━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ __ /P▲ ◆ JPNIC News & Views vol.1885【定期号】2021.11.15 ◆ _/NIC ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ---------- PR -------------------------------------------------------- 【 株式会社 アイテックジャパン 】 ┏━━━■■究極のBCP/DR 遠隔地瞬時切換システム ■■━━━━━━┓ データセンター内の冗長化ではなく、遠隔地データセンター同士の 冗長化。その上、災害時、瞬時に切り換わります。 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ https://itec.ad.jp/━━━ ---------------------------------------------------------------------- ---------- PR -------------------------------------------------------- ◇◆◇◆◇◆ 新企画『Internet Week Basic オンデマンド』◆◇◆◇◆◇ https://internetweek.jp/bo/ インターネットの基本をいつでも、どこでも、誰でも。 「ネットワーク基礎入門 TCP/IP編」「Wi-Fi基礎」「RPKI入門」 今後も続々とコンテンツ追加予定! ---------------------------------------------------------------------- ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆ News & Views vol.1885 です ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 毎月15日(土日祝の場合はその翌営業日)に発行している定期号では、特集記 事のみならず、業界メンバーのコラムや用語解説、統計などもお届けしてい ます。 本号の特集は、10月下旬にオンライン開催された第72回ICANN会議の内容につ いて、全体概要と分野別ドメイン名支持組織(GNSO)に関する動向を中心にお 伝えします。 その他、News & Views Columnでは、いよいよ明日(11/16)開幕する「Internet Week 2021」のプログラム委員としてプログラム作りに参加していただいてい る、NTTコミュニケーションズ株式会社の伊藤良哉さんに、ご担当されている プログラムなどのご紹介をお書きいただきました。 また、インターネット用語1分解説では、ICANNでgTLDに関するポリシーを実 装するにあたり、実装準備のための枠組みとして透明性を確保して策定され た「ODP (Operational Design Phase)」について解説しています。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆ 目次 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【 1 】特集 「第72回ICANN会議報告」 【 2 】News & Views Column 「Internet Week 2021はじまります」 NTTコミュニケーションズ株式会社 伊藤良哉氏 【 3 】インターネット用語1分解説 「ODP (Operational Design Phase)とは」 【 4 】統計資料 1. JPドメイン名 2. IPアドレス 3. 会員数 4. 指定事業者数 【 5 】イベントカレンダー ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【 1 】特集 「第72回ICANN会議報告」 JPNIC インターネット推進部 山崎信 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 第72回ICANN会議(以下、ICANN72)は、引き続き新型コロナウイルス感染症の 影響により、2021年10月25日(月)から28日(木)まで、元々の開催予定地であっ た米国ワシントン州シアトルの時間帯である米国西海岸夏時間基準で、オン ラインのみで開催されました。日本時間では深夜1時に会議が始まり、午前9 時30分に終わるのが標準となっており、時差的に参加しにくい会議だったと 言えると思います。 ICANN72へは、156の国・地域より1,412名(*1)(1,305名との案内もあり(*2)) の参加がありました。地元である北米からの参加者の割合が35.6%と最も多 く、次いでアジア・オーストラリア・太平洋地域が22.1%、欧州20.8%と続い ています。ラテンアメリカ・カリブ海地域は7.6%、アフリカ地域は13.8%とな りました(*2)。 (*1) https://twitter.com/ICANN/status/1453833808013414409 (*2) https://www.icann.org/en/blogs/details/icann72-participation-metrics-preview-1-11-2021-en 本稿では、主に全体動向と分野別ドメイン名支持組織(GNSO)に関する動向に ついてお伝えします。 ■ Dr. Tarek Kamel Award 能力開発に関するDr. Tarek Kamel賞の2021年の受賞者は、アジア・オースト ラリア・太平洋地域At-Large組織(APRALO)を率いるSatish Babu氏が選ばれま した(*3)。 