ニュースレターNo.12/1998年12月発行
2.最新トピックス
2.3 EDドメイン名新設について
インターネットの普及を受けて学校にもインターネットを、という動きが活発になってきました。JPNICでは、これを受けてEDドメイン名を新設することとなりましたので、その背景や内容を解説します。
なお、EDドメイン名の新設にあたっては、当初お知らせしておりました予定からおよそ2か月程度のスケジュール延期をお願いする事態となっております。関係各位に深くお詫び申し上げるとともに、ご理解を賜りたくお願い申しあげます。
1.EDドメイン名の特徴
EDドメイン名の位置づけは、「主に児童・生徒などの教育を受ける人が使用するドメイン名」です。
そこで、児童・生徒が主に所属する組織である学校などを登録対象組織としました。
このコミュニティにおいては、従来のJPドメイン名における方針である先願主義がなじまないという特性がありますので、EDドメイン名にはドメイン名衝突回避のための調整の仕組み(予約ドメイン名リスト)を取り入れています。
2.想定される利用者
児童・生徒はもちろん、その育成に当たる教師・職員などの皆さまをEDドメイン名の利用者として想定しています。
3.登録対象組織
このような利用者を想定した結果、次に掲げる組織を登録対象組織とすることとしました。
- 小学校・中学校・高等学校・特殊教育諸学校
- 専修学校および各種学校のうち主に18歳未満を対象とするもの
- 幼稚園・保育所
- 「学校群」としての学校法人・大学または学部・公立の教育センターおよび公立の教育情報ネットワーク
以下では、「(EDドメイン名の)登録対象組織」と呼びます。
4.EDドメイン名の登録対象組織の動向
これまで大学などの高等教育機関がACドメイン名を利用し、EDドメイン名の登録対象組織は地域型ドメイン名を利用していただいていました。
しかし、低価格のインターネット接続サービスが普及してきたこと、教育機関におけるインターネット利用拡大の気運が高まっていること、政府による学校インターネット接続の計画が推進されていることなどから、今後EDドメイン名の登録対象組織からのドメイン名登録申請が急増するものと思われます。
5.第2レベルドメイン名新設の理由
EDドメイン名の新設に関する議論の中から、EDドメイン名の登録組織に共通する次のような特性が浮かび上がってきました。
- 長いドメイン名は、特に年少の児童・生徒にとっては扱いが難しい
- 「教育コミュニティ」を全体として識別したい
- 利用者が未成年であることをドメイン名で判断したい
- 短期間に申請が集中する可能性から衝突回避の仕組みが必要
- アンケート調査によれば、ドメイン名新設の要望が多数あった
これらの特性を検討した結果、いくつかの選択肢の中から新しい第2レベルドメイン名を新設することが望ましいという結論に達しました。
6.第2レベルドメイン名をEDとした理由
新設するドメイン名の候補としては、
- EducationからEDやEDU
- SchoolからSCやSCHやSCHOOL
などがあげられましたが、
- 既存属性型ドメイン名との調和のために、2文字が適当
- 必ずしも学校のみを対象にしたドメイン名ではない
という観点から、“ED”を採用することにいたしました。
7.学校群の概念について
EDドメイン名では、登録対象組織の1つに「学校群」の概念を導入しています。これは、いくつかの登録対象組織をまとめて識別の単位にしたいという要求に応えるものです。学校群概念には3種類ありますので、順に見ていきましょう。
まず、私立学校などで学校法人の下に複数の学校(たとえば中学校と高等学校)を設置している場合には、いったん学校法人の単位でEDドメイン名を登録したうえで、学校の単位でサブドメイン名を設定して利用したいという要求がありました。
同様のケースは、大学(または学部など)が複数の付属学校を設置している場合にも当てはまります。
また、地域によっては、公立の教育センターまたは公立の教育ネットワークが地域内の公立学校をまとめてネットワークを構成しているケースがあり、これも同様の要求があることがわかりました。
そこで、上記のケースにおいては、本来のEDドメイン名の登録対象を、学校法人・大学またはその学部・公立の教育センターまたは教育ネットワークが、それぞれ代表しているものと考えて、EDドメイン名を登録して頂けるようにいたしました。
これが学校群の概念です。
8.ドメイン名衝突回避の考え方
EDドメイン名における特徴のひとつに、ドメイン名の衝突回避の仕組みを取り込んだことがあげられます。
本来、JPドメイン名では先願主義が原則ですが、次のいくつかの理由からEDドメイン名においては先願主義になじまないものと判断しました。
- 短期間にドメイン名申請が集中して行なわれると思われる
- 同名の学校が存在するため、希望するドメイン名が衝突することが想定される
- 単純な先願主義では、予算の執行年度の違いによって有利・不利が発生
そこで、EDドメイン名においては、JPNICが「予約ドメイン名リスト」を作成してドメイン名の衝突を回避する仕組みを採用し、その後、先願主義に戻ることにいたしました。
これは、EDドメイン名の登録対象組織の大半のリストを作成可能であり、会社組織などに比べて増減が少ないと考えられるためであり、登録対象組織の名称などから他の登録対象組織と衝突しない「予約ドメイン名」を作成することは可能であると判断しました。
9.予約ドメイン名リスト
まず、EDドメイン名新設の際に、JPNICが「予約ドメイン名リスト」を公開します。
このリストは、登録対象の名前・所在地・設立元などの情報から、JPNICが作成するものです。予約ドメイン名リストの対象は、元になる情報の入手の関係から小中高校および特殊教育諸学校となっています。
この予約ドメイン名リストが公開されてからしばらくの間は、レビュー期間とします。予約ドメイン名リストの対象となった組織は、予約ドメイン名リスト上のドメイン名に満足であれば何もする必要がありません。自組織の予約ドメイン名以外のドメイン名を希望する場合には、レビュー期間中に所定の方法で「希望ドメイン名」を申請することができます(ただし、いくつかの制限はあります。詳細は該当するJPNIC公開文書をご覧下さい)。
レビュー期間終了時に、「希望ドメイン名」の衝突があればそれを解決し、予約ドメイン名リストとして確定します。確定された予約ドメイン名は2003年3月末まで有効で、この期間内であれば該当する登録対象組織だけが登録することができます。
このようにして予約ドメイン名を最終的に確定した後、EDドメイン名においても先願主義の原則をに戻って運用することとしています。
10.スケジュール延期のお詫び
既にお知らせしておりますように、いくつかの点で私どもの見込みが甘く、結果としてスケジュールの延期という事態になりましたことを深くお詫び申し上げます。
予算の積算・執行などの事情を考慮して、今年度中にはEDドメイン名の運用を開始できることを考えて、およそ2か月の延期にとどめる予定です。このため、EDドメイン名に関する規則に、次のような修正・運用対処を行なう方針です。
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添付書類を追加・明記
公立の教育センタおよび公立の教育情報ネットワークについて、 適格性の認定は教育委員会からの証明による。 - 登録対象に準じる条項を当面運用凍結
この条項を適用する場合の登録対象適格性、組織の種別とその証明となるものについて、ご意見を歓迎します。
11.関連公開文書
- EDドメイン名の実施時期延期について
- http://www.nic.ad.jp/jp/topics/archive/19981111-01.html
- EDドメイン名の予約ドメイン名リスト公開について
- http://www.nic.ad.jp/jp/topics/archive/19981105-01.html
- EDドメイン名新設のお知らせ
- http://www.nic.ad.jp/jpnic/domain/ed-domain-announce.html