1427 です
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2016年7月17日(日)から22日(金)にかけて、ドイツ・ベルリンにて開催された
第96回IETFミーティングの報告を、昨日より連載でお届けしています。本号
では、IPv6関連WGの動向を取り上げます。

次号以降は、DNS、DDoS対策、セキュリティの各トピックについて、順次レポー
トをお届けする予定です。昨日発行したvol.1426は、下記のURLからご覧くだ
さい。

  □第95回IETF報告

    ○[第1弾] 全体会議報告 (vol.1426)
    https://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2016/vol1426.html

また、この第96回IETFのオンサイトでの報告会も、2016年9月12日(月)に開催
いたします。9月8日(木)の17:00まで参加申し込みを受け付けていますので、
こちらにもぜひ足をお運びください。

    IETF報告会(96thベルリン)開催のご案内
    https://www.nic.ad.jp/ja/topics/2016/20160818-01.html

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◆ 第96回IETF報告 [第2弾]  IPv6関連WG報告
   ~6man WG、v6ops WG、maprg WG~
                                               富士通株式会社 松平直樹
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富士通の松平と申します。最近は、M46 (IPv4 over IPv6等)、ME6 (L2 over
IPv6)等の提案を行っています。ここでは、IPv6関連WGについて報告します。
なお、本報告に含みませんが、IoT (Internet of Things)関連の検討など、
ここで取り上げたIPv6関連WG以外でも、IPv6に関する検討は行われています。

◆ IPv6関連WGの全体状況

IPv6関連WGの標準化状況は、終盤であると言ってよいと思います。その根拠
は、IPv6トラフィックの増加にあります。この変化点は、今振り返ってみる
とちょうど1年前の、第93回IETFプラハ会議だったのではないかと思います。
この会議の場で、下記に示すようなIPv6の各種統計情報が参照され、はっき
りとしたトラフィックの伸びが確認され、IETF出席者の間で共有されたと記
憶しています。

  - https://www.google.com/intl/ja/ipv6/statistics.html
  - http://www.worldipv6launch.org/measurements/
  - http://stats.labs.apnic.net/ipv6/
  - http://6lab.cisco.com/stats/

今、あらためて見てみますと、ユーザー数の増加は指数関数的な増加傾向に
入ったようです。余談かもしれませんが、私の環境でも、自宅やスマートフォ
ンで普通にIPv6が使えるようになっており、移行は完了しています。さて、
上記の統計情報は、国別であったり、ネットワークサービス(企業)別であっ
たりなど、各種情報が出ています。現状把握のためにも、定期的に見るべき
統計情報であると思いますが、何はともあれ、一度ご覧になることをお勧め
します。

標準化組織としては、このようなトラフィックの伸びを見守りながら、フィー
ドバックを得て、仕様等への反映など対策を打ちながら、円滑なIPv6の普及、
そして、インターネットの健全な発展に貢献していくものと考えられます。

今回会議に出て感じたのは、この「IPv6関連」というくくりに意味が無くな
る日も近いのではないかということでした。そして、いささか気が早いかも
しれませんが、IPv6の普及により、いよいよIPv4が不良資産化するという転
換期も、そう遠くない日に訪れるのではないかということでした。昔の話で
すが、企業内で複数のプロトコルを同時に使う時代がありましたが、IPv4に
集約されたことを思い出します。規模が異なりますので当時との比較はでき
ないでしょうが、この転換期を意識し、備えていく必要がありそうだと思い
ました。


◆ 6man (IPv6 maintenance) WG

6man WGは、IPv6基本プロトコルの保守を行うことを目的としたWGです。IPv6
基本仕様は現在、Draft Standardのstatusです。

ところで、標準トラックのstatusが、従来のProposed Standard (PS)、Draft
Standard (DS)、Standard (S)の3段階から、Proposed Standard (PS)、
Internet Standard (IS)の2段階に削減されました。これは、2011年10月に発
行されたBCP9/RFC6410に記載されています。削減に至った背景は割愛します
が、Draft StandardのRFCは、PSになるか、ISになるかのどちらかとなり、
IPv6基本仕様についてはIS化にすべく、その作業を行っています。

少し具体的に、RFC2460, "Internet Protocol, Version 6 (IPv6)
Specification"を見てみましょう。RFC indexには、以下の記載がなされてい
ます。

