Supplemental Discussion Paper: Redemption Grace Periods for
Deleted Names
翻訳文
(社)日本ネットワークインフォメーションセンター
最終更新[2003年5月29日]
この文書は2002年2月20日に公開された
http://www.icann.org/registrars/redemption-supplement-20feb02.htm
を翻訳したものです。
JPNICはこの翻訳を参考のために提供しますが、
その品質に責任を負いません。
補足討議資料:削除済ドメイン名のための請戻猶予期間
始めに
この資料は、ICANNのウェブ上に2002年2月14日に掲示された、 「討議資料:削除済ドメイン名のための請戻猶予期間("Discussion Paper: Redemption Grace Periods for Deleted Names")」を補足するものです。 その資料を受けてインターネットコミュニティーが行っている活発な議論は満足のいくものですが、 提案に関して情報を補足し明確にした方がいい点がいくつか見つかりました。 この資料は、追加情報および説明を提供するものです。
「セーフティーネット」としての請戻猶予期間
提案されている請戻猶予期間は、 レジストリでドメイン名登録を削除するための現在の手順に取って代わるものではなく、 レジストラおよびレジストリ運用者がドメイン名の削除に至る通常の手続きに従った後にドメイン名を取得するための「セーフティーネット」を確立しようとするものです。 現行の削除手続きを簡単にまとめると、 請戻猶予期間の実施の状況を説明するのに役立つでしょう。
現在の仕様では、 レジストリ運用者(.nameを除く)は、全てのドメイン名登録の失効日に 「自動更新」を行うことになっています。 レジストラはドメイン名登録の1年分の更新料を即刻請求されます。 レジストラはその後45日の間に現在の登録者から更新料の支払いを受けなければなりません。 現在の登録者が更新料を支払わない場合、 レジストラは明示的にその登録を削除します(レジストラ認定契約3.7.5項参照)。 レジストラが自動更新後45日以内に登録を削除した場合、 レジストリ運用者は自動更新料をレジストラに返金します。
失効した登録の取扱いに関する現在の規定では、 レジストラが登録者へ一定の通知もしくは猶予期間を与えることを求めてはいません。 「猶予期間」の実施状況は、レジストラにより異なります。 期限切れドメイン名を数日以内に削除するレジストラもあれば、 数週間または数ヶ月間削除を待つレジストラもあります。 また、送付される更新通知の種類および回数もレジストラにより異なります。 失効する登録の管理連絡先、 請求連絡先の両方またはどちらかにEメールを送るだけのレジストラもあります。 更新通知をリストされている登録者に郵送するレジストラもあります。 レジストラによっては、 これらの通知を補うために独自の保留期間を導入していることもあります。 これは登録者の注意をドメイン名更新の必要性へ向けるための追加的な方法であり、 そのような期間中は当該ドメイン名の登録は無効とされます (ゾーンファイルから削除されます)。
レジストラが独自に保留期間を導入しているかどうかにかかわらず、 現行の手続きによれば、 45日間の「自動更新猶予期間」内に削除されたドメイン名は、 管理レジストラによる削除と同時に再登録が可能となります。 自動更新猶予期間(またはその他の適用可能な猶予期間)外に削除されたドメイン名は、 現在、5日間の「削除保留期間」の下に置かれます。 その期間中は、 削除を行ったレジストラがレジストリ運用者に特別に申請をすることにより登録を元へ戻すことが可能です。 本質的に、新しい請戻猶予期間はこの削除保留期間を(5日から)30日に延長し、 「猶予期間」の期間内、期間外にかかわらず、全ての削除へ適用しようとするものです。
新しい請戻猶予期間は、基本的にレジストラにとっては目に見えないものであり、 レジストラの現在の削除方法に変更をせまるものではありません。 新しい「セーフティーネット」の実施に必要な基本的な変更はレジストリレベルで設定され、 効果が示されるのはレジストラがレジストリに対し「削除」コマンドを送った後だけです。
