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ニュースレターNo.36/2007年7月発行

第17回ICANN報告会レポート

2007年1月17日(水)、砂防会館(東京都千代田区)にて、JPNICと財団法人インターネット協会の共催で第17回ICANN報告会を開催しました。以下に、報告会の内容を項目別にご紹介します。

ICANNサンパウロ会議概要報告

はじめに、JPNICの高山より、ICANNサンパウロ会議(2006年12月2日~8日)の概要報告を行いました。本会合での主なトピック(.BIZ/.INFO/.ORGレジストリ契約の承認、DotAsia Organisationとの.ASIAレジストリ契約締結、IDNの進捗、LAC RALOとICANNの覚書締結、年次総会)、ICANNの定期的レビュー、ワークショップについてご報告しました。

主なトピックの内容は、下記でもご参照いただけます。

□JPNIC News & Views vol.413【定期号】2006.12.15
ICANNサンパウロ会議報告
http://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2006/vol413.html
写真:報告中の高山
JPNICの高山よりサンパウロ会議の全体報告を行いました。

ccTLDの動向 ~IDNを中心に~

6月のマラケシュ会合に引き続き、サンパウロ会合でも多くの会議でIDN(Internationalized Domain Name:国際化ドメイン名)について議論されました。ccTLD関連の会合でもIDN ccTLDが最大の議題であったとのことで、株式会社日本レジストリサービス(JPRS)の堀田博文氏より、IDNの話題を中心にccTLDの動向についてご報告がありました。

IDNの取り組み状況について、次の3トピックのご説明がありました。

  1. ICANN発行のドメイン名レジストリ向けIDNガイドラインをIETFのBCP(Best Current Practice)化に向け改訂中。
  2. IDN TLDの技術検証中。
  3. 国際化TLD(IDN TLD)のポリシーについての検討が具体化。

サンパウロでは、IDNに関する課題の理解と定義のための議論があったとのことで、今後はGACやGNSOといった関連組織とのコミュニケーションも図り、課題定義に向けた取り組みを進めていくとのことです。

新gTLD追加に向けたICANNの動き

新gTLD追加の取り組みは、ICANN設立時(1998年10月)からのICANNのミッションであり、現在もNew gTLD PDP(Policy Development Process、通称“PDP Dec05”)にて議論が継続されています。そこで、JPNICの丸山直昌より、新gTLD追加に向けたICANNの動きについて報告いたしました。

新gTLD追加に向けての取り組みは、これまでに2ラウンド(募集要項発表より意見募集、審査を経て追加決定までのプロセス)が実施されました。その後、内容面(募集要項や審査の基準等)や手続き面(時間がかかりすぎる等)に対して疑問や批判が上がり、プロセスを提言するためのPDP Dec05が開始されました。

すでにDraft Final Report※1が提出されており、論点の輪郭が見えてきていますが、既存gTLD契約(PDP Feb06)やIDNとの調整事項も残されています。ただ、GNSOの中には、細かい点の議論を煮詰めるよりも第3ラウンドをスタートさせたいという考えを持つメンバーもいるようで、それほど多くの時間を要することなくPDP Dec05の終了を期待できるのではないか、との見解が述べられました。

ICANN政府諮問委員会(GAC)報告

総務省の辰川晶子氏より、政府諮問委員会(GAC)に関する報告がありました。

ご報告いただいた内容のうち、次の3点をお伝えします。

WHOISの目的については、WHOISの有用性とプライバシー保護のバランスを考慮し、サンパウロ会合でGACの見解がまとめられる予定でしたが、個人情報の扱いと各国国内法等との整合性について議論が紛糾し合意には至らず、リスボン会合での合意を目指して引き続き議論されるとのことです。

また、新gTLDの導入および運用にあたって考慮されるべき公共政策課題についてもGACとしての見解をまとめるために議論しており、リスボン会合での採択を目指すそうです。

IPv6割り振り方針については、日本政府が本件を議論するワーキンググループの主査を引き続き務めることが報告されました。

GACでは、優先的に取り上げる項目を作業プログラムとして採択しており、2007年の3会合ではIDNの導入に伴う公共政策課題やICANNの透明性・説明責任など5項目がリストされていることが伝えられました。

写真:報告中の堀田博文氏
JPRSの堀田博文氏より、 IDNを中心とした各ccTLDの動向についてご報告いただきました。

ICANN At-Large諮問委員会(ALAC)報告

財団法人ハイパーネットワーク社会研究所の会津泉氏より、At-Large諮問委員会(ALAC)の活動報告がありました。

ALACが取り組むRALO(Regional At-Large Organization:地域別At-Large組織)設立活動における画期的な出来事として、ラテンアメリカおよびカリブ海地域にRALOの第1号であるLAC-RALOが設立され、本会議期間中にICANNと覚書を締結したことが報告されました。APRALOやEURALOも覚書締結に向けた準備を行っていたとのことです。

RALO設立活動が加速される中、設立されたRALOが実体を伴う組織、つまり個人インターネットユーザーにとってICANNプロセスに参加するための枠組みとなるよう留意する必要があり、ICANNとの関係のあり方の追求も課題の一つであることが伝えられました。

伊藤ICANN理事からの報告

株式会社ネオテニーの伊藤穰一氏よりご報告いただいた理事会決議(http://www.icann.org/minutes/resolutions-08dec06.htm)のうち、下記のトピックについてお伝えします。

(1)Approval of .BIZ/.INFO/.ORG Registry Agreements (.BIZ/.INFO/.ORGレジストリ契約の承認)
.BIZ/.INFO/.ORGの契約は、新gTLD導入のPDPによるポリシー勧告を待ってから締結すべきとの懸念もありましたが、コミュニティから多くの批判が寄せられた.COMレジストリ契約の更新時に比べると、これらの契約案をさらに慎重に進めるべき必要性も見出せず、かえってプロセスを進めないことに対して厳しい意見が寄せられていたとのことです。理事会は、コミュニティにとって有益な契約であると判断し、またGNSOの意見を直接確認した上で契約を締結することとしたため、サンパウロ会議で決議されるに至ったとのことです。
(2)Approval of Strategic Plan 2007-2010 (2007-2010戦略計画の承認)
戦略計画(Strategic Plan)と予算立ては、本来ならばほぼ並行して進められるように思われますが、実情は少し異なるようです。ICANNの予算は年々膨らんでおり、その妥当性を見極めるためにも、戦略計画と関連付けた検討が望まれます。しかしながら、戦略計画は検討が重ねられるため、組織運営のためにはその結果を待つことなく予算が先行してしまい、戦略計画が活かしきれていない現状がある、とのことです。
(3)Schedule for Periodic Reviews of ICANN Structure and Operations (ICANN内の各組織および運営に関する定期的レビューの計画)
定期的レビュー(Periodic Review)は、ICANN附属定款で義務付けられており、ICANNの運営の発展、向上のため、3年ごとに各支持組織等について行うものです。本来、理事会は対象外ですが、理事会のレビューも行うことになったそうです。レビューの結果を積極的に反映して運営を行い、支持組織の数を減らしてより参画しやすい組織構造にすると良いのではないか、との見解が述べられました。

(JPNIC インターネット推進部 高山由香利)


※1 Draft Final Report
http://gnso.icann.org/drafts/GNSO-PDP-Dec05-FR-14Nov06.pdf

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