  2460 Internet Protocol, Version 6 (IPv6) Specification S. Deering,
  R. Hinden [ December 1998 ] (TXT = 85490) (Obsoletes RFC1883)
  (Updated-By RFC5095, RFC5722, RFC5871, RFC6437, RFC6564, RFC6935,
  RFC6946, RFC7045, RFC7112) (Status: DRAFT STANDARD) (Stream: IETF,
  Area: int, WG: ipngwg) (DOI: 10.17487/RFC2460)

RFC2460に対して、RFC5095、RFC5722、RFC5871、RFC6437、RFC6564、
RFC6935、RFC6946、RFC7045、RFC7112の、合計9個のRFCによる改版がなされ
ています。個々のRFCがどのようなものかを記載するスペースが無いのが残念
ですが、この改版を反映し、さらに他の修正すべき点も反映し、全体を見直
して、ISのStatusのRFCにするための準備を行っているわけです。

今回の会議では、残項目の整理が行われました。そのスライドは以下です。

  - https://www.ietf.org/proceedings/96/slides/slides-96-6man-3.pdf

冒頭にIPv6トラフィックの増加について述べましたが、普及がはじまってい
ますので、決めるべき仕様は決める、あるいは固めるタイミングに来ていま
す。IS化の申請は、そう遠くない時期に行われる印象を受けました。そして、
この承認のタイミングで、WGがcloseになる可能性についても感じさせられま
した。


◆ v6ops (IPv6 operation) WG

v6ops WGは、しばらく前までは2-3スロットを要するほど、アジェンダが多
かったWGです。しかし、今回は少なく落ち着いてきたようです。

今回印象に残ったのは、マルチホーミングに関する提案が、6man WG、v6ops
WG、rtgareaの3ヶ所で行われたことです。マルチホーミングとは、サイトが
複数のISPに接続される形態を指します。サイトには、ISPからIPアドレスが
割り当てられることが一般的なため、複数のISPに接続される場合、各ISPか
らそれぞれIPアドレスが割り当てられることになります。このとき、ホスト
がそのソースアドレスに、どちらのIPアドレスを用いるか等が課題となりま
す。しかも、リンク障害時には、そのISPが割り当てたIPアドレスへの到達性
が失われますので、単純ではありません。

このマルチホーミングの問題は、IPv6検討初期からの課題で、multi6 WGが設
立されて集中的な検討がなされた時期もありましたが、上手く解けていませ
ん。今回の提案のスライドは以下になります。

  - https://www.ietf.org/proceedings/96/slides/slides-96-v6ops-1.pdf

そのほかの議題では、IPv6の普及状況のサーベイが報告されました。

  - https://www.ietf.org/proceedings/96/slides/slides-96-v6ops-3.pdf


◆ 移行技術

移行技術を扱うWGは、カプセル化がsoftwire WG、IPv4-IPv6変換がbehave
WGで行われてきましたが、softwire WGは会議が開催されず、また、behave
WGは既にcloseしています。


◆ maprg (Proposed Measurement and Analysis for Protocols Research
   Group)

IETF会議中には、IRTF (Internet Research Task Force)の会合も開催されま
すが、そのmaprgという研究グループの会議で、興味深い発表が行われました
ので紹介します。

一つ目は、Apple社による報告で、iOSやmacOSのクライアントでのHappy
Eyeballに関する測定結果で、Wi-Fi、Cellular、Wiredの遅延についてのデー
タです。

  - https://www.ietf.org/proceedings/96/slides/slides-96-maprg-5.pdf

もう一つは、IPv4アドレスの利用状況に関するものです。IPv4アドレス在庫
は事実上枯渇したと言ってよいと思いますが、実際に利用されているIPv4ア
ドレスについても、2014年頃からリニアな伸びが止まり、停滞していること
が観測されているようです。IPv4アドレスの利用については、その利用効率
の向上も図られてきたと考えられますが、既に限界にきているのかもしれま
せん。

  - https://www.ietf.org/proceedings/96/slides/slides-96-maprg-1.pdf

今後も、IPv6およびIPv4に関する各種測定情報の報告が続きそうです。


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       わからない用語については、【JPNIC用語集】をご参照ください。
             https://www.nic.ad.jp/ja/tech/glossary.html
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 JPNIC News & Views vol.1427 【臨時号】

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