=================================== __ /P▲ ◆ JPNIC News & Views vol.254【臨時号】2005.4.20 ◆ _/NIC =================================== ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆ News & Views vol.254 です ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 本号ではアルゼンチンのマルデルプラタで開催されたICANN会議に出席してき たインターネット政策部 穂坂俊之から、会議の模様や議論の動向に関するレ ポートをお届けします。 なお、理事会決議事項については、先にお届けした4月定期号(vol.252)をご覧 ください。 http://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2005/vol252.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆ ICANNマルデルプラタ会議報告 ~初めてのICANN会議~ JPNIC インターネット政策部 穂坂俊之 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆はじめに 2005年4月4日から8日まで、アルゼンチンのマルデルプラタで開催されたICANN 会議に出席しました。理事会の決議事項については既にvol.252のメールマガ ジン定期号でご案内しておりますので、今回は会議の概要をお伝えしたいと思 います。 今回のミーティングは、ICANN事務総長兼CEOであるPaul Twomey氏が病気療養 による不在の中で行われました。会議の冒頭では、「会議の成功を祈る」とい うPaul Twomey氏からの手紙が読み上げられました。 ◆ICANN Strategic planを巡る議論 今回のICANN会議では、会期直前の3月28日にICANNから出された「Strategic Plan バージョン7」(*1)を議論するセッションが3つプログラムの中に組み入 れられており、結果今回の会議の大きなトピックとなっていました。この他に も、GNSO(*2)配下の各部会(Constituency)でも、このペーパーについての議論 がなされていたようです。 コメントの内容は、各々の立場によって実にさまざまで「会議直前に出されて もコメントが難しい」「70ページにも及ぶ文書を英語で出されて、英語でコメ ントすることを強いるのは、ネイティブでない人々にとって厳しい」等、手続 きに関するものが比較的多い印象を受けました。 今回の会議ではStrategic Planの議論に終始し、この文書に関する決議や修正 等が行われることはありませんでした。 ◆WSIS(*3) Workshop 今回のWSISに関するセッションは、パネルディスカッション形式となりました。 前半は南米各地の技術者をパネリストにしての議論で、後半はWGIG(*4)事務局 長のMarcus Kummer氏はじめ政府関係者を招待しての議論でした。 前半のパネルディスカッションはどちらかというと、それぞれの国におけるイ ンターネット発展の歴史を紹介することに時間を費やしたのに対し、後半の部 ではWGIGの中で行われている議論についての質疑が活発に行われました。 この中でICANN理事長のVinton Cerf氏が「WGIGの活動は『新しい組織を作る』 ということが主眼ではないはず。仮に作ったとしても、その組織がインターネッ トに関する全ての問題を取り扱えるとは思えないし、決してそうするべきでは ない」と繰り返し主張していたことが印象的でした。 また、会場より「WGIGはもう何度も会合を持っているが、時間の無駄ではない か」とのコメントが出され、これにはMarcus Kummer氏が「途上国がこのよう な問題に関して議論の場を持つことこそが大切」と回答するなどのやりとりが 行われました。 ◆「.net」後継レジストリ選定について これもStrategic Plan同様、会議直前の3月28日にVeriSignを一位とする選定 報告書が提出されました。本件については、会期中ICANNからも状況報告がなさ れましたしたが、報告書中の評価内容の詳細には触れず「申請組織は全て.netを 運用する能力があった」との選定報告書の一節を紹介したうえで、独立した評価 組織が一位と評価したVeriSignとの交渉を開始したことを報告するにとどまって います。 ◆最終日・理事会 最終日の理事会は本来8時スタートの予定でしたが、「ヨハネ・パウロ2世の葬 儀に重なる」という理由で、1時間半遅れのスタートとなりました。 理事会の決議内容は既にご案内した通りですが、他の議案は理事の挙手によっ ての採決だったのに対し、AfriNICのRIR正式承認の決議に際しては、理事長で あるVinton Cerf氏の決議の求めに対し、理事全員、そして会場がスタンディ ングオベーションで応え、承認セレモニーに移っていったことが印象的でした。 また、決議とは別に、現在審査中となっているsTLD(*6)のうち、「.asia」と 「.xxx」については、30日以内に理事会として何らかの結論を出す旨報告がな されています。 ◆最後に 私は今回が初めてのICANN会議出席でしたが、これまで出席していたRIRの会議 とは進行も雰囲気もずいぶん違うなというのが率直な印象です。 RIRではある特定のポリシー提案に対して技術的な議論をし、賛成か反対かを 比較的短時間(ひとつの提案に対し、せいぜい30分)に決めて行くのに対し、 ICANN会議ではあるトピックに関し、延々と議論が続きます。また、会議参加 当事者の関与具合によって、実にいろんな視点からのコメントがなされます。 議事録に残すためだと思うのですが、あらかじめノートPC上に用意してあるコ メントを延々と読み上げる人もいました。 ICANNの予算案や事業計画、sTLDの決定等、ビジネス上の利害に直結する議題 を扱う以上やむを得ない面があるかとは思いますが、そうした大会議場での議 論でなされるコメントがどこまで反映されるのかは、今後の動きを注意深く見 ていく必要があります。 JPNICはこれまでもICANN会議への出席を通じ、世界的なインターネット資源管 理ルール策定作業への参画を果たしてきましたが、今後も引き続きICANNの様々 なレベルでの議論に加わっていけるよう、努力していく所存です。 (*1) http://www.icann.org/strategic-plan/strategic-plan-v7.pdf (*2) GNSO:http://www.nic.ad.jp/ja/basics/terms/gnso.html (*3) WSIS:http://www.nic.ad.jp/ja/tech/glos-kz.html#03-wsis (*4) WGIG:http://www.nic.ad.jp/ja/tech/glos-kz.html#03-wgig (*5) http://www.nic.ad.jp/ja/topics/2005/20050329-02.html (*6) sTLD:http://www.nic.ad.jp/ja/tech/glos-kz.html#03-stld ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ わからない用語については、【JPNIC用語集】をご参照ください。 http://www.nic.ad.jp/ja/tech/glossary.html ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ___________________________________ ■■■■■ JPNICの活動はJPNIC会員によって支えられています ■■■■■ ::::: 会員リスト ::::: http://www.nic.ad.jp/ja/member/list/ :::: 会員専用サイト :::: http://www.nic.ad.jp/member/(PASSWORD有) □┓ ━━━ N e w s & V i e w s への会員広告無料掲載実施中 ━━━┏□ ┗┛ お問い合わせは jpnic-news@nic.ad.jp まで ┗┛  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ =================================== JPNIC News & Views vol.254 【臨時号】 @ 発行 社団法人 日本ネットワークインフォメーションセンター 101-0047 東京都千代田区内神田2-3-4 国際興業神田ビル6F @ 問い合わせ先 jpnic-news@nic.ad.jp =================================== 登録・削除・変更 http://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/ ■■◆ @ Japan Network Information Center ■■◆ @ http://www.nic.ad.jp/ ■■ Copyright(C), 2005 Japan Network Information Center