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    /P▲        ◆ JPNIC News & Views vol.1337【臨時号】2015.8.25 ◆
  _/NIC
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◆ News & Views vol.1337 です
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2015年6月下旬にアルゼンチン・ブエノスアイレスで開催された第53回ICANN
会議とその後の動向について、第43回ICANN報告会を2015年7月28日(火)に開
催し、参加者の皆さまと共有しました。本号ではそのレポートをお届けしま
す。関連資料も併せてご確認ください。

  □vol.1329 第53回ICANNブエノスアイレス会議報告
  https://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2015/vol1329.html

  □第43回ICANN報告会 資料
  https://www.nic.ad.jp/ja/materials/icann-report/20150728-ICANN/

また、この報告会の直後には、「日本インターネットガバナンス会議(IGCJ)」
の第8回会合が行われ、引き続き参加された方も多かったようです。

  □第8回日本インターネットガバナンス会議
  http://igcj.jp/meetings/2015/0728/

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◆ 第43回ICANN報告会レポート
                                     JPNIC インターネット推進部 山崎信
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2015年7月28日(火)、東京・六本木のシスコシステムズ合同会社 東京本社に
て、JPNICと一般財団法人インターネット協会(IAjapan)の共催で、第43回
ICANN報告会を開催しました。

報告会では、2015年6月21日(日)から25日(木)までの5日間にわたり、アルゼ
ンチン・ブエノスアイレスにおいて開催された、第53回ICANN (The Internet
Corporation for Assigned Names and Numbers)会議の内容に加え、その後の
ICANN関連動向も含めご報告しました。今回は、報告会の直後に日本インター
ネットガバナンス会議(IGCJ)も開催され、両方の会議を通して参加される方
も多く見受けられました。


■ プログラム

第43回ICANN報告会のプログラムは、次の通りです(話者敬称略)。

 1. ICANNブエノスアイレス会議概要報告
      一般社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター  奥谷泉
 2. ICANN国コードドメイン名支持組織(ccNSO)関連報告
      株式会社日本レジストリサービス  高松百合
 3. ICANN政府諮問委員会(GAC)報告
      総務省総合通信基盤局電気通信事業部データ通信課  杉山哲弘
 4. 新gTLDプログラムに関する動向
      株式会社日本レジストリサービス  遠藤淳
 5. ブランドTLDおよび関連グループの動向
      株式会社ブライツコンサルティング  村上嘉隆
 6. ICANNルートサーバー諮問委員会(RSSAC)関連報告
      株式会社日本レジストリサービス  堀田博文
 7. Root Zone LGRおよび日本語生成パネル(JGP)について
      株式会社日本レジストリサービス  堀田博文
 8. アジア太平洋地域におけるICANNの活動
      ICANN  Kelvin Wong
 9. ICANN、JPNICおよびJPRSの翻訳協力に関する覚書について
      ICANN  大橋由美
10. IANA監督権限移管およびICANNの説明責任に関する状況報告
      一般社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター  奥谷泉
11. ディスカッション
    ~IANA監督権限移管およびICANNの説明責任に関する動向~

各発表の資料は以下に掲載しています。
https://www.nic.ad.jp/ja/materials/icann-report/20150728-ICANN/

以下、「全体概要」「新gTLD関連」「各組織の動向」「IANA監督権限移管と
ICANNの説明責任」という四つの観点から、各講演内容を簡単にご報告しま
す。


■ 会議の全体概要

JPNICの奥谷より、会議の全体概要、IANA機能の監督権限移管およびICANNの
説明責任強化についての進捗、および新gTLD関連の動向について主に報告し
ました。内容については、vol.1329(*1)で既にご紹介していますので、ここ
では省略します。

(*1) https://www.nic.ad.jp/ja/mailmagazine/backnumber/2015/vol1329.html


■ 新gTLD関連

総務省の杉山氏より、GACにおける新gTLDに関する検討として、新gTLD関連の
金融・医療といった規制業種などに関連することから配慮が必要とされた文
字列や、国際機関の名称保護などに関するGAC助言の検討状況が報告されまし
た。また、セカンドレベルにおける2文字ラベルの解放についても報告されま
した。

JPRSの遠藤氏からは新gTLDプログラムの最新状況として、委任されたTLD数が
700を超えたこと、新gTLDでセカンドレベル以下に登録されたドメイン名が6
月末時点で600万件を超えたこと、次回のgTLD募集に向けた動きなどについて
報告されました。

また、ブライツコンサルティングの村上氏からは、新gTLDの一種であるブラ
ンドTLD(*2)の動向、および次回のgTLD申請ラウンドに向けたBrand Registry
Groupの動きについて、ご紹介いただきました。

(*2) ブランドTLDとは(インターネット用語1分解説)
     https://www.nic.ad.jp/ja/basics/terms/brand-tld.html


■ 各組織の動向

JPRSの高松氏よりccNSOの動向として、以下についてご紹介いただきました。

・インシデント解決のためのレジストリ間連携
・IANA監督権限移管のうち、ドメイン名における提案についてのccTLDでの結
  論
・ICANNアカウンタビリティに関する情報共有

杉山氏には、前述の新gTLDに関すること以外に、公共の安全および地理的名
称保護などのワーキンググループなどについて、またIANA監督権限移管と
ICANNの説明責任の向上を含むGACに関する動向について、ご報告いただきま
した。IANA監督権限移管では、NETmundial声明(*3)に記載された、ICANNのグ
ローバル化プロセスが十分達成されていないという意見がブラジル政府から
出されたとのことです。

