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【 1 】特集 「2006年ここに注目!」
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インターネットとそれを取り巻く環境の変化は、実に目まぐるしい速度で広範
囲の分野を巻き込みながら複雑に展開しています。2005年を振り返れば、技術
面での新たな挑戦が試みられる一方で、インターネットガバナンスの問題など
社会制度面からの議論も注目を浴びました。さて、2006年はどのような年にな
るでしょう。2006年最初の特集として、本稿では、次の方々に2006年どのよう
なことに注目しているかお聞きしました。

 <1> IPアドレス分野               … JPNIC理事  前村昌紀
 <2> ドメイン名分野               … JPRS取締役 堀田博文
 <3> セキュリティ分野             … JPNIC理事  歌代和正
 <4> インターネットガバナンス分野 … JPNIC理事  丸山直昌
 <5> 新技術                       … JPNIC理事  江崎浩

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<1>IPアドレス分野
                                                     JPNIC 理事 前村昌紀
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IPv4アドレスの寿命予測は、2004年までは2022年付近だと言われていましたが、
2005年の割り振り実績を織り込んだ予測では2012年付近と、一気に短くなりま
した。これに従って、今までも漠然と語られてきたIPv4アドレスの枯渇が、イ
ンターネット運用における非常に重大な問題として、とてもリアリティをもっ
て議論されるようになってきており、今後の議論や検討を注視するだけでなく
主体的に関わって行く必要があると思っています。

またIPv6アドレスでも現行の割り当てポリシーに関して、割り当てサイズの変
更、割り振り基準の見直しの提案が提出され、RIRsのミーティングで盛んに議
論され始めており、2006年はこの見直し議論に一定の結論が出る年となりそう
です。

JPNICにおいても検討委員会、専門家チームに踏み込んだ精査をお願いしながら
IP事業部として積極的に関与して、IPアドレス利用者コミュニティ全体の意見
を集約するべく、取り組んで参りたいと思います。

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<2>ドメイン名分野
                          株式会社日本レジストリサービス 取締役 堀田博文
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2006年はドメイン名がより一層利用者に近い存在になるでしょう。ここでは、
その大きな原動力となるIDN(国際化ドメイン名)と独自ドメイン名に焦点を当
てて2006年注目すべきポイントを書きたいと思います。

IDNに関しては、登録サービスを開始するTLD(トップレベルドメイン)が増加し
ており、日本語JPドメイン名に関しても種々の新しい使い方が開拓され、登録
と利用が大きく進んでいます。さらに、ICANNでは、2006年にはいくつかのIDN
TLDを実験的に新設するということも検討されています。アプリケーションに
関しても、2006年にはInternet Explorer7がIDN対応となる予定で、携帯電話
用ブラウザと併せ、IDNの本格的利用環境整備が大きく前進する予定です。こ
のように、2006年は、IDNの登録・活用が本格化する年になると考えます。

また、独自ドメイン名がサービスプロバイダや企業のドメイン名のサブドメイ
ン名に替わって利用されるケースが増えており、2006年は、この傾向が本格化
すると考えます。ホスティングサービスの簡易化・低廉化やブログ、SNS(ソー
シャルネットワーキングサイト)の利用拡大に伴い個人の情報発信が劇的に進
んでいること、2005年衆議院選挙において日本語での独自ドメイン名が多く使
われたことにも見られるように「個」のアイデンティティを必要とする活動が
インターネット上にも広がってきていること、などが理由と考えられます。

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<3>セキュリティ分野
                                                     JPNIC 理事 歌代和正
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2005年の大きな話題の1つはボットネットでした。ボットネットに対する感染
対策としてブロードバンドルータの導入が推奨されていますが、非コンピュー
タ機器の脆弱性への攻撃が一般化することで、まずブロードバンドルータが侵
入され、それを経由してLAN内の無防備な機器が軒並みやられてしまうことに
なります。無線LAN機能を通じて感染は近隣家屋へも広がり、LAN内の機器はPC
だけではなく情報家電も攻撃対象となります。以前のコメントスパムどころの
騒ぎではなく、ハードディスクレコーダ内のコンテンツがP2P技術によって公
開され日本中で共有されるので、予約などしなくても好きなテレビ番組がいつ
でも見られるようになります。クレードル上のデジタルカメラは脆弱性を探す
までもなくファームウェアを更新され、家の中のライブ映像はどこからでも見
放題です。VoIP電話も感染し、通話内容は盗聴され、家庭のIP電話がVoIP
SPAM (SPIT)の発信元として利用されます。オンラインゲームのサーバソフト
ウェアにも脆弱性が発見され、偽造アイテムを使ったリアルマネー詐欺事件が
発生し、多重販売された被害者同士による民事訴訟事件に発展します。挙げ句
の果てに、CATV局のサーバが侵入されて、那須サファリパークがアニマル球団
を結成してプロ野球に参入し、富士山頂でソフトバンクホークスと対戦する映
像が全チャンネルで流れ続けるというおめでたい2006年の初夢でした。

