APNIC guidelines for IPv4 allocation and assignment requests
翻訳文
(社)日本ネットワークインフォメーションセンター
最終更新 2003年3月5日
この文書は
http://www.apnic.net/docs/drafts/apnic-draft-v4-guide-v001.doc
を翻訳したものです。
JPNICはこの翻訳を参考のために提供しますが、その品質に責任を負いません。
IPv4割り振り/割り当て申請のためのAPNICガイドライン
2002年8月7日
本ドキュメントについて
本ガイドラインは、APNICによる特定の申請審議要件や、現在最も推奨されている運用方法 に関するガイドラインの公開を可能とするため、“Policies for IPv4 address space management in the Asia Pacific region (アジア太平洋地域におけるアドレス空間管理ポ リシ)”を補完することを目的としている。
本ガイドラインは、現在のアドレス環境に適したガイドラインとなるべく、アジア太平洋 地域、およびグローバルなインターネットコミュニティとの話し合いの中で適宜更新され る。
目次
1. | はじめに |
2. | 範囲 |
3. | その他のガイドライン |
4. | アドレス空間管理の目標 |
5. | ガイドラインの適用 |
6. | 静的/動的 割り当て |
6.1. | 一時的な接続のための割り当て |
6.2. | 常時接続のための割り当て |
7. | IPアンナンバード |
8. | 複数IPアドレスの割り当て |
9. | バーチャルウェブホスティング |
9.1. | ウェブホスティング計画に関する申請審議 |
9.2. | IPベースのウェブホスティングのための正当化 |
9.3. | 追加申請の時に、特別な確認が必要になる場合 |
10. | ケーブル/DSLサービス |
10.1. | 新規ケーブル/DSLサービスのための初期割り振りに対するブートストラップ要件 |
10.2. | ケーブル/DSLサービスへの追加割り振り基準 |
11. | プライベートアドレス空間 |
12. | ネットワークアドレストランスレーション(NAT) |
13. | GPRS申請のガイドライン |
セクション1.背景
1. はじめに
このガイドラインはAPNICコミュニティ内で策定されたものであり、IPv4アドレス空間管理で適用されるポリシや目標と一貫している。本ガイドラインは、IPv4のみを申請する組織へのサポートを目的としている。
このガイドラインの記述はいずれも、他のAPNICドキュメントで定義されている特定のポリシに代わる、またはそれらを修正するものと見なされるべきではない。
2. 範囲
本ドキュメントは、アジア太平洋地域におけるグローバルIPv4アドレス空間管理において適用される。
実際には、本ドキュメントのガイドラインは、特定の技術ではなく、接続性の種別に対して書かれている。
本ドキュメントはIPv6、マルチキャスト、プライベートアドレス空間、AS番号には適用されない。このガイドラインと併せて、他のドキュメント、特に“Policies for IPv4 address space management in the Asia Pacific region (アジア太平洋地域におけるアドレス空間管理ポリシ)”も参照されたい。
3. その他のガイドライン
本ガイドラインは、全体を網羅するものではない。その他のガイドラインや例については、各APNIC申請フォームのヘルプガイドや、FAQなど、APNICのウェブサイトから参照可能である。
- リソースガイド http://www.apnic.net/services
- APNIC FAQ http://www.apnic.net/info/faq
4. アドレス空間管理の目標
本ドキュメントに出てくるアドレス空間管理の目標は全て、“Policies for IPv4 address space management in the Asia Pacific region (アジア太平洋地域におけるアドレス空間管理ポリシ)”に記述されている目標を指す。つまり、
・一意性
・登録
・集成
・節約
・公平性 である。
5. ガイドラインの適用
本ドキュメントは主として、LIRが顧客に対し割り当てを行う、あるいはAPNICに対しアドレス申請を行う際のガイドとなることを目的としている。本ドキュメントに挙げられている論点は、APNICが割り振り申請や割り当てのセカンドオピニオン申請を審議する際に、検討事項となるものの多くを反映している。
また、NIRも本ガイドライン、もしくは同様のものを自己のメンバーに対して適用するものと考えられる。
セクション2.一般的なガイドライン
6. 静的/動的 割り当て
あらゆる割り当ては、アドレスの節約という目標に沿った形で行われるべきであり、アドレスが割り当てられる接続の性質を考慮すべきである。
