━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ __ /P▲ ◆ JPNIC News & Views vol.1619【臨時号】2018.8.30 ◆ _/NIC ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆ News & Views vol.1619 です ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2018年7月中旬にカナダ・モントリオールで開催された第102回IETFミーティ ングのレポートを、vol.1614より連載にてお届けしています。 連載の最終回となる本号では、IPv6関連WG報告の後半として、IPv6を運用す る上での課題を主に議論している、6ops WGでの議論の動向を中心にご紹介し ます。また文末では、本報告の筆者である西塚氏が提案されている、DDoS対 策の組織間連携を自動化するための、DOTS (DDoS Open Threat Signaling) WGの状況もご報告します。 これまでに発行した第102回IETFの各報告については、下記のURLからバック ナンバーをご覧ください。 □第102回IETF報告 ○[第1弾] 全体会議報告 (vol.1614) https://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2018/vol1614.html ○[第2弾] セキュリティエリア関連報告 ~TRANS WGにおけるCTに関する 議論について~ (vol.1615) https://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2018/vol1615.html ○[第3弾] IoT関連報告 (vol.1617) https://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2018/vol1617.html ○[第4弾] IPv6関連WG報告(前半) ~6man WG~ (vol.1618) https://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2018/vol1618.html また、本会合のオンサイトでの報告会を、明日8月31日(金)に東京・青山学院 大学にて開催します。参加登録は本日30日(木)の17:00までとなっていますの で、まだの方は急いでお申し込みください。 IETF報告会(102ndモントリオール)開催のご案内 https://www.nic.ad.jp/ja/topics/2018/20180803-01.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆ 第102回IETF報告 [第5弾] IPv6関連WG報告(後半) ~v6ops WG/dots WG~ NTTコミュニケーションズ株式会社 西塚要 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 今号では、前号での6man WGの報告に引き続き、v6ops WGについて報告しま す。 また最後に、IPv6の内容ではありませんが、筆者が提案活動を行っているdots WGについても簡単に報告します。 ■ v6ops WG (IPv6 Operations, Ops Area) v6ops WGはIPv6を全世界に展開するにあたっての緊急の課題、特に運用上の 課題に対処することに焦点を当てたWGです。また、新しいネットワークや既 存のIPv4ネットワークにIPv6を導入するためのガイドラインや、IPv4/IPv6共 存ネットワークの運用ガイドラインを作成することも目的としています。 今回は木曜午後と金曜午前の2コマが割り当てられました。木曜午後のセッ ションでは、ホテル一帯が20分程度停電するというアクシデントがありまし た。停電の間、議論を止めたWGもあったようですが、v6ops WGにおいては、 ホテルの非常電源の暗い中でもマイク(といっても電源は入っていないです が)に並んで活発に議論がされました。 (1)ゲストプレゼンテーション APNICのGeorge Michaelson氏から、「World IPv6 Trends」と題して、世 界のIPv6普及状況に関するプレゼンテーションがありました。 ウェブ広告を利用して、IPv6で通信可能なユーザーの割合を割り出した ところ、全世界で18%がすでにIPv6利用可能と示唆されました。そして、 平均の18%よりも普及率が高い国と、低い国に分けて、経済規模(GDP)と の相関などが分析されました。また、国ごとの統計では、少数の支配的 なISPに占められている国では、そのISPがIPv6対応しているかどうかに よって普及率が大きく左右されるという分析がされました。 しかし、統計の正確さについて、多くの参加者から疑問が投げられまし た。例えば、中国からの参加者は「もっと中国の普及率は高いはずだ」 と物言いがあり、APNICからは「もっと情報提供に協力してほしい」と要 望を伝えるという一幕もありました。 プレゼンテーションの最後には、(ポジショントーク的ですが)IPv6への 経済的な投資は効率的であるという結論が導かれていました。 (2)WGドラフト (2)-1. Requirements for IPv6 Routers <draft-ietf-v6ops-ipv6rtr-reqs> IPv6対応ルータへの要求事項をまとめたドラフトです。前回と異なり、 著者自身がプレゼンテーションを実施しました。必要と思われる機能を 複数のプロバイダにヒアリングしたと言っており、プロバイダへのガイ ダンスとして有用なものになっています。しかし、議論がいまだ活発で あることから、チェアからは引き続き議論すべきと指示されました。 (2)-2. Requirements for IPv6 Customer Edge Routers to Support IPv4 Connectivity as-a-Service <draft-ietf-v6ops-transition-ipv4aas> IPv4 as a Service (IPv4aaS)として、IPv4 over IPv6機能を提供する CPEについての要求事項をまとめたドラフトです。特に464XLAT、 DS-Lite、MAP-E、MAP-T、Lw4o6について個別の要求事項が書かれている ほか、これらに共通する機能(ディプロイメントなど)についての要求事 項もまとまっており、好意的に受け止められていました。 DHCPv6でCPEにIPv4 over IPv6機能をディプロイする際に、上記の個別技 術のうち、464XLATだけがコードポイントが割り当てられていないため、 それをIANAに要求する内容も含められています。 LAN側のアドレス帯について、/64に限定しない書き方に現状なっていま すが、MLで継続議論となっています。WGLCとすべきか、というハミング については、賛成半数、まだ十分でない半数、という状況で、ドラフト を精査する人員を2人以上アサインしました。 IPv4 over IPv6機能が増えてしまうと、CPEメーカーに対応コストが上乗 せされてしまうという問題点が指摘されましたが、ガイドラインとして 本ドラフトは有用であると捉えられています。 (2)-3. NAT64/464XLAT Deployment Guidelines in Operator and Enterprise Networks <draft-ietf-v6ops-nat64-deployment> 企業ネットワークにおいて、NAT64/464XLATを利用するガイドラインをま とめたドラフトです。パブリックDNSを利用している端末についてのケア が明記されているべきという指摘がチェアからありましたが、あまり議 論は起こらず、ドラフトを精査する人員を2人アサインしただけで、継続 議論となりました。 (3)個人ドラフト 個人ドラフトとして4件の発表がありました。ここでは1件を取り上げて 報告いたします。 (3)-1. Discovering PREF64 in Router Advertisements <draft-pref64folks-6man-ra-pref64> NAT64のアドレス(PREF64)のディスカバリとしてRAを使う方法の提案で す。464XLATや、NAT64配下でのIPv4アドレスリテラルでのアクセスでは、 DNS64を用いないためDNSに依存しない形でPREF64を得る必要があります。 PREF64は環境によって異なるので、端末にどのように設定するのか、が 問題になっています。そのため、本ドラフトは、LAN内の設定は信頼でき るとしてRAによって与えることを提案しています。 DNSに依存しないことで、DNS64とDNSSECの相性問題も解決できるとして います。また、RFC6052<https://tools.ietf.org/html/rfc6052> (IPv6 Addressing of IPv4/IPv6 Translators)に定義されたNAT64自体は、さま ざまなprefix長での変換を許容していますが、本提案は/96のアドレスだ けサポートするとしています(32bitのIPv4アドレスが埋め込まれるので、 残りの/96を渡します)。 本ドラフトは好意的に受け止められました。関連して、DNS64をディスカ バリする方法を決めている RFC7050<https://tools.ietf.org/html/rfc7050> (Discovery of the IPv6 Prefix Used for IPv6 Address Synthesis)は問題を多く抱えてい るとして、こちらも今後議論すべきだという意見がでました。 ■dots WG 筆者は、DDoS対策の組織間連携の自動化を実現するDOTS (DDoS Open Threat Signaling)プロトコルの策定に、WG設立当初(2015年6月)より関わっていま す。前回からのアップデートとして、コアな仕様を定めたシグナルチャンネ ルドラフトが2回目のWGLC、データチャンネルドラフトが1回目のWGLCがかかっ ていることを報告します。WGメンバが精力的に活動しておりますので、標準 化過程として、今年中のRFC化も実現可能かもしれません。商用での利用に向 けて、実証実験が進むことに期待しています。 ◇ ◇ ◇ 次回の第103回IETFミーティングは、2018年11月3日(土)から9日(金)にかけ て、タイのバンコクにて開催されます。 IETF 103 Bangkok https://www.ietf.org/how/meetings/103/ ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ まわりの方にもぜひNews & Viewsをオススメください! 転送にあたっての注意や新規登録については文末をご覧ください。 ◇ ◇ ◇ わからない用語については、【JPNIC用語集】をご参照ください。 https://www.nic.ad.jp/ja/tech/glossary.html ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ ┃ ◆◇◆◇◆ 本号のご感想をお聞かせください ◆◇◆◇◆ ┃ ┃良かった ┃ ┃ http://feedback.nic.ad.jp/1619/4bf89cd31920aba1a9b6502c35052783 ┃ ┃ ┃ ┃悪かった ┃ ┃ http://feedback.nic.ad.jp/1619/022d6121acc9a2d2db911613cca07640 ┃ ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ___________________________________ ■■■■■ JPNICの活動はJPNIC会員によって支えられています ■■■■■ ::::: 会員リスト ::::: https://www.nic.ad.jp/ja/member/list/ :::: 会員専用サイト :::: https://www.nic.ad.jp/member/ (PASSWORD有) □┓ ━━━ N e w s & V i e w s への会員広告無料掲載実施中 ━━━┏□ ┗┛ お問い合わせは jpnic-news@nic.ad.jp まで ┗┛  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ JPNIC News & Views vol.1619 【臨時号】 @ 発行 一般社団法人 日本ネットワークインフォメーションセンター 101-0047 東京都千代田区内神田3-6-2 アーバンネット神田ビル4F @ 問い合わせ先 jpnic-news@nic.ad.jp ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ___________________________________ 本メールを転載・複製・再配布・引用される際には https://www.nic.ad.jp/ja/copyright.html をご確認ください  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ◇ JPNIC Webにも掲載していますので、情報共有にご活用ください ◇ 登録・削除・変更 https://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/ バックナンバー https://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/ ___________________________________ ■■■■■ News & ViewsはRSS経由でも配信しています! ■■■■■ ::::: https://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/index.xml :::::  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ■■◆ @ Japan Network Information Center ■■◆ @ https://www.nic.ad.jp/ ■■ Copyright(C), 2018 Japan Network Information Center