ニュースレターNo.27/2004年7月発行
第9回 ICANN報告会
2004年4月14日(水)、JPNICと(財)インターネット協会(IAjapan)の共催による第9回ICANN報告会が、東京都港区赤坂のアークフォーラムにて開催されました。約50名の参加があった今回の報告会では、従来のICANN会議報告およびICANN構成組織の活動報告に加え、国連やITUで議論されているインターネットガバナンス問題についての報告もありました。
まずはじめに、JPNICの入交より、ICANNローマ会議(2004年3月初旬開催)の概要報告を行いました。ローマ会議では、VeriSignの提案によるWait Listing Service(ドメイン名の削除待ち予約サービス)が主要トピックであったため、その解説や理事会による決議内容を中心に報告を行いました。(ICANNローマ会議の詳細はICANNローマ会議もご覧ください)
続いて、(株)日本レジストリサービス(JPRS)の大橋由美氏より、ccTLDの動向報告が行われました。ローマでのccTLD会合では、各ccTLDレジストリが国際化ドメイン名(IDN)その他の事例紹介を行い、有意義な情報交換が行われたということです。また、ccNSO(国コードドメイン名支持組織)が2004年3月1日をもって成立し、ローマにて初回会合が開催されたとの報告もありました。
gTLDの動向については、JPNIC理事の丸山直昌より、現在GNSO(分野別ドメイン名支持組織)が抱えている各種案件の進捗状況が報告されました。ローマ会議でワークショップが開催された「Whoisのプライバシー問題」と「新レジストリサービス導入のための手続策定」、目下進行中の「スポンサー付きTLDの募集」、そして、ポリシー策定後、実施待ちの状態である「レジストラ間のドメイン名移転手続」や「ドメイン名の削除プロセス」などの紹介がありました。
次に総務省の加藤博司氏よりGAC(政府諮問委員会)の活動報告が、また、ALAC(At-Large諮問委員会)メンバーであるJPNIC副理事長の松本敏文よりAt-Largeの活動報告が行われました。加藤氏からは、GACによるgTLD/ccTLD政策への取り組み状況報告や、ローマ会合ではGACの将来体制と運営資金の問題が主要な議題となったとの報告がありました。また、松本からは、世界5地域でのAt-Large組織化の進捗状況などが報告されました。
最後に、インターネットガバナンスに関する議論の動向について、(株)アジアネットワーク研究所代表の会津泉氏より報告がありました。インターネットガバナンスの問題については、2004年1月末にJPNICが開催した「世界情報社会サミット(WSIS)におけるインターネットガバナンス問題に関する報告会」にて、会津氏を含むWSIS関係者から議論の状況が報告されましたが、今回はその後の動向として、2004年2月末にジュネーブで開催されたITUインターネットガバナンス・ワークショップと、3月末にニューヨークで開催された国連ICT(情報通信技術)タスクフォースの会合の様子などが報告されました。
ITUワークショップでは、ICANNを中心とした現在のガバナンスの体制を支持する欧米先進国からの発言が目立った一方、ITU自体からは特に意見は出ず、ITUの果たすべき役割についての積極的な議論はなされなかったということです。国連ICTタスクフォースのグローバルフォーラムでも、ICANNが中心テーマとなったようですが、中国など各国政府からの発言は少なく、WSISで見られたような「政府間国際組織によるインターネットの管理」という主張は薄かったとの報告がありました。会津氏からは最後に、「日本でも民間主導でタスクフォースを作り、インターネットガバナンスについて考えていく場を設けるべき」との呼びかけがありました。
(JPNICドメイン名事業部 入交尚子)
参照URL
- 第9回ICANN報告会資料
- http://www.nic.ad.jp/ja/materials/icann-report/20040414-ICANN/
- WSIS報告会(2004年1月29日開催)の詳細
- http://www.nic.ad.jp/ja/materials/wsis/20040129/