=================================== __ /P▲ ◆ JPNIC News & Views vol.567【臨時号】2008.8.20 ◆ _/NIC =================================== ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆ News & Views vol.567 です ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2008年7月末にフランスのパリで開催されたICANN会議を受けて、恒例となりま した「第22回ICANN報告会」が開催されました。本号では、そのレポートをお 届けします。 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ◆ 第22回ICANN報告会レポート JPNIC インターネット推進部 佐藤香奈枝 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2008年7月24日(木)、アルカディア市ヶ谷(東京都千代田区)にて、JPNICと財団 法人インターネット協会(IAjapan)の共催で、第22回ICANN報告会を開催しまし た。以下に報告会の内容をご紹介します。 ◆ICANNパリ会議概要報告 JPNICの高山由香利より、ICANNパリ会議(2008年6月23日~26日)の概要を報告 しました。 本会議での主要トピックのうち、ポリシー策定プロセス(PDP)(*1)が終了し、 ポリシー実装のフェーズに移った新gTLDの導入、ドメイン名テイスティングへ の対応と、2008年度運営計画案・予算案の承認が主な内容となります。 各トピックについては、vol.559(*2)に詳しい報告がありますので本稿では割 愛します。 (*1)http://www.nic.ad.jp/ja/tech/glos-kz.html#03-PDP (*2)JPNIC News & Views vol.559 ICANNパリ会議報告 http://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2008/vol559.html ◆IDN ccTLD fast trackの状況 株式会社日本レジストリサービスの堀田博文氏から、IDN ccTLD fast trackの 状況についてご報告いただきました。 fast trackは、IDN ccTLDの早期導入を期待する、コミュニティの要求に応え ることを目的としたポリシー策定のプロセスです。正式なプロセスを導入する までの間の"つなぎ"の役割を担うものであり、内容的にも正式なプロセスと矛 盾しないよう配慮されています。 本会議においてICANN理事会は、IDNC WG(*3)から提出されたIDN ccTLD fast trackに関する最終報告書を正式に受領し、それに沿って実装計画を作成する ことを、ICANN事務局に指示しました。fast trackによるIDN ccTLD導入に向け て、一歩前進したと言えます。 今後、ICANN事務局によって、実装内容のさらなる具体的な検討が進められま す。残る課題の中には、IDN ccTLD導入に関するコストをまかなうメカニズム の検討等難しいものも含まれますが、ICANN理事会はICANN事務局に対して、 2008年11月のICANN理事会の前に、実装の問題に関する詳細な報告書の提出を 指示しており、次回カイロ会議で具体的な提案が行われる予定とのことです。 (*3)http://ccnso.icann.org/workinggroups/idncwg.htm ◆トップレベルドメインの新設 新gTLDの追加については、2008年6月26日に行われたICANNの報道発表(*4)後、 いくつかのメディアでも取り上げられるなど、注目が集まっています。そのよ うな状況の中で、多くの報道において二つの誤解が見受けられるとして、その 誤解を解くことを主な目的とした報告を、JPNIC理事の丸山直昌よりいたしま した。 (*4)http://www.icann.org/en/announcements/announcement-4-26jun08-en.htm(原文) http://www.nic.ad.jp/ja/translation/icann/2008/20080626.html(日本語訳) 誤解の一つ目は、6月26日時点では、ICANN理事会はGNSO勧告を受領(adopt)し ただけで、実施案はこれから作成するという段階であるにもかかわらず、「改 定案を『承認した』」と報道されていることです。二つ目は、「誰でも自由に 新TLDを『登録できる』」とあるが、実際には申請は行えても、占有できるわ けではないということです。占有できない理由として、レジストリ・レジスト ラモデル(*5)の存在により、申請者はセカンドレベルドメイン名をレジストリ とは独立した、レジストラを通して申請しなければならず、レジストリはレジ ストラからの申請を拒否できないことを挙げています。 (*5)http://www.nic.ad.jp/ja/dom/registration.html 今回の新gTLD追加では、全体における追加数の上限はなく、また当該TLDの文 字列は、問題を生じない限りその「価値」についての評価は行われないという 点において、2000年に始まった新gTLD追加の第一ラウンド、2003年の第二ラウ ンドより「自由」であり、実現すれば画期的なことであると言えます。 今後、ICANN事務局では、引き続き新gTLD導入に向けた実施案の検討が進めら れることとなっており、2009年第二四半期からの申請受け付け開始が予定され ています。しかしながら、申請文字列に関する紛争処理機関の選定や、RFP (Request For Proposal:提案依頼書)の策定といった難しい課題が残ってお り、依然として相当の困難が予想されるとの見方が示されました。 