授賞理由は、インターネットガバナンスのマルチステークホル ダーモデル、および地元・地域規模の能力開発を促進したことによるもので す。特に、地元および地域規模のインターネットガバナンス学校に関する指 導力を開拓したことについて、ICANN理事会は高く評価している、とのことで す。Babu氏はまた、Universal Acceptance(*4)および国際化ドメイン名(IDN) に関して顕著な貢献を行った、としています。 (*3) https://www.icann.org/en/announcements/details/satish-babu-honored-with-2021-dr-tarek-kamel-award-for-capacity-building-25-10-2021-en (*4) https://www.nic.ad.jp/ja/basics/terms/tld-universal-acceptance.html ■ DNS Abuse関連 国コードドメイン名支持組織(ccNSO)では、DNS Abuseに関するccNSOの役割に ついてのセッションが開催され、政府諮問委員会(GAC)では、DNS Abuseの軽 減方策についてのセッションが開催されました。GNSOでは、契約者会議 (Contracted Party House; CPH)(*5)のDNS Abuse WGからコミュニティへの報 告セッションが開催されました。ICANN会議に先立つ10月22日には、理事会 ワークショップとしてDNS Abuseのパネルディスカッションが開催されまし た。 (*5) レジストリステークホルダーグループ(SG)とレジストラSGからなります。 CPH DNS Abuse WG報告セッションでは、まずCPHによるDNS Abuseの定義が共 有された後、レジストリステークホルダーグループ(SG)、レジストラSGによ る進捗および成果報告がありました。次いでDNS Abuseに対応するための抗議 メカニズムについて、続いてCPH Trusted Notifier Framework(信頼できる通 知者の枠組み)についての発表がありました。後者はICANN71で議論されたも ので、関係者向けのガイドとして提供されることをめざしており、DNS Abuse およびWebサイトコンテンツの悪用におけるTrusted Notifierの役割、責任、 期待について書かれています。Trusted Notifierは独立した第三者で、レジ ストリ・レジストラと合意書を結んだ上で活動しており、ドメイン名のテイ クダウンなどに必要とされるということです。 ■ gTLD登録データ関連 会期中開催されたGNSO評議会では、暫定仕様に関する迅速ポリシー策定プロ セス(EPDP)フェーズ2A(フェーズ2の残課題)最終報告書の受け入れ、および理 事会への勧告1から4の採択を勧告する内容の決議がなされました。勧告の概 要は以下の通りです。 1. 勧告1:法人と個人を区別するための項目を作成すること 2. 勧告2:法人と個人を区別することを選んだICANNとの契約者(レジストリ およびレジストラ)はガイダンス(例:個人のデータは公開RDDSでは見せ なくする)に従い、かつすべてのデータ処理段階を文書化すること 3. 行動規範に関するGDPR第40条の要件に沿って、法人/個人の区別に関す る上記のガイダンスを、関連する管理者および処理者によるICANN内の将 来の作業で検討することを推奨 4. EPDPチームは、仮名化された登録者ベースまたは登録ベースの電子メー ルアドレスを公にアクセス可能なRDDS (Registry Registration Data Directory Services)に公開することを選択したICANNとの契約者は、本 件に関してEPDPチームによって取得された法的ガイダンス、および該当 するデータ保護当局によって提供されるその他の関連ガイダンスを評価 することを推奨 ■ プレナリーセッション:現地参加と遠隔参加を等しくするためのハイブ リッドICANN公開会議の設計 モデレーターである元ICANN理事、Chris Disspain氏からのイントロダクショ ンの後、CENTR(*6)理事会議長のBarbara Povse氏、IGF事務局のChengetai Masango氏、EuroDIG事務局のSandra Hoferichter氏、ICANN事務局からは Ashwin Rangan氏、GACからはAnna Goulden氏より、ハイブリッド会議設計に 関する経験談が語られました。回線状況、時差の問題、1対1プライベートミー ティング、仮想会場、ブレイクアウトルーム、レセプションなどについて語 られました。 (*6) 欧州のccTLDレジストリの連合体。https://centr.org/ 質疑応答では、IGFでセッション開催中以外の時間帯に質問が来たときはどう するのか、という質問に対し、質問は各セッション固有のハッシュタグを付 けて送ることになる、セッションが終わってからの質問は会議レポートに含 まれることになる、という回答がMAG議長Anriette Esterhuysen氏からありま した。これに限らず、時差の問題には焦点が当たっていたように思います。 英語を母国語としない参加者からの質問やコメントを送る手段を考える必要 がある、および複数のセッションに同時に参加できる機能をZoomまたは他の オンライン会議プロバイダーに要求すべき、という意見もありました。 ■ 最後に GNSOが検討しているポリシーは多岐にわたり、この場ではとても全部ご紹介 できませんが、そのうちのいくつかは2021年12月14日(火)に開催を予定して いる、第62回ICANN報告会で報告される予定です。 今回のICANN72について遠隔参加による開催が決定された際、2022年3月開催 予定のICANN73に関しては遠隔参加と現地開催の両方で行うハイブリッド開催 をめざすとされていましたが、11月4日のICANN理事会決議で、結局、遠隔の みでの開催することとし、ICANN74で現地開催(ハーグ、オランダ)を含むハイ ブリッド開催をめざすことが決定しました。