元の討議資料で述べられているように、間違い、不注意、 もしくは不正行為により登録者の意思に反してレジストラが削除してしまうことがある、 ということをこれまでの事実は示しています。 提案の「セーフティーネット」では、このようなことが起こった場合に、 他人が当該ドメイン名を再登録し元の登録者がドメイン名を永久的に失う前に、 そのような状況を覆す時間が確保されるでしょう。
登録者が更新レジストラを選択できるようにする
最初の請戻猶予期間討議資料において未解決であった問題の一つに、 意図せずドメイン名が削除されてしまった登録者に対し元のレジストラ経由での登録更新を強制すべきかどうか、 という問題があります。 元のレジストラを使うように要求することは手続きを簡単にします。 しかしあらゆることを考慮すると、 意思に反してドメイン名を削除したレジストラとの取引の継続を登録者へ強制するのではなく、 請戻しのために別のレジストラを選択する自由を登録者は与えられるべきであると考えます。
ドメイン名が更新されない場合、 登録者が元のレジストラに対し不満を抱いていたり争いがあったりすることが原因の場合があります。 重要な点は、登録者の希望に反しレジストラが登録を明示的に削除したケースに対し、 請戻期間を使用するということです。 これらの事情を考慮すると、 登録者に対し元のレジストラ経由でのみ請戻しを認めることは著しく不適切でしょう。
また、ドメイン名を削除したレジストラを、 削除された登録の請戻しを行える唯一の事業者とすることは、 レジストラが登録者に対し不公平な条件もしくは料金を課すことにつながる可能性があります (レジストラ事業に競争が存在しない場合)。 登録者が請戻を行うレジストラを選択できるようにすることは、 登録者が公平な価格で提供される良いサービスを確保する上で役立つでしょう。
意図に反する削除に悩む登録者が、 請戻しをするレジストラを選択できるようにすることは、 元の登録者が実際に請戻しを求めているのかを確認する上でさらなる問題を提起します。 明らかに、何らかの技術的処置を策定する必要も出てくるでしょう。 しかし適切な手続きを策定することは可能と思われます。
請戻猶予期間中の更新に必要なコスト回収のためのサービス料
最初の討議資料の中で、 請戻猶予期間に関して詳細に検討されていないもう一つの点は、 レジストリのサービス料の問題です。 請戻猶予期間中に更新されるドメイン名に対して特別なサービスの提供を求められるレジストリ運用者に、 そのサービスにかかるコストベースの料金の請求を認めることは適当であると思われます。 おそらくレジストリは、 少なくとも請戻しを求める元の登録者の身元を確認する上で、 調整役を務めることになるでしょう。 それは、特に登録者が別のレジストラを更新のために選択した場合です。
請戻猶予期間中の更新の取扱いに直接必要なコストに加えて、 請戻猶予期間中に多くのドメイン名を 「保留」および登録不可状態のまま保持することにより発生する潜在的な収入の損失について、 少なくともその一部に対する補償をレジストリ運用者が期待するのは当然なことかもしれません。 請戻猶予期間の下に置かれるドメイン名の多くは、 実際には請戻されることはないと思われます。 ドメイン名が保留されている間は、 レジストリ運用者はそれらのドメイン名を登録可能なドメイン名に戻すことはできないでしょう。
レジストリ運用者はこのサービスを無料もしくは最低限の料金で提供すべきであるとの主張も存在しますが、 これまでの経験によると「無料」のサービスを要求すると拘束力を失うことになります。 ドメイン名削除後の更新の取扱いに必要な費用を相殺するコストベースのサービス料は妥当なものであるかもしれません。 そのような料金を支払わなければデジタルアイデンティティーの喪失に直面することになったであろう人々にとっては、 その料金を支払う選択肢が魅力的であることは明らかでしょう。
結論
ICANNでは上記の問題に関するさらなる議論を奨励しています。 特に、 登録者が請戻しを行うレジストラを選択できるようにするためにはどうすればよいかについての提案を歓迎します。
「ドメイン名削除手続き」は、 2002年3月10日から14日にガーナで開催されるICANNアクラ会議のパブリックフォーラムの議題に追加されています。 質問、コメントをredeem-comment@icann.orgに電子メールで送ることもまた可能です。