なお、本件については、JPNIC News & Views vol.556でも取り上げております ので、あわせてご覧ください。 JPNIC News & Views vol.556 TLDの新設についての誤解 http://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2008/vol556.html ◆ICANN政府諮問委員会(GAC)報告 総務省の柳島智氏より、政府諮問委員会(GAC)で議論されている主要議題につ いてお話しいただきました。GACでも(1)IDN ccTLD、(2)新gTLDの導入について 話し合われた他、(3)IPv4アドレスの在庫枯渇とIPv6の導入、(4)共同プロジェ クト合意(JPA)を含めた4点が主要議題となりました。 (1)IDN ccTLDは、国コードトップレベルドメイン(ccTLD)であることから、国 の関与は大きく、GACとしてもIDNC WGに参加し、fast trackについてICANN理 事会への勧告を含む、報告書の最終調整が実施されました。また、fast track は最も早い場合、2009年4月に受け付け開始となる可能性があることから、そ れに対応できるよう、日本国内での取り組みについて、文字列の選定や登録管 理者の指名等の検討を開始する予定とのことです。 (2)新gTLDの導入については、政策的観点から考慮に入れられるべきGAC原則で あって、勧告に反映されていないいくつかの点について、GACからICANN理事会 に対しコメントを提出したことが伝えられました。 (3)IPv4アドレスの在庫枯渇とIPv6の導入に関しては、各国の状況について共 有が図られる中、今回は日本国内における取り組みとして、2008年4月1日に最 終会合を終えた、「インターネットの円滑なIPv6移行に関する調査研究会」 (*6)の、報告書(*7)の概要が紹介されました。 (*6)http://www.soumu.go.jp/joho_tsusin/policyreports/chousa/ipv6/index.html (*7)http://www.soumu.go.jp/s-news/2008/080617_2.html (4)共同プロジェクト合意(JPA)とは、DNS環境に関する技術的調整および管理 を民間に移行するための、ICANNの責務等を定めたICANNと米国政府間の合意書 であり、2009年9月末に期限を迎えます。その後のICANN組織のあり方につい て、ICANN内のPSC(Presiden's Strategy Committee)によってアクションプラ ンが作成され、これについての意見交換がありました。アクションプランの発 表が本会議の直前であったため、今回コメントを取りまとめることは見送ら れ、次回カイロ会議で実施される予定とのことです。 ◆ICANN At-Large諮問委員会(ALAC)報告 財団法人ハイパーネットワーク社会研究所の会津泉氏より、At-Large諮問委員 会(ALAC)の活動報告がありました。 昨年のRALO設立後、ALACでは組織強化の取り組みが進み、スタッフ・予算はと もに増加しているとのことです。また、ポリシー活動へのALACの関与も強まっ ています。本会議では、ロサンゼルス会議、ニューデリー会議に続き3度目と なるALACメンバーでのワークショップを開催し、ポリシー課題についての事前 勉強会が行われた他、ICANN理事会や他の支持組織・諮問委員会との多くの ジョイントミーティング、IPv4からIPv6への移行に関するワークショップの開 催などが報告され、ポリシー活動への積極的な姿勢がうかがえます。 ALACは体制が整ってからまだ1年余りであり、時期尚早ではないかという声は ありながらも、ICANN内の各組織に対して3年毎に行われる、第三者機関による レビューが既に実施されています。その報告書が2008年7月25日に公表され (*8)、議論が開始されたことも伝えられました。今後、報告書の内容に基づ く、ALAC改革についての議論が進められていくものと思われます。 (*8)http://www.icann.org/en/announcements/announcement-25jul08-en.htm ◇ ◇ ◇ ICANN報告会の資料と動画は、JPNIC Webサイトにて公開しています。 http://www.nic.ad.jp/ja/materials/icann-report/index.html 第22回ICANN報告会の内容についても、近日公開予定です。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ わからない用語については、【JPNIC用語集】をご参照ください。 http://www.nic.ad.jp/ja/tech/glossary.html ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ___________________________________ ■■■■■ JPNICの活動はJPNIC会員によって支えられています ■■■■■ ::::: 会員リスト ::::: http://www.nic.ad.jp/ja/member/list/ :::: 会員専用サイト :::: http://www.nic.ad.jp/member/(PASSWORD有) □┓ ━━━ N e w s & V i e w s への会員広告無料掲載実施中 ━━━┏□ ┗┛ お問い合わせは jpnic-news@nic.ad.jp まで ┗┛  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 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