6.1. 一時的な接続のための割り当て
インターネットへの一時的な接続を行うサービス(例:ダイヤルアップ接続)の場合、現在最も推奨されている運用方法は、接続が行われる際にIPアドレスのプールから動的にアドレスを利用するというものである。
一時的な接続のために静的な割り当てを行おうとする組織は、その申請を裏付ける技術的に十分な正当化が求められる。
6.2. 常時接続のための割り当て
インターネットへの常時接続を行うサービス(例:ケーブル、専用線、DSL等)の場合、組織はさらなる技術的な正当化の必要なく静的割り当てを行ってもよい。
常時接続にも動的にアドレスを利用するネットワークがあるだろう。その場合も、さらなる技術的な正当化の必要なく、行うことができる。
7. IPアンナンバード
APNICは、IPアンナンバード機能の利用を推奨する。それはIPv4アドレス空間の節約に役立つからである。
IPアンナンバードを利用することで、PPPリンクに対して明示的にIPアドレスを割り当てることなく、シリアルインターフェイス上でのIP処理が可能になる。これは静的に経路制御されているシングルホームの顧客の接続に適用される。リンクを超えてBGPが使用されているところには適用されない。
さらに詳しい情報については、“Using the IP unnumbered configuration (IPアンナンバード設定の利用)”FAQ を参照されたい。
http://www.apnic.net/info/faq/ip_unnumb.html(原文)
http://www.nic.ad.jp/ja/translation/apnic/ip-_unnumb.html(和訳)
8. 複数IPアドレスの割り当て
一般的に、1つのホストに対し複数のIPアドレス割り当てを計画している組織は、技術的に十分な正当化を行わねばならない。セクション9.バーチャルウェブホスティングも参照されたい。
9. バーチャルウェブホスティング
バーチャルウェブホスティングは、単一の物理的なホストコンピューター上で、複数の「バーチャルな」ウェブサーバを動かすという処理のことを指す。これは、ネームベースの技術(複数のウェブサイトをホスティングしている単一のサーバに、単一のIPアドレスを割り当てる)か、IPベースの技術(サーバでホスティングされている各ウェブサイトへIPアドレスを1つずつ割り当てる)を利用することで実現できる。
バーチャルウェブホスティングに関するその他一般的な情報については、“Virtual web hosting” FAQ を参照されたい。
http://www.apnic.net/info/faq/virtualwebfaq.html(原文)
http://www.nic.ad.jp/ja/translation/apnic/virtualweb.html(和訳)
9.1. ウェブホスティング計画に関する申請審議
APNICは、ネームベースのウェブホスティングの利用を強く推奨する。
IPベースでのウェブホスティングを予定している組織の場合、技術的に十分な正当化を行わねばならない(セクション9.2を参照)。
また、アドレス空間の追加割り振り申請では、さらに追加の情報も求められる場合がある。
9.2. IPベースのウェブホスティングのための正当化
ネームベースのウェブホスティングには、技術的な制約がほとんどない。ゆえに、IPベースのホスティングが必要なサービスの展開を予定している組織は、そのサービスについて説明をしなければならない。
IPベースのホスティングが必要なサービスで、一般的なものは以下のとおりである。
- eコマースのためにSSLを使用するウェブサイト。特に各バーチャルドメインに対して別々の認証を行っている場合。
- 匿名ログイン機能を持つバーチャルFTPサービス
初期のブラウザにはHTTP1.0対応でないものもあるが、調査の結果、そのようなブラウザはもはや広く利用されてはいない。ゆえに、大規模なIPベースのホスティングを行う際、HTTP1.0対応でないことが十分な正当化になるとはみなされない。
9.3. 追加申請の時に、特別な確認が必要になる場合
追加申請を行う組織は、次の場合に、追加で情報提供が求められる。
a. 組織、あるいは当該組織の下位顧客がIPベースのウェブホスティングに対し割り当てを行った。
かつ
b. それらの割り当てに/22を越えるものがある。
このような場合、それらの大規模な割り当てに使用されている各IPアドレスと、対応するURLのリストを提供するよう求められる。
この情報は、IPベースのウェブホスティングで、責任をもってアドレス空間を利用しているかを確認するために使用される。
10. ケーブル/DSLサービス
10.1. 新規ケーブル/DSLサービスのための初期割り振りに対するブートストラップ要件
新規ケーブル/DSLサービスで使用するためのアドレス空間を申請する組織は、簡易化した「ブートストラップ」要件の下での審議を選択することができる。