RSSACの動向については、ルートサーバのサービス仕様や品質・性能の測定方
針の文書化とルートゾーンレコードのTTL (Time to Live)についての見直し
の検討状況について、JPRSの堀田氏よりご報告いただきました。

さらに堀田氏からは、新gTLDとして申請されたIDN(国際化ドメイン名) TLDを
ルートゾーンでどのように扱うかを規定するルールであるRoot Zone LGR(ルー
トゾーンラベル生成ルール)、およびこれに対応して各国で設立されている各
言語のラベル生成ルール(LGR)を作成するチームである生成パネルのうち、日
本語のLGRを作成する日本語生成パネル(JGP)について、具体的な方向性も交
えてご報告いただきました。

ICANNのKelvin Wong氏より、ICANNのコンテンツを現地語化するためのICANN
ランゲージサービス、ブエノスアイレス会議中に開催されたAPACスペース、
などについて紹介がありました。続いてICANNの大橋由美氏からは、ICANN、
JPNICおよびJPRSの翻訳協力に関する覚書について説明があり、覚書締結(*4)
の背景、翻訳対象の考え方などについてお話しいただきました。

(*3) サンパウロNETmundialマルチステークホルダー声明(日本語訳)
     https://www.nic.ad.jp/ja/translation/governance/20140424.html

(*4) JPNICがICANNおよびJPRSとICANN文書翻訳に関する協力覚書を締結
     https://www.nic.ad.jp/ja/topics/2015/20150623-01.html


■ IANA監督権限移管およびICANNの説明責任に関するディスカッション

ディスカッションに先立ち、JPNICの奥谷より、IANA監督権限移管およびICANN
の説明責任に関する詳細な状況を報告しました。内容は、vol.1329(*1)でご
紹介している通りです。

今回はパネルディスカッション形式ではなく、参加者からの質問に発表者が
答えるというスタイルとなりました。

国連やITU(国際電気通信連合)によるこれらのプロセスへの関与についての質
問に対しては、NTIA(米国商務省電気通信情報局)が移管の条件として政府間
組織からの提案は受け入れないと事前に宣言しているものの、各国政府はプ
ロセス上、GACを通じて意見を言えるようになっていると回答がありました。
プロセスに代表を送ることができない途上国はどうなるのかという質問に対
しては、途上国政府もGACを通じて各検討WGに参加できるという意味では、参
加できるとは言えるものの、実際にはプロセスに参加しやすく、また声の大き
い欧米先進国の意見が反映されがちではないかという回答がありました。
ICANNから参加しているWong氏は、途上国からの参加を増やすべく、さまざま
な国に出かけて行って説明に努めているとのことでした。

杉山氏のGAC報告で紹介のあった、ブラジル政府の意見の真意を問う質問に対
しては、ICANNのグローバル化の解釈が、機能を果たせばよいというものと、
法的拘束力がありしっかりしたものでなければならないという解釈の2通りが
あり、ブラジル政府は後者の立場を取っているようだという回答がありまし
た。この点については、ブラジル政府以外にも市民社会から懸念が表明され
ていたとのことです。

これらの議論と身近な運用との接点があまり見いだせないのではないか、と
いう意見に対しては、確かに日常の運用との接点はそれほどあるわけではな
く、むしろ国際情勢などのメタなコンセプトに関わることをどう重視するか、
という点に帰着するのではないかという回答がありました。

また、インターネットガバンスの議論に対する日本からの参加が増えない理
由として、日本のインターネットは米国の傘下にあるとも言え、IANA監督権
限の移管は米国から離れるプロセスであるため活動に参加する動機に乏しい
ことと、一方で実質的に現状が維持されるのであれば、あえて費用や労力を
かけてプロセスに参加しなくても済むからではないか、という参加者の意見
がありました。


■ 終わりに

ここしばらく、ICANN報告会の中心話題となっていたIANA監督権限移管・ICANN
説明責任強化に関しては、この報告会直後に提案がまとまり、意見募集が開
始されました(*5)。IANA監督権限移管提案策定の調整を行うICG (IANA
Stewardship Transition Coordination Group)およびICANNの説明責任強化に
ついての提案策定を検討するCCWG (Cross Community Working Group on
Enhancing ICANN Accountability)は、それぞれの検討結果を反映させた最終
提案をICANNに提出し、理事会での承認決議を経て10月頃にNTIAへの提出をめ
ざしているということですので、次回のICANN報告会ではその辺りもご報告で
きるのではないかと思います。

意見募集の期限は、IANA監督権限移管が2015年9月8日、ICANN説明責任強化が
2015年9月12日(いずれもタイムゾーンはUTC)となっており、読者の皆さまも
意見提出が可能ですのでご検討いただければと思います。前者については
JPNICとして意見を提出する予定です。JPNICとは別に、日本インターネット
ガバナンス会議(IGCJ)も意見提出を行う予定とのことで、ご興味のある方は
IGCJの事務局であるsec@igcj.jpまでご連絡ください。

(*5) IANA機能の監督権限移管に向けた統合提案への意見募集のご案内
     https://www.nic.ad.jp/ja/topics/2015/20150805-01.html

     ICANN説明責任の強化に向けた提案(第二版)への意見募集について
     https://www.nic.ad.jp/ja/topics/2015/20150807-01.html


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       わからない用語については、【JPNIC用語集】をご参照ください。
             https://www.nic.ad.jp/ja/tech/glossary.html
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 JPNIC News & Views vol.1337 【臨時号】

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