ICANN73は元来開催が予定されて いた、プエルトリコのサンフアンのタイムゾーン(UTC-4)で開催されます。 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓ ┃ ◆◇◆◇◆ 本特集のご感想をお聞かせください ◆◇◆◇◆ ┃ ┃良かった ┃ ┃ https://feedback.nic.ad.jp/1885/b4301843f109a02f078daa2be2e2dcd6 ┃ ┃ ┃ ┃悪かった ┃ ┃ https://feedback.nic.ad.jp/1885/a8b0c969f533f8ae12b1d6e9bdebb8ef ┃ ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【 2 】News & Views Column 「Internet Week 2021はじまります」 NTTコミュニケーションズ株式会社 伊藤良哉 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ いよいよ今年もInternet Weekがはじまります。Internet Weekは今年で25周 年を迎え、それを記念し、インターネット技術の基礎に関する動画をいつで も見ることができる「Internet Week Basicオンデマンド」と、過去に開催し たInternet Weekの講演資料を検索できる「Internet Week デジタルアーカイ ブ」を提供し、Internet Week 2021最終日には「四半世紀記念パーティー」 が開催されます。 Internet Week 2021のテーマは「明日のカタチ」です。今後確実にやってく るであろう新しい時代に、積極的に目を向けて取り組んでいきたい、という 想いが込められています。COVID-19の影響により、完全オンライン開催とな るのは少し残念ではありますが、オフラインに負けないようなボリュームで お届けする予定です。 私はInternet Week 2021のプログラム委員として、プログラム作りに参加し ております。プログラム作りは、分野ごとのチームに分かれ、それぞれが講 演すべきテーマを持ち寄り、それに適する講演者を探すという流れで進んで いきます。その後、プログラム委員や講演者と何度も議論を重ね、プログラ ムをブラッシュアップしていきます。 今回、私が担当したプログラムはC5-C7の「どう使う?データセンターネット ワーキング最前線」です。 https://www.nic.ad.jp/iw2021/program/detail/#c5 各事業者の方々に、トレンドや実際のユースケースを具体的に分かりやすく ご紹介いただくことによって、昨今のネットワーク技術を理解いただくとと もに、彼らの運用上の課題を克服するためのテクニックを持ち帰ってもらう ことを目的として、企画しております。その他の見どころは下記動画にまと めてありますので、ぜひご覧ください。 https://youtu.be/YmG2gK395Vg Internet Week 2021へ、多くの方のご参加をお待ちしております。 ■筆者略歴 伊藤 良哉 (いとう よしや) 2013年 NTTコミュニケーションズ株式会社入社。主にOCNの設計・開発に従 事。2019年よりJANOG実行委員などのコミュニティ活動に携わる。Internet Week 2021プログラム委員。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【 3 】インターネット用語1分解説 「ODP (Operational Design Phase)とは」 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ODPは、「Operational Design Phase」の略で、JPNICでは「運用設計フェー ズ」と訳しています。 ICANNのgTLDに関するポリシーは、GNSO (Generic Names Supporting Organization,分野別ドメイン名支持組織)が、ポリシー策定プロセスを経て 承認したポリシー勧告群を理事会に具申し、理事会が承認することによって ポリシーとして固まり、以降その実施準備が始まります。 例えば、gTLD募集次回ラウンド(gTLD Subsequent Procedure: SubPro)のよう なポリシーの場合、ポリシーの実施によってICANNの業務が大きく変化した り、大きな投資が発生したりすることがあります。そのため、ポリシー勧告 群の承認には、具体的な実施準備検討をある程度進めた上で、必要な費用、 リソースなどを含めた、実装準備の詳細が必要となります。 これらの実装準備の詳細はこれまでも、Consensus Policy Implementation Framework (CPIF)と呼ばれる枠組みで実施されていましたが、この枠組みを 発展させ、GNSOからのオブザーバーを置き意見聴取を行うなど、事務局によ る詳細情報収集のための評価作業の透明性を確保して策定されたのが、ODP です。 ICANN理事会は、GNSOからのポリシー勧告群を受領した後、必要と考える場合 にはODPの基本方針を定めた上で、ODP開始を決定します。事務局は、この基 本方針に従って検討を行い、その結果をOperational Design Assessment Report(運用設計評価レポート)として理事会に提出します。理事会は、この レポートを含む関連情報を基に検討の上、ポリシー勧告群を承認します。 ODPの詳細については、ICANNのODPページをご覧ください。経緯や関連情報が 集積されています。 ■ 参考 Operational Design Phase - ICANN https://www.icann.org/odp ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【 4 】統計資料 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 1. JPドメイン名 o 登録ドメイン数(2021年6月~2021年11月) -------------------------------------------------------------------------------------------- 日付| AD AC CO GO OR NE GR ED LG GEO GA GJ PA PJ TOTAL -------------------------------------------------------------------------------------------- 6/1|253 3745 448731 634 38599 12815 5605 6157 1896 2133 1018602 89187 9574 1600 1639531 7/1|253 3743 450138 633 38671 12804 5584 6175 1896 2130 1023569 88999 9747 1645 1645987 8/1|253 3749 451102 637 38738 12784 5576 6200 1896 2128 1028646 88831 9861 1632 1652033 9/1|253 3756 452101 646 38776 12776 5559 6199 1896 2124 1032874 88571 10008 1723 1657262 10/1|252 3762 453326 657 38843 12760 5542 6230 1896 2123 1037259 88340 10092 1727 1662809 11/1|252 3767 454588 661 38894 12779 5531 6239 1895 2122 1041516 88185 10157 1738 1668324 -------------------------------------------------------------------------------------------- GA:汎用ドメイン名 ASCII(英数字) GJ:汎用ドメイン名 日本語 PA:都道府県型ドメイン名 ASCII(英数字) PJ:都道府県型ドメイン名 日本語 2. IPアドレス o JPNICからのIPv4アドレス割り振りとJPNICへのIPv4アドレス返却ホスト数 (2021年5月~2021年10月) ------------------------------------------ 月 | 割振 | 返却 | 現在の総量 ------------------------------------------ 5 | 1024 | 0 | 92226696 6 | 512 | 0 | 92227208 7 | 1024 | 0 | 92228232 8 | 49664 | 46592 | 92231304 9 | 1536 | 0 | 92232840 10 | 1024 | 0 | 92233864 ------------------------------------------ □統計情報に関する詳細は → https://www.nic.ad.jp/ja/stat/ 3. 会員数 ※2021年11月12日 現在 --------------------- 会員分類 | 会員数 | --------------------- S会員 | 3 | A会員 | 0 | B会員 | 2 | C会員 | 3 | D会員 | 91 | 非営利会員| 9 | 個人推薦 | 29 | 賛助会員 | 44 | --------------------- 合計 | 181 | --------------------- □会員についての詳細は → https://www.nic.ad.jp/ja/member/list/ 4. 指定事業者数 ※2021年11月5日 現在 IPアドレス管理指定事業者数 481 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【 5 】イベントカレンダー ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2021.11.15(月) 2021 Annual CENTR Meeting (Brussels, Kingdom of Belgium) 2021.11.16(火)~26(金) Internet Week 2021 (オンライン) 2021.11.30(火) 第41回JPNICオープンポリシーミーティン グ(オンライン) --------------------------------------------------------------------- 2021.12.6(月)~10(金) IGF 2021 (Katowice, Poland) --------------------------------------------------------------------- 2022.1.26(水)~28(金) JANOG49 (鹿児島県、川商ホール) ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ わからない用語については、【JPNIC用語集】をご参照ください。 https://www.nic.ad.jp/ja/tech/glossary.html ◇ ◇ ◇ メールマガジン以外でも、情報を発信しています! 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