AS番号取得にあたって
シングルホームとマルチホーム
- シングルホーム
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インターネットへ接続する最も単純な方法は、 ひとつのISPのサービスを契約し、 自分の組織のネットワークを接続する方法です。 この場合、自分のネットワークには、 ISPから割り当てられるIPアドレスを利用します。 このようなIPアドレスは PA(Provider aggregatable:プロバイダ集成可能)アドレスと呼ばれ、 接続組織に割り当てられたアドレスは、上流ISPより、 そのアドレスを含むアドレスブロックをまとめてインターネットへ経路広告されます。 このような接続は、単一のISPに接続される点から、 シングルホームと呼ばれます。
- マルチホーム
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一方、あるネットワークがISPと契約してインターネットに接続した時、 そのISPとの接続点はトラフィックの唯一の出入点になります。 この構成において、接続しているISPに障害が発生した場合、 そのネットワークはインターネットとの接続性が全て失われる可能性があり、 また、すべてのISPは同一の到達性を保証しているわけではない事もありえます。 このような観点から、複数のISPに接続したいという要求が生まれます。
そして、どちらのISPにも属さないIPアドレスでネットワークを構築し、 複数のISPに接続することで初めて、 全てのホストが複数の ISPを通じてインターネットとの接続性を得られることになります。
このような状況、 つまり複数のISP(それぞれ独自のルーティングポリシーを持つ複数のAS) に接続する一つのネットワークまたはアドレスブロックを持つ状況の事をマルチホームと呼びます。
AS番号を必要としないネットワーク
- シングルホームのネットワーク
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シングルホームの場合AS番号は必要ありません。
PAアドレスの割り当てを受ける場合は、 そのアドレスは集成されてそのISPの ASのものとしてひとかたまりで経路制御されます。 仮にPI(Provider Independent:プロバイダ非依存) アドレスを持っている場合でも、 外からそのPIアドレスを観測した場合、 単にそのISPの奥に位置するものと観測されるだけであり、 わざわざASを分ける意味がないということになります。
- BGPによる経路制御を行わないマルチホームネットワーク
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技術的には、マルチホーム接続をしながらAS番号の割り当てを受けず、 接続される複数のISPの中でそれぞれ内部経路制御を行い、 それぞれのASからそのネットワークの IPアドレスの経路広告を行うという方式も実現可能です。
現実問題として、BGPをサポートし、 膨大な経路情報を保持できるメモリを搭載したルータは一般的に高価であり、 設計運用スキルを持った技術者も必要となることから、 AS番号を持ってBGPによる経路制御の運用を行うにはコストが多く掛かることが多いと言えます。 しかしながらRFC1930[3]を根拠にして、 一つのネットワークが複数の ASに属することとなるネットワーク構成は採用するべきではない、 という考え方も依然存在しています。
- プライベートASで対応できる場合
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有限の資源空間であるAS番号の中には ICANNによって予約されている空間があります。 そのうち64512~65534の範囲の AS番号はプライベートASとして使用されます。
インターネットに接続されない実験網などの場合、 BGPコンフェデレーションなど自律ネットワークの内部で利用される場合などはプライベートAS番号を利用することができます。 ただし、自AS外に、 AS_PATH属性にプライベートAS番号を付加したまま経路情報を流すことは認められていませんことをご留意ください。
AS番号を持つことの意義
同じネットワークアドレスに対して複数の経路が存在する場合、 BGPの機能を使用することで経路情報に対して属性値を付けることができます。 そして、その属性値を元にして、 複数ある経路の中からどれが最適な経路かを判断することができます。 逆に、どのように最適経路を判断してもらいたいかを見越して、 適切な属性値を付けることによって経路を制御することもできます。 このようにあるASにおいて、経路の制御をどうするかという方針のことを、 経路制御ポリシーと呼びます。
AS番号を持つということは複数のASと BGPを用いて接続されるということですから、 インターネット上のある一つのネットワークアドレスに対する経路情報を複数受け取ることが多くなります。 また、自身のネットワークアドレスを複数の ASを通じてインターネットに対して広告することになります。 このようなとき、AS番号を持ち、BGPを使用することにより、 自分の経路制御ポリシーを達成することができます。
なお、AS番号の割り当て基準については AS番号の申請について でご確認ください。