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<4>インターネットガバナンス分野
                                                     JPNIC 理事 丸山直昌
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昨年2005年は2004年に引き続き、インターネットガバナンスのあり方が国際政
治の場で活発に議論された年でした。結果として2005年11月にチュニジアで開
かれた第2回世界情報社会サミット(World Summit on the Information
Society, WSIS)で、今後のインターネットガバナンスの問題を議論する場とし
てInternet Governance Forum(IGF)を設置することが決まり、年明けから国連
事務総長の元で準備が進められています。2006年はこのIGFの行方が大きな関
心事となるでしょう。しかし、IGFの詳細は具体的には何も決まっておらず、
これが単なる「おしゃべりの場」("talk show")に終わるのではないか、と危
惧する人もいます。また、ドメイン名とIPアドレスの管理運営をこれまで担っ
てきたICANNの役割がIGFの設置によってどのように変わってゆく可能性がある
のかも不明です。インターネットの社会的役割がこれだけ大きくなった現代で
は、インターネットにかかわる多くの問題が政治的な動きに巻き込まれること
は避けられなくなっていることは事実ですが、その中でもインターネットの有
効性を確保し、今後の現実的な発展をはかるために、無用な政治的駆け引きを
避けて実質的な行動ができる枠組みを望みたいと思います。

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<5>新技術  NGN : Next Generation Network
                                                       JPNIC 理事 江崎浩
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NGNは、通信関係の国際標準化組織であるITU-T(*1)やキャリア系の方々によれ
ば、IP技術を用いた次世代情報通信インフラの実現アーキテクチャとされてい
ます。 NGNの適用戦略は、各国のキャリアごとにそれぞれ異なったものになっ
ていることは、昨年12月にJPNICが主催で開催しましたIP Meetingの中で、NTT 
の村上達郎氏から解説をいただきましたが、基本的には、現在のサービス種別
ごとに構築されたキャリアのサービス網を、IPパケットを共通の情報通信イン
フラとすることで、現在の複数のサービス網の統合化と効率化を推進するとい
うのがNGNを導入することの共通した目的のようです。 NGNの標準化には、欧
州および韓国・中国および日本が精力的に関与しています。現在の NGNの参照
アーキテクチャは、欧州の3GPP(*2)コンソーシアムがETSI(*3)のTISPAN(*4)に
提案したIMSアーキテクチャをもとにしており、SIP(*5)を基本プロトコルとし
ています。 また、サービス統合化を行うために参照アーキテクチャモデルは、
ATM(*6)技術が推進された時のBISDN(*7)あるいはAIN(*8)/TINA(*9)の構造に非
常に似たものとなっています。IP Meetingでの議論では、まだ、NGNのアーキ
テクチャは発展途上にあり、今後、NGNが次世代情報通信インフラの実現アー
キテクチャに資するものとなるような建設的で実践的な議論と検討を是非とも
進めていかなければならないのではないでしょうか。

(*1)ITU-T : International Telecommunication Union
            http://www.itu.int/
            http://www.nic.ad.jp/ja/tech/glos-ij.html#02-ITU-T
(*2)3GPP : 3rd Generation Partnership Project
           http://www.3gpp.org/
(*3)ETSI : European Telecommunications Standards Institute
           http://www.etsi.org/
(*4)TISPAN : Telecoms & Internet converged Services & Protocols for Advanced Netwks
             http://portal.etsi.org/tispan/TISPAN_ToR.asp
(*5)SIP : Session Initiation Protocol
          http://www.nic.ad.jp/ja/tech/glos-kz.html#03-SIP
(*6)ATM : Asynchronous Transfer Mode
(*7)BISDN : Broadband Integrated Services Digital Network
(*8)AIN : Advanced Intelligent Networks
(*9)TINA : Telecommunication Information Networking Architecture

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