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    /P▲        ◆ JPNIC News & Views vol.1456【臨時号】2016.12.13 ◆
  _/NIC
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◆ News & Views vol.1456 です
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2016年11月13日(日)~18日(金)にかけて、韓国のソウルにて開催された第97
回IETFミーティングの報告を、昨日より連載にてお届けしています。本号で
は第2弾として、IPv6関連WGの動向を取り上げます。

次号以降も、トランスポート、セキュリティ、DNSと、引き続き各分野の動向
をお届けする予定です。昨日発行した全体会議の報告については、下記のURL
からバックナンバーをご覧ください。

  □第97回IETF報告

    ○[第1弾] 全体会議報告 (vol.1455)
    https://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2016/vol1455.html

また、第97回IETFのオンサイトでの報告会も、今週末の2016年12月16日(金)
に開催いたします。12月15日(木)17:00まで参加申し込みを受け付けています
ので、こちらにもぜひ足をお運びください。

    IETF報告会(97thソウル)開催のご案内
    https://www.nic.ad.jp/ja/topics/2016/20161125-01.html

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◆ 第97回IETF報告 [第2弾]  IPv6関連WG報告
   ~v6ops、sunset4 WGに関して~
                                 株式会社ブロードバンドタワー 國武功一
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韓国・ソウルにて、第97回IETFが2016年11月12日(日)から18日(金)の期間で
開催されました。今回は、v6opsおよびsunset4 WGにおいて取り上げられた
draftと、いくつかの議論について取り上げたいと思います。

■v6ops WG

  - Some Design Choices for IPv6 Networks
    (draft-ietf-v6ops-design-choices-12)

  主にルーティングをターゲットとしたネットワーク設計についてどうすべ
  きかが記述されたドキュメントです。実際にオペレーションしているオペ
  レータがどういった選択をしたのかといったアンケート結果も掲載されて
  います。

  バックボーンのアドレス設計およびIGPの選択に対して、その理由も併せて
  記載されているため、自身がバックボーン設計に携わっており、なおかつ
  まだIPv6を導入していない人にとって、役に立つドキュメントとなってい
  るかと思います。

  - Unique IPv6 Prefix Per Host
    (draft-ietf-v6ops-unique-ipv6-prefix-per-host-01)

  もともとはComcast社のWi-Fiサービスで展開されている方法について述べ
  られていたdraftのようでしたが、今回のアップデートでそれらの余分な情
  報が削られました。その結果、必要最低限の情報に絞られることで、かな
  りdraftとしてスッキリしました。Wi-FiやEthernetなどのシェアードメディ
  アを利用しながらも、ホスト毎に個別のPrefixを割り当てる方法について
  記述されています。

  その一方で、この文書に記述されているRAのフラグやパラメータなどは、
  AndroidやiPhoneなど、DNSキャッシュサーバの割り当て方法が異なるクラ
  イアントを同時にサポートする必要のある管理者にとっても、大きな指針
  になるのではないでしょうか。ただ、当日コメントにApple製品のいくつか
  のバージョンでLフラグが0の場合、Link-Localアドレスではなく、グロー
  バルアドレスを使っていると、問題があると報告されているよとあったの
  は、少し気になるところです。


  - Enterprise Multihoming using Provider-Assigned Addresses without
    Network Prefix Translation: Requirements and Solution
    (draft-bowbakova-rtgwg-enterprise-pa-multihoming-01)

  企業ネットワークにおいて、PIアドレス(プロバイダ非依存アドレス)では
  なく、PAアドレス(プロバイダからアサインされたアドレス)を複数用いた
  マルチホーミングの方法について記述されたdraftです。これを読む限り、
  不可能ではないが相当厳しいというのが、率直な印象です。ソースアドレ
  スルーティングの導入、DNSキャッシュサーバの割り当ておよび使い分け、
  宛先別のルーティング制御など、IPv4とオペレーションが変わってしまう
  ことが、その印象を強くしています。とはいえ、IPv6-onlyが当たり前にな
  るとするならば、事前に議論しておくべき内容であることに変わりはあり
  ません。