このブートストラップ要件の下では、割り振られるアドレス空間の量は、申請者が自組織のネットワークで各CMTSに/24ずつを割り当てるという仮定に基づいている。
ブートストラップの申請は、ネットワークプランの項目に書かれた機器の説明により裏付けられなければならない。
ブートストラップ要件は、新規ケーブル/DSLサービスを始める既存または新設のどちらのプロバイダも利用できる。
ブートストラップ要件を利用するかどうかの選択は、完全に申請組織の判断による。
ブートストラップ要件で与えられるよりも多いアドレスを申請する組織の場合は、申請書のネットワークプラン項目で、裏付けとなる十分な根拠資料を提供しなければならない。特に記述されるべきものとしては、以下のものが挙げられる。
- 各ネットワークロケーションにて設置される機器の詳細
- 各サブネットでIPアドレスを必要とするサーバやデバイスの数量および種類
10.2. ケーブル/DSLサービスへの追加割り振り基準
ケーブル/DSLサービスを行うにあたり、追加割り振りを申請する組織は、以下の情報を提供しなければならない。
- ヘッドエンド情報:ヘッドエンド毎に計画しているCMTSデバイスの数を明記
- 3ヶ月以内の予測加入者数
- 過去3ヶ月の月次平均成長を元にした成長率(オプションとして、ISPは成長率精査の裏付けとなるMRTGを提供することができる)
- 12ヶ月以内の予測加入者数(この予測が、成長率から予測される数字よりもはるかに大きいものである場合、追加説明が求められることになる)
- 機器の領収書(APNIC/NIRから要求された場合)
また、/22よりも大きいアドレスがケーブル/DSLネットワークで使用されている場合、APNICやNIRがランダムに抽出したヘッドエンドの詳細な情報による特別な確認が必要となる場合がある。
11. プライベートアドレス空間
RFC1918 Address Allocation for Private Internets (プライベートインターネットのためのアドレス割り振り) では、プライベートなIPネットワーク運用下での「プライベートアドレス空間」利用に関する記述がある。IANAは、次の3つのIPv4アドレス空間ブロックをプライベートネットワーク用としてリザーブしている。
- 10.0.0.0 - 10.255.255.255 (10/8)
- 172.16.0.0 - 172.31.255.255 (172.16/12)
- 192.168.0.0 - 192.168.255.255 (192.168/16)
プライベートアドレス空間の利用は節約の目標に合致し、またユーザがネットワークにアドレスを利用する際により柔軟性をもたらす。この理由により、プライベートアドレスが実行可能な選択肢であることを常にユーザが認識しているべきである。
プライベートアドレス空間の利用は、インターネット接続を必要としない組織に対し、強く推奨される。
プライベートアドレスの利用を予定している組織は、APNICやNIRへ申請を行う必要なく利用可能である。
12. ネットワークアドレストランスレーション(NAT)
RFC1631はNATについて説明している。NATにより、ルーターのような単一のデバイスがインターネットとローカル(もしくはプライベート)ネットワーク間の橋渡し役(mediator)として機能できる。つまり、コンピューターの集まりを示すために、単一、かつ一意なパブリックIPアドレスが必要となる。これによって、パブリックIPアドレスの消費が減るので、節約という目標に貢献することになる。しかしそれにもかかわらず、NAT利用に伴う不利益が数多く言及されている。
APNICは組織に対してNATの利用を求めない。NATの利用は、完全に個々の組織の判断による。
13. GPRS申請のガイドライン
GPRSネットワークにおけるアドレス空間利用は、他の利用と同じポリシの適用を受ける。APNICは、GPRS申請のために特別なガイドラインを策定していない。しかしGSMアソシエーションがそれぞれのRIRコミュニティと話し合った上で、GPRS申請を行う組織に対する一連の推奨事項を策定した。APNICは、GPRSネットワーク運用者にとってこれらが有益なガイドラインであると考える。
"Guidelines for IPv4 Addressing and AS Numbering for GPRS Network Infrastructure and Mobile Terminals" (GPRSネットワークインフラとモバイルターミナルのためのIPv4アドレスとAS番号利用のガイドライン)は以下のURLで参照可能である。
http://www.gsmworld.com/technology/gprs/guidelines.shtml
この推奨事項を要約している有益なプレゼンテーションは以下のURLで参照可能である。
http://www.apnic.net/meetings/12/docs/IP_Mobile.ppt