  - Local-use IPv4/IPv6 Translation Prefix, T. Anderson
    (draft-anderson-v6ops-v4v6-xlat-prefix-02)

  RFC6052(NAT64)で利用される64:ff9b::/96以外に、他のアルゴリズムを利
  用するための64:ff9b:1::/48についてのアサインについて記述された
  draftです。今回のアップデートでは、実際に利用するアドレスにおける
  Checksum Neutralityについて、大幅な加筆がなされています。Checksum
  Neutralityについては、

     第75回IETF報告 IPv6関連WG報告
     ~behave WG、softwire WG、homegate bar-BoFについて~
     https://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2009/vol670.html

  を参照してみてください。基本的にはこのままWG Itemとなり、アドレスア
  サインへの方向に進みそうです。

  - IPv6 Advanced Use Cases

  これはドラフトではないですが、IPv6のユースケースを集めてみようといっ
  た話が出ていました。これに関しては、みなさん乗り気です。前述した、
  "Unique IPv6 Prefix Per Host"もユースケースの一種な気がしますが、
  ユースケースを取り上げることで、IPv6の導入を後押ししたいという思い
  があるのだと思います。ただ、この文書を届けたい人はこの文書を読まな
  い人、という矛盾もあるかと思いますので、なかなか悩ましいですね。


■sunset4 WG

  - IETF: End work on IPv4
    (draft-howard-ipv6-ietf-00)

  IETF 97開催前に、下記のIAB Statementが出されました。

     IAB Statement on IPv6
     https://www.iab.org/2016/11/07/iab-statement-on-ipv6/

  これに伴い、IETFとしてもIPv4からIPv6へ大きく舵を切ることになるよう
  です。本draftでは、IPv4をHistoricalにしようというものですが、もちろ
  んこれを出したら、即完了という単純な話ではありません。既存のプロト
  コルでも、まだまだIPv4に依存しているものは多々あり、しばらくは混乱
  が続くことが予想されます。議論の場でも、あれはどうするんだ、これは
  どうなるんだ?といった質疑が多々出ていました。ともあれ、このdraft
  はWG Itemとして採択されましたので、議論が続くものと思われます。

  - Let 'localhost' be localhost.
    (draft-west-let-localhost-be-localhost-02)

  localhostの名前解決をした場合の挙動はRFC6761 Section 6.3に記述され
  ています。そこではloopback addressを返すべき(SHOULD)、となっていま
  す。しかしながら"SHOULD"は禁止を意味せず、実際にはそのクエリがネッ
  トワークに漏れてしまっています。このため、loopback address が必ず返
  されるとは限りません。localhostを指定したとしても、実際には内部で閉
  じることなくトラフィックが外部に漏れていまう危険性があるわけです。
  これは多くの開発者にとっては、期待する挙動ではありません。この問題
  点はW3CのSecure Contextsにも挙げられています。

  Secure Contexts 5.2 localhost
  https://w3c.github.io/webappsec-secure-contexts/#localhost

  localhostをきちんと特別扱いし、必ずloopbackアドレスが返ることで、安
  全なコンテキストであると見なせるようにRFC6761の"SHOULD"を"MUST"に
  アップデートしたいというのが、このdraftでの主張です。

  sunset4ではなくて、dnsop WGだよね?という想像の通り、dnsop WGで議論
  が引き継がれるようです。ただ、RFCを変えればすべてが解決されるわけで
  はありません。会場からのコメントにもあったように、現状すでにDNS
  キャッシュサーバにクエリが漏れている状態なので、実効を考えると、簡
  単なように見えて茨の道なのかもしれません。

さて、今回のIETF 97は、IAB Statement on IPv6が出されての初めてのIETF
となりました。これについて比較的大きく触れたのは、Technical Plenaryと
sunset4 WGぐらいだったでしょうか。しかしながら、すべてのWGに関係する
ことですので、今後IPv6という切り口だったとしても、特定のWGだけを見る
というわけには、いかなくなるのかもしれませんね。


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       わからない用語については、【JPNIC用語集】をご参照ください。
             https://www.nic.ad.jp/ja/tech/glossary.html
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 JPNIC News & Views vol.1456 【臨時号】

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